上野原

必要経費的通勤時間

 私の場合は恵まれていて通勤時間が2時間近くなることはなかった。反対に勤務地が居住地に近過ぎて困ったことを一度だけ経験している。その時の勤務地は徒歩では中途半端に遠く、車で通うとロングヴァージョンの曲でなくては聞き終わらない内に到着する距離だった。仕事に向かう気持ちの切り替えには短すぎる距離という贅沢さ。
 重く嵩張る仕事道具の関係で徒歩では厳しく車通勤が大半である。渋滞に巻き込まれたとしても幸いに車内は完全な個人空間で疲れることはない。

上野原2

 今週、甲府方面へ行くことがあった。
 記事等で知ってはいたが、上野原という地名を知らずとも唐突に山を崩し造成された住宅地が出現する姿に違和感が伴う。住んでいらっしゃる方々には申し訳ない発言だが、自然豊かな場所の一部が壊された感覚は否めない。
 これだけの人が突如住むことになった町は、東京への通勤圏限界とみるべきか。
 ドライブ途中で通過する八王子や青梅でも都内からは遠く感じる、上野原は其処よりも更に西へ行く。
 新幹線を使っての私立通学などは昔からありはする。距離の問題は時間或いは金銭で妥協点を作ることは出来るが、それは負担伴う選択になる。
 一日24時間の内、3時間から4時間を通勤移動に取られる生活を私は択ぶことは出来ないと考えながら、今回も上野原を通過した。

 「時は金なり」短い言葉で端的に表現している。
 ベンジャミン・フランクリンが「Advice to a Young Tradesman」の中で『Remember that time is money』と云った言葉が翻訳された言葉だ。
 お金は勤務内容や投資等で増やすことは可能だが、時間は当たり前だが「24時間」以下でも以上でもなく変えられない。
 
 知人が仕事の関係で近々引越し新しい生活を始める。まさかの東京を離れて、もっと正確には生まれて初めて東京を離れて生活をする。
 彼は地方暮らしの利点を「職住近接」と捉え、敢えて徒歩圏内で住まいを決めた。中学から社会人までずっと電車を使った生活から大きな変化を択んだことになる。通勤時間の拘束が無い生活がどのように変わったのか次に会った時の報告が楽しみである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?