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清陽荘三号室

家賃二万円雑費千円(水道費込)の張り紙を見て不動産屋に入る 部屋を見せてもらい引っ越しを決める 不動産屋のあるところからは長崎銀座の看板が見える 一駅分の距離なのでほとんどの荷物は自分で運ぶ 玄関入って右手に下駄箱 左手に一号室 廊下には共同の流し 突き当たりに共同のトイレ 二号室通りその隣の三号室 ドア開けると流しと一口コンロ 更にドアを開けると四畳半 押し入れに天袋もある 銭湯にはアパート出て右へ進む 徒歩30秒 引っ越した日 二号室の俊一さんと円さんに挨拶する 「夕飯まだならカレーあるよ」と言われご馳走になる カレーにはさつまいもが入っている 部屋の扉にはBLANKEY JET CITYのポスターが貼ってある 六畳一間の部屋には窓際にベッドがあって その日は他にも人がいて カレーを食べおわってお礼を言って部屋に戻る 布団を敷いて横になって過ごす 小型冷蔵庫の音が近い 冷蔵庫の音を聞きながら寝る 起きてからバイトを探しに出る 目白通り沿いの本屋に採用になる 一度遅刻をしたら反省文を持ってくるように言われる 夕方まで考えるも反省文は浮かばず そのまま給料も貰わずに辞める またバイトを探す 目白通り沿いの絵の具会社に短期アルバイトの張り紙があって応募する 採用され一ヵ月の勤務が決まる 駅近くの商店街を見て 八百屋でさつまいもとほうれん草を買って帰る 実家から持ってきた文化鍋で茹でる 朝8時過ぎに起きて 共同の流しで顔を洗い 着替えて バイト先に行く 新学期に学校に卸す絵の具セットを作る作業をする バンドをやっている佐藤さん デザインの勉強をしている小林さん 印刷所の仕事を辞めたばかりの林さんと一緒になる 絵の具 筆 筆を洗う用の折りたたみバケツ スポンジを箱にセットしていく 昼休み 佐藤さんは一緒に暮らす彼女が作ってくれた弁当を食べる 小林さんは買ってきたパン 林さんは自分で作った弁当 社員の大津さんは弁当を食べながら佐藤さんと音楽の話をしている 自分は歩いて五分のアパートに一度戻って 茹でたさつまいもを食べる 大家さんが廊下を掃除している 挨拶をしてまた出かける 林さんは光ヶ丘の団地が地元で中高は学校へは行かず家で過ごしていたと話す 佐藤さんは好きなバンドのことを話す 小林さんと自分はただ聞いている 次の日 林さんは離れて暮らす恋人の話をしている 昼休み また部屋に一度戻る 窓を開けて風を入れる バイトが終わり 部屋に戻って横になる 夜銭湯に行くと 円さんもいて 脱衣所にいたら円さんが背中を拭いてくれた 部屋に戻って寝る 起きてからまた顔を洗い 着替えて 共同の廊下の蛍光灯を換えようとしている大家さんの手伝いをして出かける 林さんはお姉さんの話をしてくれる 大津さんは好きなジャズの話をよく通る声でしてくれる 小林さんはあまり話さずに聞いている 佐藤さんは就職するかバンド活動を続けるか考えている 林さんは恋人が元自衛官で任務を拒否して解雇され裁判をしていると 入学用のセットを作りながら話す 自分はただ聞きながらセットを作る 土曜日 麹町までチケットの特別電話予約の受付バイトに行く チケットが売り切れたら終了で 日給をもらい そこから九段に出て神保町を通り秋葉原 御徒町 上野 日暮里 西日暮里と歩く 西日暮里から乗り池袋で降りて西口に出ると 「今晩 泊めてもらえませんか?」