2020_0604 パラノーマンズブギー EP2 幸運少女 レビュー

(全敬称略)

2020_0604 パラノーマンズブギーEP2 幸運少女
ススキドミノ作

総評

物語が進むにつれてカメラの数が増え
場面ごとにペアを組みお話を進めていきます。
これが、組み合わせや相性の妙を味わえて
めちゃくちゃ楽しかったです

EP1から連続して登場しているキャラクターでは
物語の時系列に伴うキャラクター表現の変化も味わえて
二度楽しめる、シリーズ物の旨みだなと思いました。

あと、音響は前回よりもはるかに攻めてます。
若干、回線が不安定なところもありましたが
それを気に刺せないテンポ感のある上演でした。

にしてもこのパラノーマンズブギー
最高にエンターテイメントしてますね。
もちろん、超・いい意味で、です。

速水 朔:芥川 どぽぽに関して

EP1上演時と比較して明らかに
調子が良いようにお見受けしました。
とにかく滑らかに中・高音が出てました。
綺麗でよく通る高音が特徴だと思いましたが
今回遺憾無く発揮されていると思います。

田中 新一郎:るふに関して

余裕を前面に出した演技をされていると直感しました。
EP1でのジョーカー的な振る舞いと比較して
同一のキャラでありながら随分と印象が違います。
今回のエピソードでは、よき先輩であり
感情波打つ三枚目であり彼女思いなヒーローでもあります。
そのどれもが違う表情をしているので
多分演じられててご本人はめちゃくちゃ楽しかったと思います。
今回のペアリングでは、この方の一番美味しい帯が
フルに聞こえていてEP1と比較すると一気に色彩感が増していました。

棗:やこっこに関して

今回の上演では前回と比較すると
キラキラとラメを撒いたような
表現の仕方をされていると思いました。

それが、EP1の心理状態と比較して
他の登場人物に多少胸襟を開いた表現という
ならば非常にストライクだと思います。

この人、高い音をそしるように尖らせても
耳に触らないのは本当武器だと思います。

長く強い台詞回しも自身の個性を失わず
美しく粒ぞろいに吠えておられました。
ラストのセンターっぷり、本当にお見事。

荒人:ガロに関して

泥臭い苦しさ、息苦しさの表現が本当に上手いですね。

前作と比較して『人間臭さ』のような部分に
演技のフォーカスが絞られているように感じます。

(はっ)とか(へっ)って感じのセリフにない演技が
とても自然でこなれていて私は好きです。

劇の後半になるに連れて野太く逞しくなる演技は
劇中での成長を示唆していて、この先が楽しみです。

安東 麗奈:シトリンについて

少女に大事にされていたガラスのオルゴールを思わせる
可愛らしくも繊細な声をしています。

演技は間を大切に、表現の強弱をやや強くつけていますが
持ち前の声のキャラクターと組み合わせでは
決してくどくありません。

余談ですが、劇中で役を演じながら童謡を歌うのは
結構勇気が必要だったと思います。

その点も含め、全編を通して
尺の長い芝居も堂々を演じきった勇敢さが印象的でした。

栄 友美:机の上の地球儀に関して

今回の上演ではご自身の声の特性を攻撃的に選んでいる気がします。

ピーキーに、高音の波形がギザつくような声を出すことで
EP1と同キャラクターとの差別化を図っているのかなと感じました。

その場面ごとにキャラクターの顔をサッと変えられるのが
この方の凄いところであると私は思います。
そして、その管理がめちゃくちゃ上手いんですね。

感情のフェーダーとパン振りを自由自在に行う
魔性の女の基本みたいなところがあります。ああ怖い。

また、凄い部分的な評価になりますが
極限に早いセリフ回しの時に
タイプライターを叩くような無機質な、テクノ的なビート感があり
それが個人的にグッときます。

頭がおかしくなるような前衛的な台本とかやって欲しいです。

岩政 悟:エスケーに関して

彼の舞台向きのよく通る声で
「ハゲてますよ!」と言われたら
そうか、ハゲてるのか……という比較的ショッキングな事実も
是非もなしと受け入れられる気がします。

今回の上演で気づいたのは、この方、
テンションの落差の扱いがとてもうまいということ。

落語で一人語りとかやってもお上手だと思う。
畳み掛ける速度も非常に隙がなく、煽りがとにかく上手いんですね。

七原 裕介:ユウトに関して

今回のキャスティングでは
特に空いている音域を根こそぎ持っていける
おいしい配置だったと思います。

荒人との対峙は音域的にも非常に良い対照になっていて
クリーントーンとディストーションの
ツインギターのような味がありました。

この方、劇の上で声の競合になってしまうことが
少ないんじゃないかな?

聞き手の耳を鮮やかに奪うので、
とても有利なんですが、予期せぬブレスや
擦歯音は人一番目立ってしまうという
弱点もあると思いました。

N・塾長・管理人:オルット3に関して

安心と信頼のオルット3節(勝手に命名)。

この方の落ち着きと深みのあるナレーションは
SF要素の混じった近未来的な現代劇の
世界観を底支えすると思います。安定性も抜群です。

声の隙間にサッと入り、場面をグイグイ動かしていきます。

movie アダツ 音響ゆう兄
バックアップお疲れ様でした!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?