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深夜の電話:私たちの手が届かないところへ

 呪文のように「期待をしてはいけない」とこころに繰り返して現実を受け止める努力をする一方で、やはり、少なくとも私はそれほど強い人間ではない為涙しながらあの子の生還を祈っていた。

 深夜、見覚えがないナンバーでスマートフォンに電話が入る。その番号に見覚えがあろうとなかろうとこの時間にcallされることが全てを物語っている。「Moonは息を引き取ったのですね」と尋ねることが精一杯だった。
 先生から最後の様子を伺えたことでどれほど救われたか。
 あの子の最後には寄り添って世話をしてくださる方がいらした。入院先のケージで独りぼっちで息絶えたのでない。本当によかった。

 お昼に迎えに行くと、Moonはきれいな箱に寝かされ片方にはミニバラと白百合の彼の大きさに似合った花束、もう片方には小さなガラス容器におやつペレットが入れられ添えられていた。
 半日のお付き合いだったMoonに病院からの愛情が注がれていたことは、本当に感謝でしかない。

 今、最後の自宅での夜を一方的に語りかけながら一緒に過ごしている。

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