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樹齢という言葉はあるのに花には

 庭の木々を見渡す時、まだ幼い木は植えてから何年とかなり明確に記憶している。既に大木となった木々らも枝ぶりの調整時期には年齢を気にする。

 今年も梅雨を前にした頃から蕾が膨らみ白百合の花が開いた。
 ふと、2022年に天国へ引っ越した我が家の二代目Moon(ミニレックス*うさぎ)が初めて我が家に連れて来られたことを思い出した。

桜が大好きだったMoon

 あの子を家族に迎え入れた同じ年に白百合を新たに植えた。
 Moonは、もう触れられない向こう側へ行ってしまったけれども、同じ年齢の白百合については最近では何年目の開花と意識したことがなかった。まして、Moonとセットで考えることがなかった。
 どうしてだったのかしら。

春の庭で遊ぶMoon

 ダイニングいっぱいにむせるように広がる白百合の甘い香りの中で、今年は同じ年に我が家の一員になった白百合をMoonに重ねて感じ、時間の波にさらわれそうな記憶を手繰り寄せている。

 咲く時期を間違えることなく淡々と一年間をかけ準備して咲く花ら。
 こちらが手入れを怠っても少々のことは許し、当たり前のように蕾を付け季節を知らせてくれる。
 木々は樹齢という言葉を持ち、成長を感じさせることに対して全ての花が宿根ではないからか花について年齢を気にしない方が多い。
 決して、蔑ろにしている訳ではないのだが、ごめんなさいね、って言葉が零れる。

 百合の球根の寿命 は普通5年位だそう。
 つまり、Moonが5歳で旅立ったあの年がこの花らも静かになる時期だった。私を慰めようと今年も見事に白い花を咲かせてくれたのかもしれない。
 ありがとう。

 

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