ホリチさん

自分が仙人と呼んでいた、高松で散々通ったFUZZの向かいにあるACEのホリチさんが事故で亡くなった。
フレアジーンズに腰まで伸びるボサついたグレーの長い髪、自分の鳴らした爆音にやられてか聞こえづらい耳、話してるとたまにカッと開く目、ホホッと笑う口元、仙人なのか無邪気な子供なのか分からない、唯一無二の人。

周りから生きる伝説と呼ばれていて、自分もなんだか生き仏を見ているような気で会っていた。
特段深い仲でもない。バンドでお世話になってもいないし、ご飯を食べに行ったこともない。ACEかFUZZで会ったらちょっと喋るくらい。けど、優しくて格好よくて大好きだった。

ホリチさんのことはロック、ガレージパンクの概念が歩いてるように思いながら見てた。
ホリチさんが所属していたモンドダイアモンドというバンドのライブは何度か観て、ライブ中ホリチさんはフリルのシャツに青いベロアのスーツを着て短い煙草咥えたまま爆音でギターを鳴らしてた。

訃報はTwitterで知った。怪しくて可愛くて狂ってるとか、対等で接してくれた大人とかいろいろ書いていた人がいたけれど、自分もまさにその通りだと感じていて、かなり年上だけど敬語を使うこともなく、会ったら自然に喋れる、そのまんまで生きている美しい人間だと思った。

一回ホリチさんが寝坊して、代わりにFUZZに寄っていた自分が店番を頼まれたこととか、ACEとFUZZの間の路地でおーちゃんと喋ってる光景とか、いろいろと思い出す。

いろいろと思い出して、今は悲しいか、切ないか、なんなのか。

美しい、すごい人だ。
ご冥福をお祈りします。
また会いたいな。

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