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「野性の呼び声」

原題:The Call of the Wild
監督:クリス・サンダース
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:2020年 99min
キャスト:ハリソン・フォード、ダン・スティーヴンス、カレン・ギラン、オマール・シー

 文豪ジャック・ロンドン(アメリカ)が1903年に書いた中編小説の6度目の映画化。判事の家での恵まれた生活、気候もカリフォルニアと過ごし易い環境での飼い犬生活から誘拐された先はカナダ・ユーコン準州。雪舞う中、そり犬という過酷な環境に変わる。そこでバックを救ったのは喪失感の中独り旅する男ソーントン。
 この小説はアメリカの学校でも使われることからも分かるよう、冒険の中に人と犬が交わす心情を描いている。
 作品の中では前半バックの生き様、後半互いに支え合ったソーントンとバックの関係が手本のように美しい自然を背景に描かれている。

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 バックの動きはシルク・ドゥ・ソレイユの元メンバーが実際体で演じ、その後CGに置き換えているそう。そのことで動物に演技をさせるというある意味虐待のようなことをせずに済んではいるが、バックの動きの不自然さが目立ち、タイトル「野性」とは反対に「人工」になっていて現実味が失われた。寧ろ、割り切って動物実写を使う、或いは、アニメーションで表現と折衷案にしない方がよかった。

 この作品を観たかったパートナーでさえ、途中から眠る程申し訳ないがどこを切ってもディズニーの金太郎飴状態。
 せめて、バックの生き方の変遷を、裕福な生活から過酷な生活を経て最終的に野性へ帰っていく肝心な部分の描写がもっと欲しかった。

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