とスーツを着た男性に声をかけられる 東長崎まで歩いて帰る 銭湯に行くとよく見かける姉妹がきたので シャワーの出が悪い洗い場に移動する 姉妹は定位置のように洗い場の場所を決めている 部屋に戻って 布団に横になる 一号室の美容師をしている知子さんの兄弟が来ている 知子さんは五人兄弟の長女で 兄弟は実家の足立区から遊びに来るらしい 横になってラジカセから流れる音楽をヘッドホンで聴いていると 円さんがドアを開けてテレビに自分が好きなミュージシャンが出てることを知らせてくれる 二号室で俊一さんと円さんと一緒にテレビを見る お礼を言って部屋に戻ってまたヘッドホンで音楽を聴く そのまま就寝 日曜日はバイトがない 銭湯横のコインランドリーで洗濯をする 駅近くの喫茶オリーブでモーニングを頼む 食パンを三角に半分にカットしてパンの切り目にバターが塗ってある ゆで卵 サラダ ヨーグルト 珈琲で350円 お店にある新聞と週刊漫画を読んで 読み終わってコインランドリーから洗濯物を持ち帰る 物干しに洗濯物を干す 自分の部屋の真上のひろみさんに会う 建築を勉強していると言う ひろみさんの彼氏にも挨拶する いつもは彼氏の部屋の方に行っていると言う 部屋に戻って布団に横になってヘッドホンで音楽を聴く アタマカカエテ イツモノシバフニネコロンデ と言う歌詞が流れ続ける 月曜 バイトに行き絵の具セットを作る 昼休み 営業の人と佐藤さんが音楽の話をしている 主任の大塚さんというおじさんが 食べ歩きが好きでこないだは日暮里の方に薬膳カレー屋があってそれを食べてきたという 大塚さんは奥さんが亡くなった後は一人で食べ歩きに出かけるのが趣味だと話す 小林さんや自分に「若いんだから もっと遊ばないと」と声をかけてくる バイトが終わり八百屋に寄って買い物し 部屋で焼きうどんを作る 母からの電話に出る 同級生の近況を聞く バイトには行っていると伝える 家賃二万 銭湯代一万 光熱費 食費 雑費 全て込で 一ヵ月八万円に収まる計算 住み込みのバイトに出ても 家賃二万円なら払っておける計算だと伝える ヘッドホンで音楽を聴く 銭湯に行くのは面倒になって そのまま寝る 起きて 顔を洗い バイトに行く 佐藤さんから 佐藤さんが好きなミュージシャンが亡くなったことを聞く 大学の学園祭にも呼んだことがあると言う 自分も聴いていたバンドだった 小林さんと林さんはそのバンドは聞いたことがないと言っていた 佐藤さんは次の日バイトを休んでいた 小林さんにバイト終わりに「少し歩きませんか?」と声をかけられる 椎名町の方へ出て 途中にある甘味屋の最中アイスが美味しいと教える 最中アイスを食べながら東長崎の方まで歩く 地元の徳島のこと 大学でプロダクトデザインを勉強していること 就職活動の話を聞く 風の感触が春で東長崎の駅のところで挨拶をして別れる アパートに戻り 横になってヘッドホンで音楽を聴く 佐藤さんの好きなバンドのCDをかける 晩ごはんに根三つ葉と一緒に豚肉を少し茹でる ポン酢と胡麻油をかけて食べる 銭湯に行って コインランドリーで洗濯もして 帰ってからまた音楽を聴く 何者かになりたくはないけど 免罪符はあった方が楽だろうと考える 起きて 顔を洗い バイトに行く 佐藤さんから葬儀に行ってきたと聞かされる 就職活動をこれからする予定だと聞かされる 林さんも就職活動をこれからすると言っている バイトの帰りにリサイクルショップで二層式洗濯機を見る 目白の図書館に寄ってから帰宅 少し雨が降る 部屋に戻るとドアの前に洗濯物が置かれている 近所の肉屋まで行きコーンコロッケを買う コーンコロッケを食べて寝る 春分過ぎて絵の具会社の出荷作業も片付いていき バイト最終日に 林さんに手紙を書きたいから住所を教えて欲しいと言われ 紙に書いて渡す 大塚さんから処分する予定だから好きなだけ持っていっていいよとアクリル絵の具を大量にもらう アパートの隣に住む大家さんに家賃を払いに行く 「雑費の千円は大変だろうからいいですよ」と言われ家賃2万円を渡す 旦那さんが戦争で亡くなったこと 娘さんも数年前に病気で亡くなったことを聞く みかんとバナナと煎餅とチョコレートを手渡され部屋に戻る もらったお煎餅とチョコレートを晩ごはんにする 横になってヘッドホンで音楽を聴く カベニモタレ ミミヲスマシ ソンナコトヲオモッテイマス 銭湯へ行って帰ってから寝る 渋谷にある劇場制作部の渡辺さんから芝居の手伝いに来ないか?