嶋基宏がいる神宮より ●S×C○16回戦

嶋基宏が登録抹消となったのは、神宮有観客試合前の7月12日だった。右足舟状骨骨折、全治未定。
開幕延期が決まっていた3月21日、練習試合で右手親指を骨折してから二度目の事故だった。

嶋は、東北復興の象徴だった。東北の傷ついた心に寄り添い続けた嶋。その嶋が、神宮にやってくることになった。東北の人たちはどんな気持ちなんだろう。ヤクルトファンとして、気が引き締まった。

嶋を失ったヤクルト。嶋を失った東北。思いは同じだった。嶋を大切にしたい。嶋を支えたい。嶋に、思う存分、野球をしてもらいたい。

今日、嶋基宏は、神宮に帰ってきた。

2月の浦添キャンプ見学以来の嶋基宏を見て、改めて思う。

そうだ、嶋のプロテクター。黄緑色のパイピングで縁取られたその防具たちは、嶋が今、神宮で野球をしていることを証明するかのように、鮮やかに輝いて見えた。

嶋は、ベテランと言っていい年齢だ。しかし、感情をかくさない。爽やかな笑顔もあれば、アウトでベンチに戻る時には叫びながら戻っていく。
スアレスとともにイニングを無失点で抑えたときには、思わず雄叫びを上げていた。

こんなベテランが、野球の試合に興奮している。熱く熱く、野球をしている。これほど尊いことがあるか。熱く戦う野球選手に引っ張られ、私も自然と熱くなる。これが、野球観戦の醍醐味なのだ。

今日の観戦は、バックネット裏から。ブロックサインを出す嶋を見て、思う。

この背中には、たくさんの思いを背負っているだろう。だから私は、私の思いを乗せない。私は、この背中を見失わないよう、しっかりと見つめ続ける。そして、その先の、嶋基宏の野球道を、嶋とともに見つめ続ける。

野球、存分に楽しんで!嶋!

R2.10.3 sat.
S 2-13 C
明治神宮野球場

警告試合のことを書くには、取材不足だ。なんて日だ。なんてまけほの日だ。お疲れ様。ノリちゃんが無事でありますように。そんな中でも、嶋はずっとベンチで声を出し続け、あきおの隣にいた。

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