2020_0727ハイドラレビュー

(全敬称略)

2020_0727ハイドラレビュー
ススキドミノ作

総評

全ての役者が全力で
フルスイングするハイドラでした。
熱量というよりも純然たる熱さを感じます。

声そのものもそうなんですが
今回のキャストは四人とも演技のスタンスが
それぞれ違ったように思います。

プレイングスタイルに違いがある方が
私は好きなので、今回の上演とても楽しめました。

アリシア:瀬良に関して

幼さと若さの間にフォーカスを置いて
外側を糖衣でコーティングしたような
やや甘い声と演技を選んでらっしゃるように感じました。

甘く幼いのは声とキャラクターだけで
相変わらず演技が安定しています。
この人は、本当に、声とリズムが本当にブレないです。

かと行って一本調子がすぎたり
機械的になっているわけではありません。

しっかりと行間を読み、
相手の動きに付き合う振る舞いを見せます。
(個人的に)理想的な演技をする方だと思います。

天里:金飾艮之介に関して

この方の演技は何度か拝聴しているのですが
今回、過去最高にハマり役だと思いました。

薄くとんがった高音域を地滑りするように鳴きます。
呼吸が危なっかしいところさえ魅力になっています。

このテンションを最後まで活かしていました。

また、通常運行時のなんとも言えない
生理的にネトネトした感じが
天里というキャラクターの天才性に
なんとも言えない説得力を与えていると思いました。

ウー:麻音に関して

声の地を非常に活かせていると思います。
ワンミスでデッドボールになるような
強気の豪速球をチョイスし続けた勇気はお見事です。

声の張り出し感とブレスの押し出しの強さは
さすがです。

キャラクターのデザインを追うあまり
音の像が薄くなってしまう方も多いのですが
しっかりとした発声だな〜と毎回思います。

全員の中でもっとも間合いと
余韻を長く取っていたのが好印象でした。

全編通してやたらに加速しすぎてしまうと
お芝居のメリハリがなくなりがちなのですが
意図的な減速があるとピークが際立ちますね。

パーソン:くらげに関して

圧倒的な思い切りの良さがあります。
この人の発声には一切の迷いがないです。

これ、簡単にできるようで
なかなかできないことだと思います。

自然さとツクリの間で揺れる役者さんが多い中で
この人は向きを決めたら
そのまま突っ込むタイプだと思いました。

『キャラクターのわかりやすい顔』を作るのが上手いと思います。

ハイドラの登場人物の中で
パーソンが一番デザインの自由度が高いと私は思うんですけど、
そんな配役の中で、恥ずかしがらずに
外連味たっぷりに演技する役者が好きです。

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