2020_0709 tRiskEleレビュー

(全敬称略)

2020_0709 tRiskEle
揚巻作

総論

間髪開けずに再びトリスケルレビューです。
私はこの劇の『全ての役が全力で感情をぶちまけられる』
という部分がとても好きです。

多分これから先も演者を変えて
しょっちゅうレビューさせていただきます。

今回のキャスティングは女性二人の対照性が顕著で
それをゲイルが少し引き気味にうまくまとめている
左右に幅が広いもののバランスが良い上演だと思いました。

トリス:すてらに関して

このトリスはグイグイ出てきます。

非常に前に出てくる声を発しています。
過去に数回この作品を聞いたのですが
今まで聞いた中で耳を惹きつけるトリスでした。

淑女の淑やかさの中に少女のイタズラっぽさもあり
それらが点滅するように移り変わり艶かしく
女の怖さを余すことなく体現しています。

この人の声が最も美しく響くテンポは
『ややスロー』だと思います。

ゆっくりと引き伸ばしても声のテンションが落ちないんですね。
逆に、早くなるとこのテンションが少し薄れてしまいます。

この人の声は散歩するような速さの時が一番美味です。

なお、名誉のために書いておきますが
これは技術的な問題ではなく
蒸留酒の匂いの好き嫌いみたいなものです。

ゲイル:まこに関して

やや年齢を高く意識したデザインをされたのかなと思いました。
落ち着きと大人の男の色気が強く出ています。

この上演では、この方の落ち着いた、半歩引いた演技が
トリスとエリーのスリリングな女性性の対比を
見据える天秤のように機能していると感じます。

相手に譲り気味で余裕たっぷりに演じているので
キャラクターに邪悪なくらい陰影がついています。

グイグイくるトリスとパッと広がって匂い立つエリーの間で
ドロドロして粘り気がひどいがとてもいい匂いがする化粧品
のような魔力めいた強い存在感を出していました。


エリー:ゆきちぃに関して

女性感よりも女子感が立っていて
エリーの役と立場を非常に強く裏打ちしています。

声を強く推し出したときは、そこに少年らしさが加わり
少しボーイッシュで爽やかな印象を受けるエリーでした。

後半の高音もヒステリックにならずリラックスして聞けます。

このかたは、セリフのスピードが早まると
むしろ演技が精緻になる傾向にあります。

少し早くて次から次に流れていく中での
言葉の移り変わりのタイミングがとても上手です。

そういう意味でも、トリスを演じたすてらとの
演技特性もまた、対照的にあると思いました。

音響は【Studio】KEMUЯIさんでした

いつもお疲れ様です!

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