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履正不畏

仕事で使う手帳は、カレンダー式のマンスリー見開きページがあればそれでいい。をだからもう何年も、こだわりなく配布される手帳を使っている。
後ろのページには週間ページもあるが、たまのノート代わりにしか使っていない。
4センチ角の狭い1日に、上下を午前午後と分け、時間と予定を書いていく。シーズン中はその右下に、神宮の予定が入り込む。かなりぎゅうぎゅうでも、一目でスケジュールが分かることが重要なのだ。

今日の会議は、そこそこメモを取った。普段使わない後ろのページには、右上に格言が書いてある。知ってはいるが、いつもはほぼ目にすることのないその格言たちを、何とはなしに読み始めた。

正を履んで畏れず(履正不畏)
―――― 高橋是清 官僚・政治家

あそこまで日本史を避け続けて、よく学校を卒業できたものだと感心するくらい、私は歴史を知らない。高橋是清の知識は、「総理大臣」「二・二六事件」「お札になった人」くらいなものだ。

その、高橋是清の格言が、「履正不畏」(りせいふい)だった。

昼休みをつぶして、検索する。故事成語でもなさそうだ。「正を履んで畏れず」(せいを ふんで おそれず)とは、どういう意味なのか。

元を辿るのに、ヒントとなる検索ワードは……

「履正社高校」

当然、校名の由来となっているのが、この履正不畏なのだろう。そして、そもそも会議中にこの四文字熟語に目が止まったのも、この履正社高校という固有名詞に思い入れを持っているからなのだ。

東京ヤクルトスワローズには、履正社高校出身の選手が4人いる。

長男・山田哲人 1992年7月16日生
次男・宮本丈  1995年4月3日生
三男・中山翔太 1996年9月22日生
四男・寺島成輝 1998年7月30日生

この「履正社四兄弟」がいるヤクルトファンは、2019年夏の甲子園、履正社初優勝に大いに沸いた!オフのファン感謝DAYでは、「履正社高校初優勝記念OBトーク」のコーナーもできた。もうすでに、履正社高校は東京ヤクルトスワローズの附属高校と言っていい。笑

思い入れを持って見つめる履正社高校の「履正」の意味は。

履正社高校オフィシャルウェブサイトの「教育理念」のページに、建学の精神として「履正不畏」という言葉が出てきた。

2022年に創立100周年を迎える履正社は、履正不畏・勤労愛好・報本反始を建学の精神として、学校教育の実践に努めてまいりました。「履正不畏」(正を履んで畏れず)とは、自ら正しいと信じることを、何ものも畏れず勇気と責任をもって実践すること。(後略)

自ら正しいと信じることを、何ものも畏れず勇気と責任をもって実践すること。

まさに、山田哲人だ。山田哲人という人は、自分で納得できないことはしない。その代わり、やると決めたらとことんやり遂げる。多くのコーチや同僚の山田哲人評と、「正を履んで畏れず(履正不畏)」が重なる。

信念と意思を感じる、山田哲人。これが「履正不畏」だった。

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