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3人の僕が
別々の方向へ
歩いてゆこうとする
幻をみた
わざとじゃないから
引きとめられない
誰も 選べないから
何処にも行けない
眠れない夜は
かつて 遠くへ
歩きだした君を
思い出す
歩きだした 僕を
思い出す
意識の気配が
夢に漕ぎだして
星のまばたきだけが
ちらちらと 落ちてくる頃に
アルミでできた大きな月が
くるくる 満ち欠けするのを眺める
青い氷の 陸を散歩して
知らない街を 彷徨う君を
宇宙の影に ぱちぱち見あげる
時計を戻して ぱちぱち見あげる
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