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Dr.コトーにも事情がある。

みなさま、こんにちは。梅雨になると歯ぐきが腫れませんか。入れ歯デビューまでもう間近、じじょうくみこでございます。

入れ歯といえば病院。病院といえば、かつて『Dr.コトー診療所』というドラマがありました(強引です、ええ)

タイミングよく6月18日から特別編として再放送されるというニュースを見たところですが、吉岡秀隆扮する若き医師・五島健助が、なんやかんやあって無医村状態の離島にうっかり来ることになり、島の美しい風景や島民とのふれあいの中で成長していくというヒューマンドラマです。

装備もほとんどない島の診療所で、難しい手術をちゃちゃっとやってのけちゃうのがなんとも面白かったわけですが、「でもまあ現実はあんな風にいくわけないわな」なーんてことは子供にだってわかるわけで。

わたしも放送当時は単なるファンタジーとして「海きれー、吉岡くんカッコいー」なんて言いながらのんきにドラマを楽しんでいた1視聴者だったのであります。

まさかその10年後に、自分が離島に住むことになるなどとは、想像だにしておりませんでした。

左4c

一寸先は闇



さて。

シマ島に来て知ったのですが、現在の離島医療には2つのスタイルがあるらしいです。

1つは、手術も精密検査もできる重装備の病院機能を完備した「島内完結型」。島で全ての治療を行い、場合によっては本土から医師がかけつけて対応するという医療体制です。

もう1つは、軽装備の診療所を設け、症状に応じて島内対応、本土の提携病院との遠隔対応、本土への救急搬送を行う「本土連携型」です。

Dr.コトーのように「少ない装備で難しい手術までできちゃう」という理想的なハイブリッドタイプができれば苦労はないですが、シマ島の場合は後者の本土連携型にあてはまるようです。

島内には診療所が2カ所。病院はありません。お医者さんは内科が3名、歯科が1名。みんなで2つの診療所を交代で担当し、外来、往診、入院治療までまかなっています。人数が少ないので、外来で診察を受けられるのは午前中のみ。歯医者にいたっては2週間に1回しか予約を入れられません。

シマ島ネイティブのザビ男によると、島には長らく「村医」と呼ばれる島在住のお医者さんはいないとのこと。シマ島のDr.コトーは村医的存在の「所長」が2年交代のシフト勤務、その他の先生も3〜4ヶ月間の短期勤務で、本土の大きな病院から入れ替わりで派遣されてきます。

重病治療や外科手術はできないらしく、重病人が出た場合は即刻ヘリで本土に緊急搬送される、というのがシマ島の医療体制です。


ずっといてくれるお医者さんが、ひとりもいない。それが離島の現実なのだなあ と、改めてその厳しさを思い知った次第。Dr.コトーにもいろんな事情があるんですねえ…。

これから病院のお世話になる機会が増えていくであろうアラフィフにして、離島に引っ越すというのはなかなか勇気のいる話ですが、それでもひとつだけ楽しみにしていたこともあったのです。それは……


怒らないでね……



嫌いにならないでね… …



それはね…………



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島の診療所には若いイケメン医師がいる❤︎




……すいませんm(_ _)m


離島に借り出される医師というのは、経験の浅い研修医や若手が多いようです。もちろんベテランの先生もいらっしゃいますが、シマ島診療所のホームページで医師紹介のコーナーを定期的に眺めては

「やだ❤︎ 新しいイケメンが入ってる❤︎❤︎」

制服を着ているとカッコよく見える「白衣3割増の法則」に「離島での短い逢瀬」が重なって、恋に落ちる確率200%のシチュエーションのやつ!


そういえばふるさとの僻地に暮らしていたころ、新学期になると毎年のように新卒の先生が赴任してきたのを思い出しました。僻地女子にとって、年の近い男の先生ってだけでモテモテになったものです。

島の乙女たちも「ねえ早く声かけなよ」「やだ、ミカが言ってよ!」などとヒソヒソ話をしていたりするのかしら、このトキメキが熟女をパワーアップさせる民間治療法なのかも、などとくだらないことばかり考えつつ、わたしのイメケンコトーとはいつ会えるかしらんと思っておりましたら意外に早くその機会は訪れたのでありました。

というわけで、次回はDr.コトーに会ってきました編です。

Text by じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎

*この記事はウェブマガジン「どうする?over40」で2015年に掲載した連載の内容を一部アレンジして再掲載したものです。現在、後日談の「崖のところで待ってます。」という連載を月に1回書いています。よろしかったらそちらもどうぞ。


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