2020_0725 椀種にはお豆腐を レビュー

(全敬称略)

2020_0725
椀種にはお豆腐を
穂春 作

総評

独特のリズム感を持つ早瀬と
非常に特徴的な声質の宮原による
実に面白い組み合わせでした。

食事と家族をテーマにした
穏やかな空気の台本の上で
独特の化学反応を起こしていると思います。

宮原がモノローグを担当せず
また、早瀬の役者の個性が少し弱かったら
また違う印象を受けたと思います。

声と演技にそれぞれ特徴のある役者さん二人が
良いバランスで噛み合った
と私は思います。

早瀬ことは:桃瀬に関して

雪を踏みしめた音を連想させる声をしています。

語尾のトーンを少し下げながら、
階段をトントンとリズムよく降りるような
リズム感のいい台詞回しが特徴的です。

この特性がうまく活きるのは
「問う」演技だと私は思います。

相手の内部に指先を引っ掛けるような
距離の近い聴き方をされています。

宮原大地:むらさめに関して

非常に独特な声をされています。

高音ではないのに女性に近い声という
他に例えようがない、強い特徴があります。

擦歯音が強いのですが、そのノイズ感さえも
個性の中に織り込まれています。

このように、声に強力な個性があるため
演技での運用に関しては逆にフラットな
それこそナレーションに近いような
シンプルな表現でこそ濃く映えました。

劇前半に比べて後半の発声は
とても安定していたように思います。

ウォーム・アップが必要なタイプの声なのかもしれません。

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