きんせんか

「ねえ、何読んでんの、こんなとこで」
「…」
「ねえねえ、そこのミコッテくん」
「…」
「おーい聞いてるー?聞いて〜」
「エーテル学の本だけど…。ちょっとうるさいから静かにしてくれる?」
「ふーん」
「…」
「ねえねえ、シャインアップル食べる?」
「いらないよ」
「疲れた時は甘いものって言うじゃん」
「疲れてないし…」
「今おれの相手して疲れたじゃん?」
「…ぶっ」
「笑った。」
「いやわらってないし」
「どう見ても笑ったじゃん。おれの相手して疲れたなんて…酷い…」
「いやそっちが言っ…あの、ごめん」
「…じゃあ食べる?」
「うっ…わかった食べるよ…」
「ねえ、美味しい?」
「あー、うん」
「適当じゃん…」
「程よい酸味が良いですね」
「ふーん。」
「なんなのおまえ!」
「お前じゃないよ。ルゥ。ル•ベルンシュタイン」
「ご丁寧にどうも」
「あんたは?ムシャムシャ」
「エ•サン•ティア」
「ふーん。サンちゃん」
「ほんと初対面の相手に馴れ馴れしいなぁ…」
「ねぇ、くっついていい?」
「急になんなの…読むの邪魔しないならまぁいいよ…」
「今絶対諦めたでしょ」
「…」
「スンスン…おひさまの匂いすんね」
「…」
「名前のまんまだね」
「…」
「ねー、サンちゃん聞いてる?」
「聞いてるよ。えー…と、ルゥだっけ、ちょっと静かにして?」
「ふーん。しょうがないな〜」
「静かにしてて?」
「…スンスン。いいにおい」
「…」
「サンちゃんおいしそうだね」
「は、はぁ!?」
「はー。あったかい」
「ペロペロ」
「ウワーーーーー!やめてくれる!?」
「あ、ごめんつい」
「離れてって言わないんだね」
「言ったら離れてくれる?」
「え?嫌ですけど」
「ねぇ、サンちゃんさぁ、恋人いる?」
「…いないよ。いまは。」
「ところで君さ、殴られたの?それ」
「あ、これ?聞いちゃう?おれ女の子大好きなんだけど、そのー、鉢合わせしちゃって」
「…うわぁ」
「女の人いないと生きていけないの」
「なかなか最低だった」
「甘やかしてくれるなら男の人でもいいよ」
「…うわぁ…節操ないなあ…でもナイトなんだ?」
「いもうといるからね。超かわいいの。めんどうみなきゃ。親いないし」
「ナイトだとそれなりに稼げるでしょ、お堅い職のイメージだし」
「お堅い職って…それ正規な方法で…ナイトになったのか…?」
「するどいじゃーん。貴族のお姉さまをちょっとね、ウフ。」
「…聞くんじゃなかった」
「ねぇサンちゃんチューしていい?」
「……………いやダメでしょ???」
「なーんだ、だめかー」
「とことん馴れ馴れしいなきみ…初対面だぞ…」
「おれサンちゃん好きになっちゃった」
「なにいってんの、きみ」
「へへへへへ」
「サンちゃん恋人になんない?おれフラフラしまくってるし女の子相手だと三股とかするけど」
「いや普通にダメでしょそれ」
「ダメであって、いやではない…なるほどね…うん…」
「ダメも嫌も同じじゃない?」
「ほんと~~に~~~?」
「ほんとーに。」
「どーしても?」
「うん、どーしても。」
「じゃあチューしていい?」
「どうしてそうなる」
「わかったわかった、したいならしていいよもう」
「やったー。ここ往来だけどね」
「…!やっぱりダメ!」
「もう遅いよ。」


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