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「ダーク・タワー」

原題:The Dark Tower
監督:ニコライ・アーセル
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:2017年 95min
キャスト:イドリス・エルバ、マシュー・マコノヒー、トム・テイラー

 原作は原作として切り離したくともスティーブン・キングとなると若干スムースに気持ちをシフト出来ない。スティーブン・キングであれば諸手を挙げて映画化なのかが疑問だ。客観的にみても映画化された彼の作品は全てが高評価ではない。映画「ダーク・タワー」原作本が英国幻想文学大賞受賞作品としても自身が未読な為、映画単体での感想となる。

 小説第一巻が1982年を考慮すると現実世界と異界との接点となるゲートの陳腐さも致し方ないか。95分と今時の映画としては短いながら導入が長い。この部分で現実世界から異界へと次元移動する少年と黒衣の男と戦うガンスリンガーが描かれるが二人の内面を描くまでには至らない。

 暗黒の塔が全ての世界を結び根源として存在すると同時にそれを脅かす者が現れる。塔を守る側、破壊する側とこれもまた今となっては新鮮味は無い。この二人を核にもっと話が膨らむ、或いは深くなると良いのだが、尺が不足しているのか描く気がないのかありきたりのまま終わってしまう。

 ガンスリンガーのローランドの先祖がアーサー・エルド王に通じ、その剣から造られた銃だからこそ魔と戦うことが可能なくだりも使い古された感が強い。その銃弾補充が現実世界の猟銃店でいいの?と安易さに苦笑するしかない。ホットドッグのシーンも描く必要があったのか。
 小説内容が仮令古くても映画化は成立している。今回、「古い」ままで終わったことは演出、脚本に問題があるのではないのか。観終わった後に残るものが何もない。マシュー・マコノヒーの悪役を楽しんだ程度。
★*フリーパス鑑賞
 

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