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振り返らないお国柄?(20/365)

経験を知識に変えるには、「振り返り」が大切とはよく言われることです。しかし、日本人はどうも振り返りが得意ではない、もしくは好きではないのかもしれないと思うことがよくあります。

会社のプロジェクトでも、失敗の犯人捜しのようなことはよく行われますが、経緯をしっかり振り返って総括し、次回以降に役立てるという取り組みはほとんどないように思います。

「振り返り」は、失敗した場合は当然として、成功した場合も含めて必ず行うべきです。しかし、

「もう終わったことは忘れよう」

とか

「うまくいったんだからそれでいいじゃないか」

といった台詞をよく聞きますよね。「振り返り」は、自分の固定観念=パラダイムに気づいたり、次回に向けた気付き=アイデアを得る最高の機会なのにもったいないことです。

大きな話では、先の太平洋戦争の失敗も、「振り返り」、総括する習慣がなかったのが日本軍の失敗の根源とも言えます。すでに古典となった「失敗の本質」を読むことをお勧めします。

一説には、この失敗が、日露戦争の奇跡的勝利を起点とした自己過信と固定化された戦略原型=パラダイムにあったのではないかと言われています。皮肉なことですがあり得ると思います。

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さて、最近、国内半導体産業の復活について取り上げられることが多くなってきました。元々半導体産業は経済だけでなく国防上も重要な産業に違いありません。かつて世界一を誇った日本半導体産業はいまや見る影もないのですが、ここ数年の米中の経済冷戦によって再び注目が集まっている局面です。

私は20年以上半導体の研究開発に従事した者として、国内半導体産業の復活を強く願っていますが、昨今の官民連携の動きは、過去30年間の政策、経営の失策を「振り返る」ことも総括することもなく進められている危うさを感じます。

最近の大きなニュースを2つ引用します。

日本半導体産業復活の狼煙として、経済界にはおおむね好意的に捉えられているようです。総じて、日本を再び半導体の生産拠点として復活させようという意図はわかるのですが、そもそも、いわゆる「日の丸ファウンドリ構想」は、過去30年浮かんでは消えた失敗の歴史があります。

この記事は10年前の記事ですが、経産省の官僚はじめ、新会社の経営陣はここに書かれた失敗の歴史をしっかり「振り返って」戦略的に事を進めているのでしょうか?失敗の本質を探究することなしに、未来の成功はあり得ません。

残念ながら、現時点での筆者の見立ては極めて悲観的なものであることはお伝えしないとなりません。微力ながらこの事案に関われる機会を伺って行きたいと思います。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。



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