2020_0619 東西戦争〜最終戦争のその前に〜レビュー

(全敬称略)

2020_0619 東西戦争 〜最終戦争のその前に〜
机の上の地球儀 作

(注)6/14上演の同作とは出演者が違います。

総評

6/14に同作品をレビューしたばかりなのですが
思うところがあり、6/19付の上演を改めてレビューします。

台本が同じでキャストが全員違う。
声劇およびアクターをレビューする上で
これほど好条件はなかなかありません。

私の頭と耳に6/14上演ののイメージが残存しており
より細かい比較やそれに基づく深い認識ができるので
今がチャンスと判断しました。

劇全体の総評に関しては
6/19の上演者は、6/14と比較して
全体的にソフトな印象を受けました。

個々のキャラクターの強さよりも
各陣営ごとの音のバランス、キャラの立ち位置などに
特に特徴のある上演だと感じました。

ガリウス:リバーに関して

低音域の濁り感に
「ほぅらこういう低い声がいいんだろぉ?」
というような企図したイヤラしさがなく
素直な荒々しさ猛々しさがよく表現されています。

この、素直さと自然さ
「ハデニヤロウゼ」の言い回しで顕著にわかると思います。
思い切り低く構えて発せられたセリフでも
聞き取りにくくない点もとても良いです。

キリエル:速見誠人に関して

静謐でありながらとても尖っている
芸術品として飾られた刀のような声だと思いました。

リズムの取り方・間の取り方にも
余裕と落ち着きがあり、そういう面でも
上記の印象を強くしているのだと思います。

劇中では比較的長いセリフも多いのですが
精度も高めで気になるミスも少なく
安定されていました。

グェン:あしゃしぇ@鶏のお兄さんに関して

感嘆の声、笑い声、表現の強弱をつけた際に
若干裏返るようなところに
この人の声の独特の旨味があると思います。

その一方で、低く鳴らすとめちゃくちゃよく響き
しっとりとした甘露な声に激変します。

声の温度差ナンバーワン。

おそらくこの方、ガリウスとの音の相関性を
意識して意図的に通常よりピッチを高く
演技されてるのでは?

シャルロット:レイフロに関して

とても透明感がある発声をされます。
アタックを抑えた柔らかい声で
非常にノーブルな雰囲気を出してます。

今回のエーベルヴァイン勢
ソフトなシャルロット
ソリッドなパトリシア
トレブルなシド

と、配役と声のバランスがとてもいいです。
単独あるいは二人くらいでこの演技だと
埋もれてしまうおそれがあるのですが
あとの二人の隙間を狙うような演技になっています。

パトリシア:みかんに関して

物静かで少し翳りのあるシャルロットとは対照的に
息をしっかりと詰めたソリッドな演技だと思いました。

おきゃん(ド死語)な振る舞いをさせた時の声は
そこまでグッと息を詰め込んだ声が
一気に開き非常に華やかなものになります。

高音域がバッキバキに出るので
ずっとこの感じだと耳がしんどくなるのでしょうが
ここぞ、というときにだけ出るので
とても良いアクセントになっています。

シド:マケに関して

鼻濁音がとても綺麗な方
全体的に朗らかな雰囲気を覚えます。

しかし、本人が意図的にこの特徴を抑えた時は
一気にシリアスな大人びた声になり

探偵モノやサスペンスなどに映える質に変わりそうです。

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