と連絡が来る 劇場が持っている稽古場での公演 演目はチェーホフの「かもめ」 指定された場所に行くと以前一緒にその劇場での歌舞伎の公演でボランティアスタッフをした 二宮くん 智恵さんも来ている 指示された通りに案内係をする 順番で本番を観れることになっていたけど 本番を見ずに劇場外の階段に座る 桜が散り始めている 劇場制作部の田中さんが以前自分が送った手紙のようなものの感想を言いにきてくれる 楽日の前日に渡辺さんに食事をご馳走になる 帰りのエレベーターの中で 「君みたいな人は生きるの大変だろうな 時代が早過ぎるか 遅過ぎるかどっちかだろうから たまには顔見せに来なさい」と言われる 渡辺さんを見送った後 二宮くんと智恵さんはもう帰れない時間だと言っていて マクドナルドに一緒に入る 二宮くんは演劇のプロデューサーを目指していて 「どんな芝居も商業として成り立たないと駄目だよ」と言っていて 智恵さんは 「商業として成り立たなくても 出さないといけない作品がある」と言って 始発までお互い意見を変えず 自分は何も話さずそれを聞いていて 部屋で聞いていた曲の続きの歌詞が流れてくる デグチノナイヨウナ フシギナヨルダネ ダダダッテコンヤハ ダダダッテコンヤハ ダダダッテコンヤハ ドヨウビノヨル 智恵さんの従兄弟は自分も聴いていたミュージシャンで子どもの頃従兄弟のことが好きだったんだと以前話していた 智恵さんの顔を見ているとその従兄弟のミュージシャンと骨が似ている 小岩に住んでいる智恵さんは今度神楽坂で一人暮らしを始めると言っていて 東中野で上映される映画を一緒に行こうと誘ってくれる 二宮くんは商業演劇の製作をしている会社に就職が決まったと言っていて それぞれ小岩と柏に帰っていった 山手線で目白駅まで行き 目白から東長崎まで歩く 少し寝てまた劇場に行き 手伝い終わって銭湯に行って 部屋に戻って寝る 起きてから一番近いコンビニまで アルバイト情報誌を買いに行く 短期アルバイトの求人を見る ビル内の交通量調査と印刷会社の書類集配の求人をチェックする 交通量調査の求人に登録する 印刷会社の面接日も予約する 本も音楽も映画も芝居も必要なく生きれるようになるにはどうしたらいいのか?考える 考えながら布団に横になって寝てしまう 起きたら夕暮れ時で 廊下に出ると俊一さんがドアを開けて夕飯を作っている 外に出て 椎名町まで歩いて部屋に戻る そしてまた寝てしまう 朝自分が叫んだかもしれない感触で起きる 着替えて登録していたビルの交通量調査で築地まで出かける そのビルに入っている広告代理店の新社屋建設の為の調査だと聞かされる 指定された階に設置されたパイプ椅子に座り その階のエレベーターの利用者数をカウントする 短い休憩時間にトイレに行くと 社員の人たちの会話が聞こえる また椅子に戻りエレベーターを見続ける 夕方アルバイトは終わり 日給が入っている封筒を受け取る ビルの外に出て橋がある方まで歩く 川を見て ビルの赤い非常灯を見る 無数に点滅している非常灯を見る そこから銀座まで歩いて池袋に出て 東長崎まで歩く 部屋に戻って 印刷会社に持って行く履歴書を書く 書き間違えて3回書く 青梗菜を炒める 袋麺を作って食べる 銭湯から戻って何度も読んでいる文庫本をまた読む 寝て 起きて 共同の流しで顔洗う 着替えて高田馬場の印刷会社まで面接に行く その場で採用になる アルバイトの期間は1ヶ月半くらいと言われる 高田馬場から目白に出て東長崎まで歩く 夜 東中野まで映画を観に行く 映画館の出口で 「今から話せん?」と声をかけられる 自転車を止めてあるところまで歩いていると その人が後をついてきて 「ちょっとでいいから話できへんか?」と言われる 山手通りと早稲田通りが交差するところにあるファミレスに入り ドリンクバーを注文する 一時間ほど店内で話しかけられる 「寂しないの?」と聞かれる その人の言っている寂しいは何を指しての寂しいなんだろう?と考える 「家まで行ってええ?」