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パワハラからの脱出

僕は46歳のサラリーマン。

世間的にはベテランと言われる年代だが、1年半に渡りパワハラを受けていました。
システムエンジニアとしてお客様企業に常駐している環境で、お客様担当者にいわゆるパワハラを受けていました(最近ではロジハラって言うのかな?)


・この作業は2時間もかからないでしょう。1時間でできるはずです。
・メールに誰も反応しないけど、仕事していますか?
・スケジュールが遅れているのに帰るのですか?

こんな感じで詰められる日々が続いていたわけですが、ついに脱出することができました。
そして人生が一変しました。

あらゆることが前向きに考えられるようになり、今となっては悪魔の1年半を「良い経験」と思えるようにさえなりました。
そこで今回の僕の経験談と僕なりの対処法を記事にすることにより、同じような境遇の方の一助になればと思い投稿させていただきました。


X氏との出会い

僕はとある大企業A社にITベンダーとして常駐勤務していました。
A社の社員さん1名(以降Bリーダー)と我々ベンダー8名というチームで和気あいあいと仕事をしていました。
僕が一番年上で他のメンバーは20代~30代中盤という、まぁまぁ若いチームです。

Bリーダーが楽観的な考えの方のため、正直 ”ゆるい”環境でしたが、節目のスケジュールは守り、トラブルが発生したら団結して解決に取り組む、メリハリのある良いチームでした。

あるときA社に中途採用として入社したX氏が我々のチームに参画することになりました。
Bリーダーの負荷を軽減するための措置です。
X氏はBリーダーと分担し、我々ベンダーへの作業指示やレビューをする役割だったのですが、最初の2ヶ月くらいは非常に優しい感じの対応をしてくれました。今考えると様子を伺っていたのだと思います。


パワハラの始まり

3ヶ月目くらいからX氏の本性が出始めました。
我々ベンダーが作成した成果物をBリーダーとX氏にレビューしてもらうのですが、X氏からの指摘が日に日に増してきます。
もちろんこちらのミスであれば、指摘してもらったことを感謝し、修正するわけですが、あきらかにX氏の好みだろうという指摘が結構あるのです。

例えばプログラムの一部を修正する案件だったため、文言の一部を修正してレビューに持っていくと「文字だけでは分かりにくいのでフローチャートを作ってください」と指摘が来ます。確かに、フローチャートがあったほうが分かりやすいが、これまでのすべての設計書にもフローチャートは書いていないわけで、そもそもフローチャートを1から作成するには作業時間が足りない・・・と反論すると、

「じゃ、分かりにくいままでいいんですか?」
「そのせいで設計ミスが起きても責任取れますか?」という言う次第。


その他にも、案件開始前に作業時間を見積もってレビューしてもらうのですが、1つ1つのタスクに対する作業時間の根拠を聞かれます。例えば1日かかるタスクを「これは4時間でできますね」とか、「これは、一部分を修正するだけなので40分でできますね」とか作業時間を減らされます。


確かに修正作業だけを考えれば、また熟練者が担当すれば40分で可能かもしれませんが、見積もり時には想定できなかったタスクがあるかもしれないし、経験が浅い人が担当するかもしれない。
そして、X氏からのレビューで常識では想定できない指摘を受ける可能性があるため、リスクを想定した時間を加味していたのですが、X氏は全く引かないため、最終的には我々ベンダー側が諦める形になっていました。

もちろん、途中で見積もりになかったタスクが追加になったり、経験が浅い担当者のため余計に時間がかかってしまった場合は、「見積もり時に考慮できてないのが悪いんでしょ」、「スキル不足なんだから残業するのは仕方ないのでは?」と言われる感じです。
結果、要求された作業時間では終わらないことがほとんどのため、残業をして対応する羽目となりました。

X氏はスケジュールに対しても監視をしており、スケジュールが遅れると残業でキャッチアップしているかを確認します。


これまで、個々のタスクが遅れた場合でも、節目のスケジュールを厳守することで最終納期は必ず守ってきました。見積もりで算出した作業時間が必ずしもピッタリ正確ではないため、想定より時間がかかる作業もあれば、想定よりも早く終る作業もあるためです。


