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<17>信長が踊ったら、モンスター独男があらわれた。

じじょうくみこが誕生して丸10年。というわけで勝手に生誕記念⁉でウェブマガジン「どうする?Over40」に連載していた処女作の「崖っぷちほどいい天気」をこちらに転載しております。

今回は第17回目でございます。せっせとネット婚活に明け暮れていたわたくしですが、自分で言うのもナンですが小心者すぎてうまくいく気がしませんね。ホンマにここで結婚できる人なんておれへんやろ(なんで関西弁)と当時は思っていましたが、10年たった今では「婚活アプリで知り合って結婚した」と堂々と言っている人が普通に身近に結構います。時代はどんどん変わる。

ちなみに、最新の生涯未婚率を調べてみたら「男性が28.25%、女性が17.85%」で、10年前と比べるとかなりアップしていました。だが、それがどうしたって話。そもそも50歳未満の独身者を「生涯未婚率」などという失礼千万なくくりで数値化するなんて、本当にズレておりますね。

そんなこんなで、どうぞ~。



*** 2013年9月14日の記事***

信長が踊ったら、モンスター独男があらわれた。


いきなりですが、みなさま「生涯未婚率」という言葉をご存じでしょうか。

少子高齢化の原因として必ず挙げられる晩婚化・未婚化ですが、「結婚して子供作らないから大変なんだよオイコラ」的な論調の根拠として紹介されるのが、この生涯未婚率です。総務省の国勢調査によって割り出される数値なのですが、先日も「生涯未婚率が男性20%、女性10%を突破した」という話題が報道されておりました。男の5人に1人、女の10人に1人は一生シングルってヤバいぞニッポン、みたいな。

至極ごもっとも、でございます。

でも婚活をして初めてわかったんですよ。生涯未婚率って聞くと、文字通り「一生死ぬまでいっぺんも結婚しない人」だと思うじゃないですか。でも実際は「45〜49歳」「50〜54歳」という2つの年齢層、いわゆるアラフィフ世代の未婚率の平均値をとって「50歳時に結婚してない人の割合」を算出しているんですね。

にんげん〜ごじゅうねんんん〜〜

下天の内を〜く〜ら〜ぶ〜れ〜ぶぁあ〜〜



織田信長かって話!!


こちらは村上弘明版信長。若い。


70歳、80歳生きるのが当たり前のこのご時世で、まさか50歳で生涯未婚率をカウントしているとは。ええ、ええ、もちろん承知しておりますよ。調査の本質は「将来を担う若い世代が結婚して子供を作っているかどうか」の推移を観察するためのものだってことは。それでもやっぱり当事者としては「50で未婚なら一生未婚でしょ?」とレッテル貼られるみたいでイラッとします。

何よりこれ見て「お仲間もいっぱいいるみたいだし、別にいっか」って結婚する気なくすメンズがいそう。いや絶対いるね、まちがいないね。ただでさえイバラの道の四十路婚活に、わざわざ水さすなんてどうしてくれよう総務省。私が結婚できなかったらアンタたちのせいだからねっ! と責任転嫁の魔術師じじょうくみこです。(ハッ、よく見たら嫁の字が…)

というわけで婚活、であります。

「ネット婚活では早めに会って相手を見極めるのが一般的」という話を以前書きましたが、もうひとつ学んだのが「ネット婚活では同時進行が当たり前」ということです。

婚活は時間がかかるほど費用がかさみますし、特に40歳以降になるとターゲット人口が激減します。「1人つきあってダメならハイ次」なんてのんびりやってるうちに人間五十年〜つって信長みたいにオッ死んだらどうするよ? ノーダンナ・ノーライフ!ノーモア・ノブナガって話なので、四十路婚活はスピードが命。そうなると「この人!」という相手が見つかるまでは、複数の人と同時進行でやりとりするのが効率いいわけです。

