アーケードを抜けて歩く

16時40分に到着して Iに言われた通り人の流れに沿って改札を出る 予想通りIの姿は見えないので Iに連絡をするも繋がらず しばらくしてIから連絡がきて「歩きながら待ってて」というので歩いていると もう一度連絡があって 「アーケードを進んで そのうち合流するから」と連絡があったので アーケードを歩いていたら 合流しないままアーケードを出てしまい もう一度連絡すると 「わかった わかった」と言っていて ぼやけてIが見えたので 手を振る 「これお土産また珈琲」「ありがとう」 「どうする?」 「どうでもいいよ」信号を渡って 「Tが入籍したよ 写真預かってるけど見る?」「今はいいや 結婚いつ?」「先月」「へえ」 「引っ越しもしてたよ」「どこ?」 「雑司ヶ谷のあたりらしいよ」 「好きなんだね あの辺り」 「しばらくはこっちへ戻れないって言ってたよ」 「もうこっちには帰ってこんやろ」 「どうだろうね」 「東京行っても もう Tのところは泊まれんな」とIが言うので 一瞬「未明の闘争」が浮かんだりしながら 自分の近況も報告し Iの近況も聞き 珈琲店に立ち寄り そこでTの写真も見せ 「まだTとわかるな」 「そう わかる?」「わかる わかる」「何年会ってないっけね?8年くらいかね」「そんななるかね」 「Tに比べてどんどんと不安定な生活に自分は戻るよ」 「違和感ないけどな」 「いつまで働くんだろうね」 「年金手帳とか見る?」「来るよね ずっと働かんと生活できんような気がするけどね いろんな場所に行く度に 今からこの仕事やろうとしてできるんかな?とか思って 体力も変わるからさ 自信ないけど どうにかするんだろうか?っていつも考えてるんだよね」19時を過ぎて そろそろ行くかと店を出る 「カフェオレにするとは思わんかったな」 「今日 寒かったしね 疲れてたから カフェオレにした 珈琲美味しそうだったね」 「美味しかったよ さっきのが店長さん」 「お店の入口に焙煎の紹介で出てたね」 「もう一店舗あったんだけど今はここだけになってさ」「どこも維持するんは大変よね」 道路を渡り Iが入社したかった会社の前を通りその隣に建設中の建物を見ながら「受かると思ったんだよな」 「受かりそうやった?」「面接ではそんな気がしたけど だめやったね」「寒くないの?」 「寒い」 「コート着ないの?」「こないだまでこんな寒くなかったから 用意しとらんかった」 「これ 公団かな?」 「公団かも 違う 市営って出てる」 「見えんね 書いてある?」「見えん? 書いてあるよ」団地を眺め テイクアウトの焼き鳥屋の前を通る 「未だに 不安定な生活しとるでしょ?」「不安定でいることが安定やないの? その方がSにはしっくりくるんやないの?」 アーケードを戻り駅に出て 「夕飯どうするの?」 「まだわからん 適当かな」「眼科は行った方がいいよ 緑内障は気をつけた方がいいよ」「そうだね」「今日はスタートが遅かったからこんなもんかね」 「そうだね また」 電車の時刻表見たらまだ少し時間あったので もう少し歩こうかと思ったら まだIが見送っていてくれたので もう一度「また」と挨拶をした

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