2020_0614 パラノーマンズブギー EP3 つつがなきや レビュー
(全敬称略)
2020_0614上演
パラノーマンズブギーEP3 つつがなきや
ススキドミノ作
総評
EP3は全編を通して
キャラクターの心情や立場の
表裏や明暗が行ったり来たりする
『転』の要素が強い台本だと感じました。
EP1,2に登場していたキャラクターたちが
物語上の立ち位置を新たに登場したキャラクターに
滑らかに速やかにその位置を受け渡すようなあたりも
非常に自然な『転』だったと思います。
宝屋敷:小桜 あゐに関して
声のキャラクターに小動物的な愛らしさがあります。
EP1から通して、実は高音組で
こういうカラーの人はいなかったので
棲み分けがとても良くできていました。
特にプリプリしたときの声がもう本当にフレッシュ!
フレッシュなんですよ!シャキシャキのレタスをかじったような声で
可愛らしさといじらしさをゴリゴリに押し出してきます。
ここには麻薬的な響きがあります。癖になる。
荒人:ガロに関して
EP3になり、ついに荒人君に
青少年の匂いがたつようになりました。
劇中の時間の流れの中で一番キャラクター像が
表情豊かに変化してるのは彼だと思います。
ちょっと口を
Σ
こんな感じに尖らせるような
そんなトッぽい喋り方、ボカァ好きだなぁ。
ちなみに終幕ではキャラクターに一気に陰が付きます。
そしてそれはこの方の演技が最も映える温度で
この方の声の美味いところが詰まっています。
岩政:エス.ケーに関して
前回の出演に比べて自然さが増しているように感じました。
あ、生え際の話ではないです。
その一方で、セオドアに肉薄したときのような
感情の温度差の表現には急激な傾斜があり
カットの鋭さにぞくりとします。
この直下降とアクセルアンドブレーキで
このキャラクターが持つ「食えなさ」を
非常に上手に演技されています。ええ。
シン:あんずに関して
この方の声は柔らかくも
非常にテンションの強い弦楽器のような
響き方をします。
特に高音がビビットに強く、
駆け上がるように響くピーキーな声だと思います。
そういう声の方は今回のように
キャラにかっちりハマると
本当に唯一無二な固有感
つまりはこの人の声がこのキャラのスタンダート
というような雰囲気が生まれます。
セオドア:DarthVaderに関して
年季の入ったフェンダーのギターに
ファズを噛ませたような乾いたセクシーな声の粒。
美学のある悪党を演じさせたい声ナンバーワン(斯波調べ)
「なぜ追われている?」の一言にセオドアの魅力と
この方の美しさがギュッと詰まっている。
荒っぽい演技させたらもうほんと凶悪。抱いてほしい。
田中:るふと栄:机の上の地球儀に関して
イレギュラーなまとめ方になってしまいますが
今回は田中と栄を分けて語ることができません。
演者の方には申し訳ないのですけども
この愛すべき二人は一緒に紹介させていただきます。
田中は今回の台本前半ではスイートな表現が多く
三枚目の立ち振る舞いをされていました。
結果として、この方の声の
特に美味しいところを今までになく出せていたと思う。
にしても、後半はやっぱり持っていくよなー。
栄は、今回は今までで一番トーンを落としていて
高音を削り芯を強くしたような演技が多かったです。
トレブリーな表現も多く、全編を通して表情豊かでした。
田中と栄は今回感じた水面下のテーマの
『転』をよく表しているように思う。
今までの二人の関係性と一見したところの
キャラクターが上手に愛着たっぷりに
ゆっくりと変貌していきます。
時間経過を楽しめるペアって素敵ですよね。
壱:ゆーたこ
はにかみを織り交ぜた爽やかさがとても眩しいです。
この方も、このキャラクターも
ここまでのエピソードで空席だった音の部分に
ズバッと入り込む最適な演技と配役だったと思います。
しっとりと甘く湿った声は今回のキャストの中で
一番底を響かせ、キャラクターの翳りに深みを添えています。
今作に居そうで居なかった王道(?)のかっこよさ。
めっちゃかっこいいんですよ。
荒人との繊細なボーイズのぶつかり合いは滾ります。
N・志摩の両親・射的屋・祭り客:オルット3に関して
今回も素敵なオルット3ナレーション。ほんと好きです。
特に、両親役との瞬間的なスイッチの鮮やかさたるや。
少し無機質な冷ややかさをたたえた
丁寧なナレーションもいいけど
ちょっと荒っぽい下町の親父の声なんかも
本当にしっくりハマりますね。
この方は、たくさんの顔を持っています。
movieのアダツさん
音響ゆう兄さん
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