ところが「同時進行」つうのがコレまた、性に合わないのですよ。郷に入ればの精神でやってはみるものの、ある人は連絡くれたりくれなかったり、ある人は「すぐ会いましょうや」的なノリだったり、ある人は挨拶程度のメールを毎日送ってきたりと十人十色。相手によってこちらの対応も変えていかなきゃいけないわけで、ちょうど仕事が忙しくなってきた時期だったこともあり「さすがにしんどいなあ」と思い始めた頃のことでした。

ナゴンさんからメッセージが届いたのは。


私が登録している婚活サイトはチャラいカジュアルな雰囲気のせいか、四十路の私でも交際の申し込みが日々それなりに届きます。ただ、交際相手とのやりとりや仕事に忙しすぎて、もっぱら放置の刑。ほとんどのメンズはそれであきらめるのですが、ナゴンさんだけは何度も交際の申し込みをしてくるのです。ナゴンさんは都内在住の2つ年上のサラリーマン。きまじめそうなお人柄が、メッセージから伝わってきました。

疲れていたのか何なのか、今でもよくわかりません。何度もメッセージを送ってくるナゴンさんを放置しておくのがしのびなく、でもこれ以上交際相手を増やす余力もなかった私は、なんとかして「交際はムリ、でもありがとう」の気持ちを伝えたいと思ってしまったのです。だって自分で書いてみるとわかるんですよ。相手にアプローチするメッセージって、ものすごく悩むし、書くのに時間がかかるんです。

そのサイトで相手とコンタクトを取れる唯一の方法は、相手からの交際申し込みメッセージに返事をすることだけでした。ただし私が返事をして、相手が手続きを取ってしまうと、交際が正式に成立して相手側に料金が発生してしまいます。

なので心のこもったメッセージへの感謝と、他に相手もいるし仕事も忙しくて交際する気はないので、手続きしてもムダ金になるからしないでねスイマセン、というメッセージをナゴンさんに送ったのです。

今考えれば調子に乗っていたのかも、と思います。ネット上であれ、リアルライフではついぞ経験のない「いろんな男子から交際申し込まれてモテてる感」に舞い上がっていたのかもしれません。なんか長く続けると感覚おかしくなる気がするなあ、ネット婚活って。

そんな婚活サイトから数日後、お知らせメールが届きました。

「ナゴンさんとの交際が成立しました。」


ギャ!!!!


追いかけるように、ナゴンさんからメッセージが届きました。

「あなたがくれたのはOKではなく、おわびのメールだったことはわかっています。なのに、交際の手続きをしてごめんなさい。ただ、あなたのメールを何度も読み返したのですが、すごく疲れているようで心配しています。あなたのために何ができるか、考えました。何日も考えました。

あなたはきっと、社会的に高い立場の女性なんですね。仕事へのプレッシャーも大きいことと思います。そんなあなたのことを、少しでも支えることができたら……そう思いました。どうか、お身体を大切にして仕事がんばってください。つらい時はいつでも僕に言ってください。あなたに見返りは期待しません。僕はただただ、あなたに優しくしたいのです」

HAAAA???


すいません、ビックリしすぎてローマ字になっちゃいました。

仕事が忙しいから交際NG返事をしてきた

NGにするほど忙しいってことは社会的に高い立場の女に決まってる

地位も名誉もお金もあって、愛だけ足りない女が自分に助けを求めている

陰で支えてあげるのが僕の使命♪


ってなんだその妄想!

だいたい上のメッセージ、文字だけ読めばそれなりに感動的ですけども、

実際は

絵文字

だらけですからっ!!


これは面倒な男を引き寄せてしまった、と己の浅はかさを痛感しました。それでもまあネット上のつきあいだし、無視し続ければそのうちあきらめるだろうと思っていたのです。その時は、まだ…。

って長くなっちゃったので続きは次回(すいません)。

By じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎

★おまけの人物相関図★

親切が仇になった


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