APOGEE「グッド・バイ」

先日、APOGEEというバンドについて書きました。

最近APOGEE期なので、歌詞とか読み返したりしてみてる。

私の中で、ふとAPOGEEの曲が頭に浮かんではリピートされる時期があって、そこから他の曲達も聴き込むという、度々そういうサイクルに入ります。
たいてい、悲しいことがあった時です。

最初に浮かぶ曲は決まっていて、「グッド・バイ」というサードシングルです。
そのサビの入りの部分を無性に聴きたくなるんですね。
3回あるサビの入り、本当あまりに美しくて完璧です。
3小節くらいで切り取ると歌詞が悲しみに傾きすぎますが、そこに延々と思いを寄せる形になります。
泣きたい時に聴いて、「泣きたくなるなー」と毎回思ってますね。

ジャケット含めて大好きな曲。

APOGEEってメンバーそれぞれが詞も曲もつくるけど、バンドとして明らかに音重視タイプで、歌詞がどうとか、例えばインタビュー記事等で言及してる印象がない。
英語得意だろうなって感じ。
初期は頑張って日本語詞で書いてた…みたいな部分はあったらしい。

そう思って改めてこの曲の歌詞読むと、筋が通ってるようで通ってないですね。

同じ動詞がすぐ出てきたりして、詩としては整ってない部分もある。

でも、語感とメロディーと声とが合ってることで、綺麗に聴こえるんだろうな。

まず全体的に、“気がした”類の表現ばかりで、ほぼ頭の中の話なんですよね。
“伝えたい”とか“かまわない”とか思ってるだけ。
本人が明確に何か行動する動詞は“探す”のみですが、それも“目を閉じたまま”なので、手足を使って動き回るというよりは脳内で記憶を辿ったり残像を追ったりするイメージ。
目に関する単語も多いし。

そして歌詞を順に読んでも、なんかさっきと言ってること違わない?あ、さっきのってこういうことなの?え、どっちなの?みたいに、ちょっとずつ引っかかって、意外とスムーズなお話ではないように思えます。

でも、言ってるその感覚はわかる。それぞれのフレーズが簡潔で綺麗で、この曲にはこの歌詞がぴったり。

タイトルが「グッド・バイ」で、忘れるのか連れてくのかわかんないんだけど、最後のサビに“さよなら”が出てくる。2回目のサビでは“セイハロー”とも言ってる。
私だったらどっちかだけしか入れない。
でも、人間の脳内ってこうだよな。喪失が悲しい、一瞬前向き、まとまってなくて行ったり来たりしてるのかも。そこが良いのかもしれない。

“何を見ても悲しいほど美しい気がした
今ならすべてがわかるような気がした
このまま ずっと すばらしい日々さ
さよなら そんなのって 泣きたくなるだろ”

特に好きなところ。最後のサビの一部。

この曲は、APOGEEの中でも切実で根が深い感じが強くて好きです。
“泣く”じゃない、“泣きそう”でもない、“泣きたくなる”ってのが本当に良い。
これから失うものも多かろう人生において、何度も聴くことになるんだろうな。

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