と聞かれ断ると「あんたも変わりもんやな」と言われる 部屋に戻って銭湯が終わり近い時間だったのでそのまま寝る 起きてからゴミ出しに外へ出て バイトもないので部屋で横になってヘッドホンで音楽を聴き続ける ヤガテスベテ セカイハヨルノナカ アツメラレタ ヒカリヲケサナイデ ワタシタチノイエ コインランドリーに行ってから 駅の方まで歩く 喫茶オリーブのイブニングセットの看板が目に入る 駅の反対側へ行って 一号室の知子さんが働く美容院の前を通って 踏み切りを渡って 部屋に戻る 月曜日になって高田馬場の印刷会社へバイトに出かける 交通費を節約する為に会社の近くまで自転車で行く 出勤すると待機する部屋にアルバイト全員集められ 仕事の説明を受ける 担当の酒井課長から 午前中配達に行く書類を何件分か預かる 地図も渡されそれぞれ出かける 地図をうまく読めないで戸惑っている人もいる 毎年この時期にこのバイトをしているという大島さんと 安田さんは直ぐに書類を持って移動していた 日本橋 田町 大手町 どこもビルの入口で担当者に連絡して 担当者に直接書類を渡すことになっている 配達が終わると会社に電話で報告をする 配達が終わって会社に戻り 昼休憩を一時間取って 待機部屋で篠崎さん 渡部さん 大野さんと一緒になる  昼休みにランチビールを飲んだと話す渡部さんの右手が少し震えている 篠崎さんは 「会社の交通費でいろんなところ行けていいよね」と言っている 大野さんは浦安から通っていると言う 順番に書類を渡され部屋を出ていく 午後の配達が終わって帰社する 自転車でアパートまで帰る 銭湯に行って帰ってから直ぐに寝る 起きて顔を洗い着替えて自転車でバイトへ行く このバイトの常連の大西さんは朝駅近くの青汁スタンドで青汁を飲んでから来る 実家暮らしで坂戸というところに住んでいて このバイト以外は仕事はしていないと話す昼ごはんは食べないと言う もう一人のこのバイトの常連の安田さんは大阪出身で関西弁は全く使わず 正社員で勤めていた会社が無くなってからずっとこのバイトに来ていると言う 赤羽の方から来ている豊田さんは実家の近くで一人暮らしでこのバイトは2度目だと言う 待機部屋で篠崎さんの話を聞く 東京出身で家を出たくて大学は弘前に行き 大学院からは仙台で過ごしたと言う 何の勉強をしていたのか聞くと 「宗教学 イスラム教の研究」と言われる アルバイトしてお金が貯まると海外に行くと言う 「外篭もりしてるんだよ」と聞こえた 順番に書類を渡され部屋を出ていく 途中まで同じ電車に乗る篠崎さんに 日本の有名なアニメーション作家3人をバンドに例えて話すと 「いきなりそんな話するな」と言われ 謝って電車を降り配達先に向かう バイトが終わり自転車でアパートに戻る 八百屋に行ってもやしとニラを買う 皿うどんを作って食べる 廊下に出ると 俊一さんから「バイトどおした?」と聞かれ 印刷会社の短期バイトの話をした 大家さんに家賃を払いにいく 耳が少し遠いので 何度か 「ごめんください」と言う 20時には大家さんは寝ているらしいので夕方に家賃を払う 二万円渡すと バナナと煎餅とチョコレートをまた手渡される 部屋に戻って 横になる 銭湯に行き 帰って寝る バイトに行くと大塚で風呂無しアパートに住んでいる岩田さんが御徒町に朝からやってる銭湯があると教えてくれる 書類を持って京王線で調布に出てそこからバスで移動する ミシン会社の敷地は広い 守衛さんに行き先を伝え 担当者に書類を渡す 駅へ戻るバスを待つ 東京のこの辺りは木々が多いことを知る 水筒に入れている水を飲む 午後は青砥のおもちゃ会社と立石にある会社へ書類を届ける バイト帰りに渡部さんから家に古い雑誌があるから見たかったら家に来ていいよと言われる 部屋に帰って 八百屋で買った胡瓜と茗荷を刻んで塩を振って食べる 休みの日 渡部さんの家に行く 十条駅から7分くらい歩いたところにあるシャトーが頭にくるアパート名で ワンルームの部屋は雑誌のコレクションがたくさんあって何冊か見せてもらい 駅まで送ってもらう 「これから酒飲むけど どお?」