マスターピース
お店をオープンしてから今年で13年目。
オープン当初からずっと取り扱ってきたアイテムがある。
値段も形も生地も変わらない。
それこそが信頼と支持の証。
間違いなくマスターピースと称される
絶対的な不朽不滅の1着。
本日の主役、
YAECAのDENIM WIDE TAPERDです。
もはや説明不要かもしれません。
YAECAと言えば、デニム。
デニムと言えばワイドテーパード。
それほどまでにブランド立ち上げ当初の20年前から、変わらず愛され続けているアイテム。
何故そこまで愛され続けるのか。
一つは間違いなくコストパフォーマンス。
税込みで2万を切るセルビッジデニム。
しかも値段が変わらないという信頼と安心。
5年、いやそれ以上に穿かれたであろうYAECAのデニムを持ち込まれて、これと全く同じ形のデニムを下さい、とご要望のお客様がいれば8割型WIDE TAPERDだったりする。
その色落ちやアタリの出方を見ると嬉しくなるものです。
こんなに穿いてくれたのか、と。
そして買いなおしてくださるのか、と。
良く「一生着れる服」という謳い文句を耳にしますが、僕は「一生着れる服」というのはダメになったら買いなおしてでも着て、どの年代においても必ず自分のワードローブにある服のことを指すと思っています。
物理的に一生着れる服のことではなく。
そう考えると毎シーズン必ず展開されることが信頼に値する訳で、数が売れたアイテムは次のシーズンには作らない現代のファッション的思考からは一線を画す位置にある。
でもそれは決してYAECAが現代のファッション感覚に置いて否定的という訳ではなく、あくまでも彼らが目指すところの話。
デイリーウェアの本質とは何かを考えた時、
希少的であってはならないし、そもそもその必要がない。
デイリーウェアとはある種の生活必需品なはず。
つまりは生活を豊かにしてくれる物。
もちろん服全般に言えることではありますが、やはり着用する機会が多いもの、TPOを選ばないアイテムはとりわけその要素が強い。
買いなおしてくださる皆様はきっとYAECAのデニムがあると、大小あれど生活が豊かに、良いものになったと実感して頂いたのではと思ったりもします。
大げさに聞こえるかもしれませんが、YAECAがファッションブランドという枠組みを超え、目指しているのはそこだと思っています。
話が大きく飛躍してしまいましたが、生地とディテールについて。
僕らが変わらず仕入れ続けているのは13Wの生地。ワンウォッシュと呼ばれたりもします。
スーピマコットンを使用し旧式のシャトル織機でゆっくりと織り上げた、ふっくらと柔らかい生地感。
打ち抜きのリベットに綺麗な閂止め。
一般的にデニムに施される加工は3種類。
サンフォライズ加工(防縮加工)、スキュー加工(ねじれ防止)、毛焼き加工の3種類。
この3種類の加工が一切されていないデニムを「生機(きばた)」と言いますが、YAECAのデニムはこの「生機」です。
じゃあ洗ったらサイズ感変わるぐらい縮むんじゃないかと思われるかもしれませんが、既にワンウォッシュかけているので縮んでも3%ぐらい。
毛焼きされていない生地表面。
毛羽立っているのがお分かりいただけると思います。
洗うと毛羽も取れてきて、もう少しつるっとした表情に変化していきます。同時に色落ちやアタリも出てくるのでまさしく「育てるデニム」。
カラーは濃いインディゴで、
YAECAのデニムの中で一番合わせやすい色です。
本当に何でも合います。
カジュアルな物からドレスな物まで。
これも愛される理由の一つ。
僕らのようなセレクトショップで、まだあまり服を買われたことが無い方には必ず最初におすすめしています。
アイテムの良さと同時に「着方」を体感して欲しいという想いがある。
金額的にもトップスと合わせて検討していただけますし、合わせやすいという性質上コーディネートする楽しさを実感していただけるからです。
個人的にファッションに置いては「どう着るか」が最も大切だと思っています。
それを知ってもらうためには最適なアイテムなんじゃないかなと。
この辺りもいつか書きたいと思います。
さて、ここからはねじれについて。
左足のインシーム、右足のアウトシームがそれぞれ内側に入っているのがお分かりいただけますでしょうか。
これはスキュー加工をしないことによって起こる現象です。
着用重ね、洗っていくともう少しねじれてきます。
デニムは基本的に綾織り(左綾と右綾がありデニムはほとんどが右綾です。)と呼ばれる斜めに畝が出る織り方で作られています。綾織りで織られた生地はデニムに限らず綾の方向にねじれてしまう性質がありますが、これを防ぐのがスキュー加工。
しかしYAECAのデニムは先述したようにその加工は施していません。
それは何故か。
繰り返しになりますが個人的にYAECAの目指すところとして、個人の生活に寄り添う衣類というのが明確にあると思っています。
椅子や机などの家具や本、食器や調理器具などの日用品と同じように共に同じ年月を過ごし変化していく。
ふと見返したときに同じように年を重ねたな、あの時もこの服着ていたっけな、と記憶が蘇るような衣類。それが本質的な服だと考えていると僕は感じます。
ねじれたシーム、褪せた色やくっきりと入ったアタリを見て、流れた幾星霜の年月に想いを馳せる。そんな服。
だから敢えて加工をかけていないんです。
自然なままの形になるように。
僕も実際に穿きこまれたYAECAのデニムをお持ちいただくと、この方とデニムにはどんな物語があったのだろうかと想像してしまいます。
買った時が100点の服ではない。
勉強と同じで実際にやってみないことにはその有益性を自身では実感できないように、服にも似たような部分があります。
人が書いたレビューなど参考に出来る部分はありますが、やっぱり自分の身体で体感してみないと分からない部分も多い。何事もそうかもしれませんが。
そういう意味では当店にお越しいただく全ての方に一度はご試着いただきたいデニムです。
また、恐らく今月中にはブリーチの
入ったブルーデニムも入荷すると思いますので、入荷次第そちらもご紹介させていただきます。
至極のデニムです。是非お試しください。
池本
合わせたトップス。
YAECA / COMFORT SHIRT RELAX SQUARE
巻いたカーディガン。
LEMAIRE / CARDIGAN
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