きんにくんが躍動する野球場で ○C×S●19回戦

4回裏、先頭打者の2番・田中広輔の当たりはライトフライだった。しかし、落下点はかなり手前。ポテンヒットか?そう思った瞬間、中山翔太が前進し、スライディングキャッチで1アウトを取った。
1点ビハインドのヤクルトを活気づける、きんにくんのファインプレーだった。

その後、5回裏。広島・宇草孔基のタイムリーで2点献上し、点差は3点に広がってしまった。
年齢は、きんにくんの1つ下。宇草は、法政大学の後輩だ。
かつてのチームメイトが、別々のチームに分かれ、対戦している。プロ野球というエリート集団ならではの光景だ。

きんにくんのそれまでは、2打席ノーヒット。6回表の3打席目。2アウト満塁の場面で、きんにくんは代打を出され、今日のプレーを終えた。

バッティングを買われて入団してきたことは間違いない、きんにくん。証拠は、彼の背中にある。
スワローズの背番号8。それは大砲の系譜だ。大杉勝男、広沢克己と、こどものころ胸躍らせた強打者の背番号を受け継ぐこの男。
しかもそれを、ルーキーで与えられたのだ。期待度MAXのバッターなのだ。
それでも今日は、ノーヒットのままベンチに下がってしまった。

若手は、与えられたチャンスを生かしてレギュラー争いに食い込んでいかなければならない。厳しい世界だと思う。しかし、これまで野球で培った「限界を超える」経験が、そんな厳しい世界を歩んでいける強さを作っているのだとも思う。

きんにくんが躍動する野球場で、きんにくんがレギュラーで、きんにくんがホームランを打つ。それで、たくさんの人が笑顔になる。きんにくんの、筋肉で盛り上がったぶっとい二の腕を見ながら、私はいつでも笑顔でおなかいっぱいになると思う。

今日のような日もある。明日は何があるか、誰も知らない。
だからきんにくん。今日の日はここに置いていって、明日も野球場で会おう。
何が悔しいって、勝った方は笑顔だということだ。当たり前だが。私だって勝てばそうだが。
宇草の同級生、森下暢仁のお得意先になってしまった。村上宗隆が大声で怒りを吐き出した。悔しい。悔しい。

R2.10.10 sat.
C 3-0 S
マツダスタジアム

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