声劇キャットファイト
オスをペロリと食べてしまうカマキリと
空をかっとぶオニヤンマとでは一体どちらが強いだろう。
声劇キャットファイト。
西のゲキグルイ、机の上の地球儀さんと
東のゲキグルイ、めるさんが
30日連続で一対一のお芝居を連日行うという
頭が沸いているとしか思えない素敵な企画である。
この企画は、私が敬愛するこの二人の声劇プレイヤーに
うわごと程度のノリで提案したことに端を発する。
私は、このお二人がとても良く似ていると思う。
似ているといっても、それは声の質や演技の指向性ではない。
私が思うに、この二人に共通するのは
・幅広い役ができるマルチプレイヤーである点
・周りの方に気を遣える点
・マネジメントやプロデュース能力をある程度有している点
そしてなにより
・末期のゲキグルイである点
ここに尽きる。
彼女たちは口をそろえて
「勝手に声劇のスケジュールが埋まっていく」という。
これは時代が時代ならMMRが捜査に乗り出すに値する
強烈なオカルト現象である。
処女受胎じゃあるまいし。
お前らの手帳は不思議なポケットじゃねえんだよ。
劇の予定が増えていくってのは相手の兼ね合いもあって
ビスケット2つになるよりよっぽど調整と工程を有するわ。
などと、思わず言葉が汚くなるような
ツッコミ衝動に駆られると同時に
私の中に強烈な好奇心が芽生えているのを感じた。
声劇の予定が勝手に増えていく二人を
がっつりカチ合わせたらどうなるのだろう。
無意識に劇の予定を詰めていくという行為はもはや条件反射に近い。
彼女たち二人はお芝居というジャンルにおいては昆虫のような挙動をする。
餌が来ればノータイムで食うのである。
昆虫だなんて失敬だなと思われるかもしれないが
これは最大限の敬意の現れである。
突き詰めたものは昆虫のような挙動をする。
詳しくはバキを読んで欲しい。
ごく一般的なプレイヤーならば思わずしり込みしてしまうような
ハードコアな企画でも、このカマキリとオニヤンマなら
或いはやり通せるかもしれない。
とにかく世の中、目には目を、歯には歯をである。
好奇心だけで生きている私ではあるが、
内容が内容だけに、まず軽いジャブをということで
お二人に企画の骨子をチラつかせた。
お二人の親睦を深めるために毎日二人劇とかやったら
おもしろいんじゃないっすかね~?(概要)
さあ、どんなリアクションがくるか。
「勝手にお芝居の予定が増えていく~」などとのたまう
劇昆虫ふたりであっても、毎日同じ相手と
30日間連続で声劇をするというのは
さすがにハードルが高かろう。
大変そうなら遠慮なく断ってくれていいのだ。
初期衝動はなんてことない好奇心なのだから。
さあて、どうなったかなと
ほんの少しの間をおいてレスポンスを確認したところ
開催が決定していた。
このときの私の感情をどうしたら表現したらよいだろうか。
大学入試で使っても配点は40点くらいあるとおもう。
私が放ったのは提案でも打診でもなくて、ただのジャブだ。
そのジャブだって、あてるどころか、ちょっと振ってみただけだ。
そしたら一瞬で奥襟つかまれて床をなめていたのだ。
きょうび零細の鉄腕ワンマン社長でさえ
こんな即断即決はふつう行わない。
これが劇昆虫たるゆえんである。
なぜか台本と配役は私が決めることになっていた。
まあそれくらい当然といえば当然なのだけど、
仕掛けたつもりが仕掛け返されたのも
ちょっとした衝撃だった。
こうして見切り発車的に声劇キャットファイトの火ぶたは落とされた。
私も企画した手前、なるべく可能な限り
お二人のお芝居を見届けて(聞き届けて)みたいと思い
皆勤賞とまではいかないが精勤賞くらいはもらえる頻度で拝聴している。
正直、連日連夜同じ相手と延々やっていると
無気力相撲や敗戦処理的な場面も出てくるだろうと思っていた。
悪趣味ながら、そういう場面にも立ち会ってみたいとさえ思っていた。
しかし、声劇キャットファイト
ひとつ残らずクオリティがめっちゃ高い。
これが、劇昆虫たるゆえんである(2回目)
聞いてて退屈するようなお芝居は
15本折り返した時点では一本もなかった。
この二人は基本的に、全ての劇をフル・スイングしていると思う。
個人的に、芸事にかける熱量は高ければ高いほど良いというスタンスなのでこの二人の取り組みには心からの敬意を表したい。
最初はカマキリとオニヤンマを飼育かごで戦わせるつもりだったが
いつのまにか怪獣大決戦をみてるちびっこのようなマインドになっている。
ゴジラもメカゴジラもがんばれー!
今日も明日も劇昆虫はガチンコで演じ続けるのだが
最後に二人に一つだけ苦言を呈したい。
きみたち終幕後の話がやかましいうえにめっちゃ長い。
あとはすべて好きです。
企画終了まであと半月を切りましたが
ご両名とも体調には気を付けて最後までびゃーびゃーやってくださいね。
末尾になりますが、声劇キャットファイトを観劇してくださっている方々に
この場をお借りして御礼申し上げます。
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