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消失 、 続く

高田馬場のホームでHと合流し 地下鉄を乗り継いで清澄白河へ 美術館へ向かう途中に大通りの角にある定食屋を見つけて中を覗く 展示を先に見ようと信号を渡り 美術館に入る 「あ こんな展示もやってたけど まあいいか?」「いいでしょ」とHも言うので目当ての企画展示の部屋に入る 建築家の展示なので 模型や 設計図 映像もあるけど 発していた言葉もたくさん展示されている Hは吉阪隆正は知らなかったと言っていたけど 歩くのが好きな人には 面白がれる展示のようで よく見ていた 山小屋の設計図や 住んでいた家の図面を見たりした それからコレクション展を見に行き 「この作家さんの作品好きなんだよ」福田尚代さんの作品を指して言ったら 「好きそうですね」 「これいいな」 「わかるな」 と立ち止まって名前が覚えにくい作家さんの詩のような文章を読む その後 小豆島で作品を作っていた康夏奈さんの作品に目が止まる 「この作家さん知らなかったな」 「亡くなってるんだ」 「同じ世代だ」 作品を製作している映像を見る 「遊びがありますね」「あるね」 「知らないもんだね」 展示を見終わって吉阪隆正の本を一冊購入する Hも同じ本を購入 美術館を出て昼食を取ろうと来る途中に見た定食屋に戻るも もう休憩の時間に入っていた 「しっかり休みますね」「もう少し歩こうか」 15時近い時間で閉まっているお店が多い 資料館の前を通り 深川めしのお店は営業していたけど 通りすぎ 門前仲町の方へと歩く とんかつ屋を見つけるもやはり休憩中で 「モスバーガー」 「喫茶店もあるよ」「少し見てまわる?」 「呑み屋さん多いね」 口内炎があるHが食べれるものを考えながら歩く 「これは無理」とタイ料理屋の前を通りすぎ 珈琲屋を見つける 「どうする?」「行きます?」 「食べれるものありそう?」 「大丈夫ですよ」 店内に入ると常連客らしきお客さんと話しているマスターに席を案内される メニューを見て 「決めた?」「どうすっかな やっぱりナポリタンかな」 ナポリタン エビピラフ アイス珈琲を二つ 注文の途中お客さんが入ってきてカウンターに座る常連客らしきお客さんが会計して出ていき カウンターに座っていたお客さんが席を移動する スプーンとフォークを先に持ってきてくれて ネコとイヌの形の置物にスプーンとフォークが置かれる Hの方にネコが置かれた 奥の台所から調理の音がして しばらくして ピラフとナポリタンが運ばれる エビがしっかり入っているピラフで いただきますと言って 休まずに食べたので Hに「珍しく 一気にいきますね」 「お腹空いてたから ナポリタンどお?」 「うまいっすよ」 「口の中は?」 「大丈夫」 食べ終わって プリンを注文すると Hが「プリン二つでお願いします」と注文して 小さめのプリンが運ばれる 「ちょうどいいかも」 「いいっすね このくらいの」 プリンを食べて 珈琲を飲み切り 外へ出る 「当たりだったね」 「普通のことをちゃんとしてる店ですよね」 「いいよね」
「お参りします?」 「少しあっちへ歩いていい?」メインの通りから少し入った道を行くと 小さい橋があって そのまま少し行くと 釣り船が止まっているのが見えてきて そのまま歩く 「コセキジョウ?」 見たことない地名のあたりを歩く「フルイシバって読むんだ」「ここら辺は初めて歩くかも」「そうだね」 また橋を渡り進むと 大きな通りに出て 途中コンビニに寄る 店員さんの丁寧な対応を耳で聞きながら 店内を見て Hは荷物を入れる用の紙袋を買っていた そのまま進むと 豊洲の地名が出てきて 「豊洲ってこのあたりなんだ」広い道路とタワーマンションの景色を見る 「これは川? 海?」 「川かな あっちへ行くと月島ですよ」 月島方向へ歩く 「こういう景色を毎日見る生活 できるんだろうか?」 「無理っすね」 「無理かね」月島に出てそのまま地下鉄に乗り新宿へ向かう  大江戸線のどこかの駅で降りて 新宿西口広場を歩く 「地下なのに光が入るってすごいよね」
「あそこ滝みたいなのがありますね」「車から見たら また別の景色が見えるんだろうね」 少し離れた場所から小田急百貨店を眺める 「小田急行ってみようか」 エレベーターで一番上の階までいって エスカレーターで降りながら 上の方の階から西口の景色が見える場所を探す 「あそこから見えるね」 窓に近づいて 西口の風景を眺める 車が緩やかな螺旋のように設計された場所を通っていく 人も点滅するように歩いているのが見える この今立っている小田急百貨店のフロアはそう遠くないうちに 消失する 立っている自分もそう遠くないうちに 消失するんだろう 西口広場を眺める また地下に戻って 「じゃあ 帰ります 今日は誰か来るんじゃないですか?」 「だと いいけどね」 「じゃ」 「また」 で 高円寺へ向かう

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