と聞かれ 酒を飲む習慣がないので帰りますと行ってお礼を言って別れる 「また 来ていいよ」と言われたので会釈した 池袋から歩いて帰る 渡部さんは以前働いていた編集プロダクションに戻りたいと言っていた 自分には戻りたい場所があるだろうか?と考える 西池袋で銭湯に寄る部屋に戻って ヘッドホンで音楽を聴く カドヲマガルジヒガナゼカ マチノバカニスカレタラ と歌詞が流れていく 横になってヘッドホンをしたまま寝てしまう 朝起きて顔を洗い着替えてバイトに行く 神谷町 田町の方へ書類を届ける 途中通った公園にハトの形がデザインされた塔があって その公園の辺りからは東京タワーが見える 木々が目に入る 見えたものを見えたまま見続けることはできるんだろうか? 午後は大手町と新橋の方へ書類を届ける 1カ月くらいすると段々と仕事量は減っていき 希望する人のみ残り用のある人は辞めていった 業務が一区切りしたところで酒井課長が今日打ち上げをするからと さかえ通りにある居酒屋に連れていかれる 新入社員だという中田さんが好きな音楽の話をしていて西武球場にライブに行くんですと言っている 好きな音楽ありますか?と聞かれ ピで始まるバンド名を言ったら ビで始まるバンド名に変換されていたので 特にはないですと答え直す 渡部さんはひたすらビールを飲み続けている 隣にいた篠崎さんが 「興味ないから言うんだけどさ あなた投影されやすいでしょ? 中途半端な見た目でよかったね 美人だったら刺されてたかもよ」と言う 意味がわからないまま聞いていたら 「人は見たいようにしか見ない して欲しいリアクションしか求めないもんだよ あなたの反応は人が欲しい反応を一切渡せてないんだよ」と言われる 「あなたみたいな人は外国行った方がいいかもよ 通じないが前提になるから」と言われる 打ち上げが終わり外に出る 旅で出会った人であなたに合いそうな人がいるから今度紹介するよと言って篠崎さんは帰っていった 渡部さんはふらつきながら帰っていった 大西さんは打ち上げでお茶だけ飲んでいて食事はしないで帰っていった 自転車で帰りながら 次の仕事をどうしようか考える 銭湯に行って 帰って直ぐに寝る 起きたら昼過ぎで 何もしないまま夕方になる 銭湯も行かずに そのまま寝てしまう 起きてから顔を洗い着替えて 最終日のバイトへ行く 午前は汐留 お台場へ書類を届ける 昼休憩に大塚に住んでいる岩田さんが駅近くに安いカレー屋さんがあるから一緒に行こうと言う 線路沿いの小さな飲み屋が並ぶ二階のお店でカレーを食べる 最終日だからと岩田さんが奢ってくれた 午後は有楽町 東銀座へ届けてバイトが終わる 篠崎さんは最終日に新幹線を使って届けに行っていた 常連の大西さんと安田さんはもう少し残って仕事すると言っていた 挨拶をして別れる アパートに戻って冷奴とトマトを食べる 前のアパートの時に通っていた銭湯に行く 久しぶりに水風呂にも入る 銭湯の帰りに焼き鳥屋に寄り ニクカワ レバー カワを一本づつ買って帰る 起きてから 顔を洗い着替えて 池袋のハローワークに行く パートの求人で歯科技工物集配を見つける 時給800円 週6 勤務地高田馬場 紹介状をもらい面接日の予約を入れる 池袋で本屋に寄ってから 目白で図書館に寄り 東長崎まで戻る 喫茶オリーブに入り イブニングセットを頼む 新聞を読んで 週刊漫画を読む  イブニングセットはトースト ゆで卵 ヨーグルト 珈琲で350円 モーニングとの違いはサラダがあるかないかの違いだけだと知る 会計をして アパートに戻る 俊一さんから「おかえり」と言われる 「ただいま」と言って部屋に入る 洗濯物をコインランドリーへ持っていく アパートに戻ると円さんが共同玄関のドアを開けるところで 「最近元気?」と聞かれる 下駄箱の上には大家さんが欠かさずに置いてくれている一輪挿しがある 俊一さんは夕飯の準備をしている 部屋に入って 音楽を聴く 履歴書を書き始める 水道から水をコップに注ぐ 窓を開ける 網戸を通って 風が入ってくる 梅雨はまだ来ない

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