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叶うべき夢の先へ 宮城大弥

オリックス戦は、昨季の交流戦で見ている。神宮で見る、吉田正尚。興奮した。

開幕が、6月19日。神宮の有観客試合が7月24日。とにかく神宮に通えることがうれしくて、スケジュールをこなすのが精一杯で、もう一つの贔屓球団、北海道日本ハムファイターズの試合を球場観戦していないことに気づいた。
球場に野球ファンが集まり始めても、コロナの終息は見えていない。最低限の日常生活を送る中、遠い北海道へ遠征することなど、はなから諦めていたのだと思う。

しかし、ようやくペナントレースの終わりが見えてきた今、最後に悔いの残らないシーズンにしたいと、なんとか仕事の調整をつけ、最初で最後の遠征をすることを決意した。

対オリックス戦。京セラドーム大阪。チケットはオリックスファンクラブに入っている野球友が手配してくれた。当日、大阪で暮らすふたりと合流し、今年最初で最後のファイターズ観戦をしたのだ。

ビジターユニに身を包むファイターズと同じ、ビジターレプリカユニを着て、応援という名の写真撮影を始める。京セラドームは、撮りやすい。照明の具合か、球場の広さか、席に恵まれたか。そのすべてだと思う。

先発は、オリックス・宮城大弥(みやぎひろや)。ファイターズ・河野竜生(かわのりゅうせい)。ともに2019年ドラフト1位のピッチャーだが、河野は鳴門高ーJFE西日本と、社会人経験のある22歳。対する宮城は興南高から入った19歳、高卒ルーキーだ。同じ1年目でも経験が違う。それでも、マウンドに上がればキャリアは関係ない。

宮城のことは、2019年のドラフト当日に毎年TBSが放送する、「ドラフト緊急生特番!お母さんありがとう」で知っていた。

再現VTRで幼少期の宮城が紹介される。経済困窮のあった家庭で育った宮城は、つぎはぎだらけのユニフォームをチームメイトからバカにされる。塞ぎ込む宮城を両親は励まし、宮城は「下を向いていてもしょうがない」と、明るく「うんそうだよ、ウチは貧乏なんだ!」と中傷を笑い飛ばした、というエピソードだった。

たしかに、笑顔の似合うかわいらしいお顔立ちだ。しかしそこには、辛さを力に変える強さがあるのだった。頼もしい若者だ。
そして何より、まだ10代だ。これからの人生、いくらでも好きに歩める時間を持っている。
プロ野球選手という仕事は、華やかさの裏に、その何十倍の涙がある。若さでその涙を乾かせるうちに、ひたむきに野球道をすすんでほしい。つい、そうやって応援に力の入る選手だった。

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本拠地最終戦を、19歳の高卒ルーキーに任せる。当然、実力もあるのだろうし、球団の期待も大きいのだろう。宮城は初回、2点を取られた。ピンチのときには、球場内が激励の拍手で包まれる。オリックスファンも、見守り、後押ししているのだ。

京セラドームは、応援歌が流れない。それは神宮も同じだが、神宮では燕軍団が録音してくれたチャンステーマが流れる。京セラドームはそれもなかったが唯一、イニングの合間でチャンス応援歌「讃丑歌(さんちゅうか)」が流れた。

高らかに響け我等の歌声よ
届け熱きナインの心まで
打てよ 走れよ
ひたすら前見て
叶うべき夢の先へ

叶うべき夢の先へ。まさに今必死に投げている宮城を後押しする応援歌だった。

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頑張れ。宮城大弥。

R2.11.6 fri.
B 4-3 F
京セラドーム大阪

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