きもちがほしかった つば九郎と川崎憲次郎
東京ヤクルトスワローズの契約更改は、概ね滞りなく終わった。
一人否、一羽を除いて。
つば九郎さんが、契約更改を保留した。
理由は、FA宣言後交渉中のライアンこと小川泰弘投手との交渉回数の差だ。「ざつなこうしょう」と、不服申し立てをしたのだ。
つば九郎さんは、言っている。
「ころなかのなかでだうんはよそうしてた。けど、きもちがほしかった」と。
きもちがほしかった。
契約更改時のこの切実な言葉に、私は少し前に読んだある記事を思い出した。
2000年オフ、ヤクルトスワローズから中日へFA移籍した川崎憲次郎さんの、当時の裏話だ。
書いたのは、中島大輔先生。新著「プロ野球 FA宣言の闇」で、日本プロ野球界のFA制度について多角的に考察している中島先生が迫る、FAの渦中にいた川崎憲次郎投手の心の動き。
ヤクルトファンと名乗るのが恥ずかしいくらい、初めて聞く話ばかりだった。
「気」を感じなかった球団が、ヤクルトだった。愛着ある球団への不信感を抱える川崎の苦しみは想像を絶する。
人は気持ちでしか動かない。
いつの世も、そうなのだ。「気」を感じなかったヤクルトと、熱意を持って接してくれたレッドソックスと中日。
どう心が動くかは人によって違っても、目に見えない「気」が決心の決定打となることは、十分あり得る話なのだということがよく分かる、川崎憲次郎の率直な体験談だった。
野球ファンこそ、気持ちでしか動いていない。私はヤクルトが好きだから、ヤクルトの選手にもヤクルトを好きでいてほしい。そのために、居心地のいい神宮をつくる。私にできることと言えば、それくらい。だからいつも、笑顔で選手を応燕している。
◇◆◇◆◇
「ライアンばっかり構っちゃって。つば九郎はないがしろ。チェッ」
そんなつば九郎さんの気持ちは、時代を超えて、川崎憲次郎と重なる。FA宣言をした選手なら、きっと分かる感情なのだろうと思う。
つば九郎さんの契約更改は「えつねん」が決定した。
どれだけ苦しいクリスマスイブを過ごしているのだろう……
商魂こめてんなオイ!笑
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