帰化選手獲得・申請の手引き②(帰化申請予定選手の確認すべき事項)

今日は「帰化申請」を予定している選手について、確認しておくべき事項のお話しです。

対象は「普通帰化」(帰化申請は普通帰化・簡易帰化・大帰化に分かれます。)

いわゆる、独身もしくは配偶者も外国人といった選手になります。

日本国籍取得の要件で、まず思い浮かぶのは「日本国内に五年以上居住歴がある事」ではないでしょうか。

「五年以上、日本でプレーしているから帰化できる！！」

これ位の高い温度感で期待されているかと思います。

しかしながら、これだけの情報で帰化を見込み契約をするのは、とてつもないリスクがあります。

帰化について定めている、国籍法第５条では「引き続き五年以上日本に住所を有すること。」とあります。

この「引き続き五年以上日本に住所を有すること。」ですが、単に来日してから五年間経過しているだけではなく、五年以上続けて日本国内で生活の実態がある事が必要になります。

続けて五年以上の生活実態が必要ですので、日本を出国し本国に帰国したような場合、その帰国期間は日本で生活をしていませんので、注意が必要です。

短い期間の出国であれば、日本国内で生活を続けており日本国内の生活に定着性があるものの、一時的な出国があったと判断され居住歴は継続されます。

長期間の出国となりますと、続けて日本国内で生活をしていないと判断されます。

具体的な目安としては、五年以内の日本国内での生活の中で三ヶ月以上続けて出国歴があると、長期期間の出国があったと判断され、それまでの居住歴はリセットされます。

例えば、このような事例です。

2020年8月1日に新規入国したA選手の出国期間

2021年5月20日〜2021年8月1日（出国期間２ヶ月１２日⭕️）
2022年5月30日〜2022年7月25日(出国期間1ヶ月26日⭕️)
2022年10月18日〜2023年2月20日(出国期間4ヶ月2日❌)
2023年5月25日～2023年8月1日(出国期間2ヶ月7日⭕️)

この場合、A選手は2022年10月18日から2023年2月20日迄、三ヶ月以上続けて出国歴がありますので、2022年10月18日迄の居住歴がリセットされ、日本へ再入国をした、2023年2月20日から改めて日本国内で５年間続けて生活をしなければ、「引き続き五年以上日本に住所を有すること。」の要件を満たさなくなります。

つまり、2028年2月20日になりませんと「引き続き五年以上日本に住所を有すること。」という居住要件を満たす事ができません。

この三ヶ月以上続けての出国については、Ｂリーグのシーズンオフ期間に発生し易く、特にＢ２、Ｂ３はＢ１と比較してシーズンが早く終了し、外国籍選手も早い時期に帰国してしまいますので、注意が必要です。

この「引き続き五年以上日本に住所を有すること。」の居住要件を満たしていませんと、その他の審査項目において帰化許可の基準を満たしていたとしても、許可はおりません。

前回も少し触れましたが、「帰化申請」自体は行政行為ですので要件を満たしていなくても、法務局に申請をしているケースはあります。(一部の法務局では要件を満たしていない、強引な申請が問題になっているとの事です。)

重要なのは帰化申請受理＝帰化許可が保証されるものではないという事です。

帰化申請は「届出制」ではなく「許可制」ですので、許可要件を満たさなければ、当然許可はおりません。

それでは、毎年シーズン終了時にビザを失効させて帰国し、三ヶ月以内に新規入国の手続きをして日本に入国し、それを五年繰り返した場合はどうでしょう。

次のような事例です。

2019年８月１日新規入国～2020年6月30日ビザを失効させて帰国
2020年８月１日新規入国～2021年6月30日ビザを失効させて帰国
2021年８月１日新規入国～2022年6月30日ビザを失効させて帰国
2022年８月１日新規入国～2023年6月30日ビザを失効させて帰国
2023年８月１日新規入国～2024年6月30日ビザを失効させて帰国
2024年８月１日新規入国

この場合もビザを失効した時点で、引き続き日本国内で生活をしているとは、みなされませんので「引き続き五年以上日本に住所を有すること。」の要件を満たさなくなります。

この五年間の出入国歴については、選手が使用しているパスポートをコピーしてもらい、実際に確認をした方が良いです。

ご依頼があれば弊所でも確認が可能です。

それでは、実際のパスポートを見て出入国歴を確認してみたいと思います。

また、パスポートを紛失してしまい、出入国歴が確認できないといった事例の解決方法についても説明したいと思います。

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