2020_0714 22:00 シガレットキスレビュー
2020_0714 22:00 シガレットキス
偪山 漱流作
(全敬称略)
はじめに
今回は、同日2枠連続で
同じ1:1台本を別の演者で聴くという
大変実験的な機会を得ました。
後発22時組のお二人には申し訳ないのですが
21時組のお二人と比較を楽しみつつ
レビューを組ませていただきます。
総評
全体を通して、この二人の組み合わせは
非常にドライブ感が強いです。
21時の二人は全体的に表現は
シンプルながら非常に安定した上演でした。
一方、この二人の場合は思い切り上下に振って
キャラクターの表現の幅を限界まで広げています。
どちらが優れているとか、優っているとかではなく
完全に好みの問題ですね。
二人の空気感を味わうなら21時版だし、
劇のダイナミズムを味わうなら22時版でしょう。
22時版は劇全体のスピード感と
場面ごとのイメージが非常に強く出ています。
これは音響の影響も多分にあると思いますが
21時の二人がゆったりと振る舞う傾向にあるのに対して
22時の二人はドラマティックに振る舞う傾向に
あるからだと思います。
二人の距離感でいうと実はこの22時版の方が遠です。
男女というよりも仲間・戦友の匂いが立っています。
ふんわりした甘さよりも香ばしい感じがしますね。
キャスターマイルドよりラッキーストライク。
1:1の劇は、役者次第でこうも全容が変わるか、と思いました。
え〜?の音ひとつとっても四者四様で本当に面白いです。
茅町友香:麻音に関して
22時の友香はもっと彼氏との間に大きなストレスがあり
21時の友香よりも擦り切れている感があります。
21時の友香はアグレッシヴに、リズムを崩さずに押し出てきましたが
ます22時の友香はジャンプ力(りょく)が強く、
ぐっとかがんで高く飛びます。
リズムはタイトに、裏を意識して
冗長にならないキビキビとした台詞回しを選んでいます。
また、声を下に向けた時の陰の濃さが強く、
この友香はメンタルが落ちた時はズンドコまで
深く落ちるであろう友香だと思いました。
この方の上演は何度か聞いてるが
今回の上演が発声が一番自然に聞こえました。
この方にとって友香は当たり役だと思います。
劇中最後に可愛らしさで
一気に駆け抜けていったのは戦上手。
あざとささえある愛らしさでした。
吹屋亮平:アルコに関して
22時の亮平はちょっと無骨な感じで
21時の亮平とは担当科目も違うような感じです。
21時の亮平は落ち着きながら色っぽく振る舞うのに対して
22時の亮平はグイグイ攻め上がりながらも実は紳士的ですね。
友香の彼氏について探る時に
21時の亮平はソワソワしながら嗅ぎ回る感がありましたが
22時の亮平は心配半分、もう半分は諭すような感じで
少し大人っぽく接しています。
この比率が特徴的で、
グイグイ行くように見せながらも
相手の出方に応じて、すぐに引きに入るのが
この方の特徴というか、劇における特技の一つだと思います。
迅速な距離感のコントロールは
劇後半の場面の『ほんの少しの駆け引き』
のシーンで遺憾無く発揮されていました。
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