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オールスワローズで戦おう

7時半には家を出なければならなかった私は、いつもの土曜の朝のように寝過ごすわけにはいかなかった。
だから、東京ヤクルトスワローズ・内川聖一のインタビュー記事(スポーツニッポン)に目を覚まさせられ、助かった。眠かった。内川に感謝しなければならない。

移籍してきた、ベテランと呼ばれる歳の選手は、決意を持ってスワローズの一員になろうとしていた。
そんな内川の心に残ったのは、臨時コーチとしてキャンプ前半帯同した、古田敦也の言葉だった。

「スワローズをつくってくださった歴代の先輩も含めてオールスワローズで戦おう」

ヤクルトが伝統ある球団だということを知ったのは、2017年。新入団選手発表会で、ユニフォームに袖を通した感想を問われたドラフト1位・村上宗隆が発した一言だった。

「ヤクルトの伝統あるユニフォームを着て、ようやくスワローズの一員として野球ができるんだなという実感がわきました」

ヤクルトの、伝統あるユニフォーム。……伝統!?

私がこどもだった昭和の時代、遡れば当然、歴史は浅かった。数駅離れた伝統ある球団と比べ、そのブランド力には歴然とした差があった。
自分が年を食っていないという自覚がないわけではなかったのだが、私はそこで時を止めていたようだ。
2019年はヤクルト球団創立50周年のメモリアルイヤーを迎えた。気づけば、伝統ある球団になっていたのだった。

優勝の仕方を知っている、ヤクルトのレジェンド。古田敦也の14年ぶりの現場復帰に、ヤクルトファンは大いに盛り上がった。優勝請負人としての期待に胸が弾む。無観客のキャンプは、一気に熱を帯びた。
その就任初日に、ヤクルトの選手たちに向かって、古田敦也が言った言葉。

OBも熱く見つめている。その熱意を現場に持ってきた。ともに闘おう。

そんなメッセージを、選手たちはどう受け止めただろうか。
スワローズの歴史とその重みを感じる、古田敦也の決意。在任中の11日間、落とせるものはすべて落としていった。いや、まだまだ手持ちの札は切り尽くしてはいないはずだ。
それでも、古田ミーティングで「お前たちで勝つんだよ」と言われたバッテリーは、もらったアドバイスを自己課題として取り組み始めている。

窮屈に感じるOBの圧力ではない。伝統の重みを重圧に感じる必要もない。
オールスワローズは、勝利のための強力な後ろ盾だ。

だから、2021年。勝利のために、力強く前を向いて、戦おう。

そして、できたら。ヤクルトファンも、オールスワローズの一員に入れてほしい。ともに戦う覚悟はできている。

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