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世界共通の敵を相手の日々:脚本家のスコット・Z・バーンズ氏の言葉

 戦争体験は勿論無いが、かなりの行動制約を受けている(首都圏は緊急事態宣言解除はされていない)春からの日々でよく考えたのは「戦争下」とはこの状態に命の危機を添え過酷したことか、ということだった。
 第三次世界大戦かとも云われたパンデミック。世界大戦と呼ばれても相手にしている敵であるウイルスが同じであった為、世界が情報共有の中で対策を進められたことは唯一の幸い。
 情報統制されず一般市民も常に新しい情報を国境・言語を超えて入手できたことも、過去の戦時中とは大きく異なる。

 国、人種、経済等を超えて、おそらく、私たち人間は生き方を問われている。荒療治で始まったリモートワークも、今回を契機に大きく導入されるだろう。台湾のマスク購入システムに対し、日本は対策無しの結果、届くべき医療現場に支障が生じた。IT化が遅れていた学校現場は、全く出口が見えない中に放り出された。大学でさえやっとリモート講義の有様だ。

 有効な薬も確保出来ていない状況での緊急事態宣言解除は、経済を動かすためには必要なことだが、基本的な生活は現状維持を忘れてはいけない。
 震災のように限られた地域の人々だけが苦しむのではなく、一部感染者が出なかった県があったとはいえ、生活の苦しみは全国で共有した。
 
 解除後も基本的には最低限の行動をし、医療現場を混乱から救うことは少なくとも可能であるし、しなくてはならない。
 加えて、経済の立て直しに際し出来ることを一人一つでも課していけるのであれば、少しは光が射しそう。

 2011年「コンテイジョン」脚本家のスコット・Z・バーンズ氏は執筆にあたって徹底したリサーチをされたそう。
 まるで予知のような作品だが「科学者たちはそろって、こうした事態が起きるのは時間の問題だと言っていた」とインタビューで答えていらっしゃる。でも、私たちにはこうした科学者の当たり前発言は全く届いていない。
 インタビューで印象に残った言葉は以下:
「リサーチを進めるなかで学んだことの1つが、公衆衛生の本質とは何かということ。
 それは私たちが互いに背負う義務だ。互いに距離を保ち、手をしっかり洗い、体調が悪くなったら家から出ない。この3つは、真っ先に実行すべき実に優れた対策だ。科学的・薬学的な治療法が見つかるまでは、人間こそが「治療法」なのだ。」*強調は筆者

 まだ、まだ、レストランでの食事も出来ず、再現の日々。
 簡単に行っていた海外旅行も、まるで鎖国時代に戻ったように手が届かないものになってしまう。定年シミュレーションも経験。友人との食事会はビデオおしゃべり会。
 こうしたことになるなど考えてもいなかったことばかり。それでも、これらのことは、多くのことを教えてくたのも事実。
 一人一人の少しばかりの我慢を続けて、それを集めて、新しい共存を見つけましょう。

*タイトル写真:お台場観覧車トップから

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