しかし、X氏は立てたスケジュールは責任持って守ってくださいというスタンスです。節目のスケジュールではなく、1日1日のスケジュールを厳守しなさいと。。

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メンタルと体の異変

このような感じでX氏が徐々に本性を表してきたのですが、
我々も言われるがまま従っていたのではなく、その都度反論、交渉をしてきましたが、0勝40敗2引き分けくらいの結果でした。引き分けとは、少し妥協してもらった感じです。

X氏の主張は決して間違ってはおらず正論なのですが、要求が高すぎる、厳しすぎるのです。
だからこそ反論すると、我々が手を抜いているような感じになり、意識の低さを指摘されるという悪循環が起きていました。

あまりに指摘が多いため、”自分のスキルが低いのではないか”と思うようにもなりました。

そして僕もメンバーも「最善を尽くしても認められない」と思うようになり、良い成果物を作るという意識からX氏に認められる成果物を作るように自然となっていってました。


当然モチベーションは下がりますが、スキがある成果物を出すと嫌味を言われながら指摘されるし、スケジュールが遅れると詰められるし、ミスすると再発防止策の検討を求められさらに時間がなくなるし。。。

常にプレッシャーの中、時間に追われ仕事をしていました。

このような状況が数ヶ月間続くなか、以下のような異変が起き始めます。


・朝起きて支度が済んだ後、出勤直前に10分ほどの二度寝する癖がついた
・通勤電車では、本を読むかスマホを見るかしていたが、その気力が失せ、立ったまま寝るようになった
・業務中にため息をつくことが多くなった
・友達や家族から話しかけられてもリアクションが薄くなった
・別チームで働いている部下の面倒を見なくなった(自分のことで精一杯)

もちろんこの間マネージャーや上位者に相談していたのですが、具体的な解決には至りませんでした。ただ、時間の経過と共にX氏に認められる成果物の作り方や接し方のコツも掴んできていたため、僕はなんとか耐えていました。

X氏の参画から1年経った頃、我々ベンダーチームからは3名が離脱しました。理由は様々ですが、明らかにメンタルをやられていました。

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パワハラのエスカレート

僕らベンダーチームはX氏を噴火させない特殊スキル磨き、だんだん残業も減ってきました。モチベーションは低空飛行でしたが、今は耐えるしかないと上位者への状況報告、相談を継続していました。

そんなある日、X氏から呼び出されました。
勤務実績の集計結果を見せられ、「残業が少ない」「スケジュールを甘く引きすぎている」と。。

交代で入った新メンバーは作業に時間がかかるため、余裕を持たせていたところを指摘された感じです。X氏の主張は「全員1ヶ月分働いてもらわないと困る」、「1ヶ月分のパフォーマンスが出ない人がいるのであれば、他の人で補完しろ」とのこと。

この一件からX氏のパワハラがエスカレートし始めました。レビューミーティングでは、「なぜこのようにしたのか?」と理由を問われ、答えると考え方を否定される。進捗ミーティングでは、予定時間を超過した理由を問われ、その日中のキャッチアップを約束させられる。

さすがに参ってきました。

X氏のレビューミーテイングがある前の日から腹痛が出始め、ミーティングがある日は朝からミーティングで使用する資料が気になり、他の作業が手に付かない状態になります。その結果進捗が遅れ、残業でこなす日々。

また、メンバーから耐えられないと相談を受けるのですが、解決できない自分に失望し、いっそのこと僕がX氏にキレてみたらどうか、とシミュレーションをしたが、実践できるわけなく。

”これ以上無理”と思うようになりました。

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パワハラからの脱出

転機は突然来ました。

いつものように、マネージャーに状況報告する際に、ポロっと
「もう限界です」と言ってしまいました。

それを機に今まで相談していなかった複数の上位者にも相談したところ、「会社としてクレームを入れるから証拠を集めてくれ」と依頼されました。
僕はこれまでのパワハラ言動を含んだメールやチャットの履歴をまとめ提出し、託しました。

