誰かを思えば、誰かが傷つく。

知床遊覧船の乗客だった彼の書いた”プロポーズの手紙”とは重さが全然違うし、私自身のことではなく、私だったら嫌だなと思った話ではあるけれど…

プロポーズの手紙が公開された時、この時のことを思い出した。


推しのファンレターの内容を嫁が知っていて、その内容について嫁のSNSで発信されるということがあった。100歩譲って夫婦の会話の中で推しが「こんなファンレターをもらってね…」と夫婦の日常会話なら良いとしても(本当はそれすらもイヤだけども)、嫁のSNSで「旦那にはファンからこんなファンレターが来ます」といわれるのはファンレターの内容がどんなものであれ、あんまりいい気はしなかった。

だからプロポーズの手紙が公開されていることを最初に知ったときはビックリしたし、見てはいけないものをみてしまったような気持ちにもなった。

でも…

もし、自分の大好きな人とどうにもこうにも連絡が取れない状況。
安否さえもわからない。

だけど思いは伝えたい。
届けたい。
届いてほしい…。

彼女に彼の思いを届けたくて
遺族の方々が公開しているのだとしたら?

2人一緒に見つかって欲しいという願いが叶わず、未だに彼女が見つかっていない今、彼の思いに引き寄せられるように見つかってほしいと思ってのことだったら?

もしも…

もし、彼女が彼と一緒に見つかっていたなら
あの手紙は公開はされなかったんじゃないかな…
(そうなってみないと本当のことはわからないけれど。)

私もプロポーズの手紙は彼女が一番に読むべき。
プロポーズの言葉は彼女だけのもの。
晒すなんてとんでもない!

それは大前提としてあるけれど…

今回の件は通例に当てはめて考えられる
プロポーズではないんじゃないかとも思う。

もし、プロポーズしようと思う自分の大切な人が安否不明だったら…

大事な手紙を公開されて恥ずかしいとかそんなことよりも、
どんな形でもいいから届いてほしいと私も思うかもしれない…。

テレビの力を借りられるならばそれでも。
それで届く可能性が少しでもあるならば…。

SNSは自分の意見を言う場所ではあるけれど自分の価値観を押し付ける場所ではない。

あなたがそうであっても
SNSにいる多くの人がそうであっても
”彼”はそうではないかもしれない。

テレビの言うことは、ニュース番組であっても全部が真実かどうか疑わしいし、都合よく事実が作られたりすることもあるんじゃないかと思っている。

遺族の意志ではなく、マスコミの皆さんが葬儀に押しかけて、展示されていた手紙を勝手に撮影し、無断で公開したならひどい話だな…と思ったりもしたけれど、その手紙の映像のテロップに遺族の同意を得ていることを書いてあるぐらいだから、勝手に掲載しているわけではないのだろうなと。
彼のこと、彼女のことをよく知る遺族の皆さんの意思で公開していることならば、それがどんな理由であれ、第三者が遺族を批判するのも遺族を責めるのも違うんじゃないかと思う。

彼の手紙を公開した事実だけで遺族を批判するのではなく、きっとその決断にも遺族の皆さんが考えた末、大切な人への大切な思いがあってのことだろう…と慮り、1日も早く彼女が見つかり、彼の手紙が本来一番に手紙を読むべき彼女の元に届くことを願いたい…。

…見つかってほしいのは彼女だけじゃない。

今、なお安否不明、見つかっていない12名の方々が早く見つかることを心から願っています。


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