今いるそこの若いのも、野球選手だ

終業のチャイムが鳴り、すぐにスマホを手に持つ。もう、スマホのない日々を想像できない。むかし昔その昔は、こんな便利なものがなく生活していたのに。

「ヤクルト 6人登録抹消」

記事には、「特例2021」適用とある。コロナだ。少し前に、球団スタッフ数名にコロナ陽性者が出たというニュースがあった。感染が広がったか、自身が感染したか。

しかもその6人とは、青木、内川、山田、西田、西浦、スアレス。昨日の今季初勝利から勢いをつけたかったところでの主要メンバー離脱となってしまった。記事の論調は当然「激震」「緊急事態」「痛恨」の文字が並ぶ。

それがなんだ。

私は、野球を知らなくてよかったと思っている。戦力ダウンを計算する頭がないからだ。無知は、無敵だ。
私の望みは、ヤクルトの選手が球場で躍動すること。ウチのユニフォームに袖を通した選手は皆、大切なウチの選手なのだ。
だから、抜けた穴が大きかろうが、応燕の声は大きいまま。さぁ、代わりに誰が出る?いや、代わりだなんてとんでもない。鬼の居ぬ間に、存分に暴れたらどうだ?チャンスだぞ。

2017年。球団ワースト記録の96敗を喫したあの年が脳内に広がる。畠山和洋、川端慎吾、雄平、小川泰弘、秋吉亮といった、2015年優勝の立役者たちの相次ぐ故障。2年連続トリプルスリーの山田哲人も、孤軍奮闘しながらも「3」には届かなかった。

「ヤ戦病院」と言われたあの年、山崎晃大朗、藤井亮太、奥村展征、谷内亮太が戸田から神宮へやってきた。
ヤクルトの二軍本拠地・戸田球場は、埼玉県戸田市美女木(びじょぎ)にある。シーズン当初から変わったメンバーに、「美女木スワローズ」という呼び名がついた。もちろん、2017年の超低空飛行を揶揄する、自虐的表現だ。希望を込めて、出場機会の少ない選手を後押しし、功労者として称える気持ちで使われていない以上、口にしたくない「チーム名」だった。

市中感染が通常となってしまった今、どんな組織でも従業員が6割程度になった際の事業運営について、危機管理対策が求められる。
野球組織で言えば、一軍の試合は美女木スワローズが担うとして、そうなると美女木スワローズの存続が危うくなる。
事実、本日登録された特例2021の代替指名選手のうち、松本友、長岡秀樹、武岡龍世の3人は、鎌ヶ谷スタジアムのファーム戦に出場した後、横浜スタジアムに合流した。ダブルヘッダーはシーズン中もよくあることだが、常態化すれば選手の酷使につながってしまう。

それでも、いけと言われていかない選手などいない。戦う集団にいる戦う選手に、キャリアも格も何もない。

どんなに気を遣っていても、コロナから逃げられない危機的状況で、チームは勝利した。
主力がいないチームでも、ウチの戦力をよく見てほしい。

今いるそこの若いのも、野球選手なんだ。

R3.3.31 wed.
DB 3-5 S
横浜スタジアム

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