そして会社から公式にクレームをいれていただき、自体を重くみたA社の上層部はX氏を即日チームから外すという判断を下しました。

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あっと言う間の出来事でした。

目の前が明るくなり鳥肌が立ったのを今でも覚えています。

X氏が担当から外れた後、精神的にかなり楽になったのですが決して手は抜きませんでした。X氏が抜けて品質が下がったと思われたくなかったためです。X氏の時代に作ったルールや基準は踏襲しつつ、厳しいなりに現実的なものに改善していきました。何よりメンバーが前向きに仕事に取り組める環境に戻していきました。

僕にも変化が現れました。
悪い習慣が改善し新たな良い習慣も身につきました


・朝の二度寝はやめた。
・通勤電車では、本を読み、ため息もほとんどなくなった。
・友達や家族から話しかけられても気の利いた言葉で返したり、部下のことを気にかけられるようになった。
・その他いろいろチャレンジしたい前向きな気持ちになり、ダイエットの開始、新たなスキル習得のための学習も開始した。文章力と発信力の向上のためにこのnoteも書いています。

最悪な環境を経験した後だけに、幸せな気持ちでいっぱいで不思議と誰かのために何かしたいと思うようにさえなりました。
当時相談にのっていただいた方々、会社としてリスクもあったと思いますが、社員を守るために戦ってくれ、本当に感謝しています。恩は結果で返したいと思います。


僕なりのパワハラの対処法

僕は対処するのに1年半を費やしてしまいました。最初は自分で何とかしようと思い、何ともならないため我慢し耐え、そして限界直前でエスカレーションしました。その耐えている期間が約1年間あったわけですが、今振り返ると何とも非効率で誰も得してないなと思いました。
最後に、今回の経験を踏まえ僕なりに対処法を考えてみました。


パワハラなのか、厳しいだけなのか、パワハラなのか、指導なのか、線引きは難しいと思います。
だけど人によって考え方は違うし、線引きする必要もないと僕は思います。いくらこちらがパワハラだと思っても、相手はパワハラしているつもりは無いでしょう。

今回の場合では、X氏も良かれと思っての行動だったと思います。
また、X氏に普通に対応できる人もきっといます。つまり、僕とX氏が合わなかっただけの話だと思います。

僕は、X氏以外の人であればもっとパフォーマンスを発揮できる。
X氏も僕や我々メンバー以外で価値観が合う人と仕事をすることでパフォーマンスを発揮できる。

どちらもパフォーマンスを発揮できていないのであればマッチングを変えるべきです。そういうポジテイブな発想をすることにより、相談がしやすくなるのではないでしょうか?

今、中高年のメンタル疾患が多いと聞きます。

「今までも過酷な環境を乗り越えてきたから大丈夫」と変な自信を持ったり、「若いメンバーの上に立つ人間だから頑張らないといけない」と変な責任感があったり、「上司は年下だし頼るわけにはいかない」と変なプライドがあったり。

なかなか相談できず限界を超えてしまうのかなと思います。

自分で行動して対処できるのであれば、そうすべきだと思いますが、できないのであれば、正直にエスカレーションして対処できる人に対処してもらうべきだと思います。

そのほうがすべての人にとってメリットがあるためです。
ネガティブな相談ではなく、ポジティブな提案だと思えば一歩踏み出せるのではないかでしょうか。

また相談相手が動いてくれないパターンもあるかと思いますので、その場合複数の方にエスカレーションした方が良いと思います。複数人にエスカレーションしても進展しない場合は、会社に設置している相談窓口に相談するか、会社に窓口が無い場合、各都道府県の労働基準監督署や労働局内に設置されている『総合労働相談コーナー』というところもあります。即解決はせずとも、解決の糸口は見つかるはずです。

もし相手と離れられない環境であれば、会社を辞めるという選択肢もあると思います。
それもポジティブな行動であり、自分がパフォーマンス発揮できない環境に居続けるよりも数倍良いと思います。

パワハラを受けているような状況のときは、全てネガティブに考え消極的になるものです。そこで、少しでもポジティブに考え、一歩行動を起こし、対処できる人に対処してもらうというのが僕なりの対処法になります。

現在パワハラに悩まされている方の参考になれば幸いです。

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