最近読んだ漫画(〜2022/02/24)

―――推し活のための家事代行に勤しむ女子高生・木下うたげがある日バイト先として訪れた家は、なんと彼女の最愛の推しアイドルであるF/ACEのセクシー&ワイルド担当・福原多聞の自宅だった。しかしオフの多聞はオンの姿とは別人のような弩の付くコミュ障陰キャで……全力全開ドルオタ女と二面性激しすぎアイドルがちょっとおかしな距離感で演じるハイテンション・ラブ・コメディ!―――

■お、面白い……。とにもかくにも2人の会話劇が軽快で楽しすぎます。よくこんな徹夜明けにしかひり出せないテンションの台詞が湯水のように常時出てくるなこの作者さん……(⇒あ、師走ゆき先生かこれ、道理で……)と1ページにつき何度も感心してしまう。元気いっぱいな推し全肯定オタク女子である木下うたげちゃんの女オタクっぽさ全開の生命力溢れる台詞回しも然ることながら、オメーーはソシャゲ特有の過度な味付けをされた陰系キャラか!?と言わんばかりに度が過ぎるほどピーキーな多聞くんの自己否定っぷりが一周回ってギャグに振り切れているので読んでて飽きません。初の握手会を行うにあたってファンではなくアイドル側が「緊張で手汗止まらなくて「手の平でキノコ栽培できそうですね…(笑)」って引かれるんだ 俺様キャラの手の平に汗腺あったらおかしいのに」って挙動不審に震えだすの、いくらなんでも立場が逆すぎる。■素の多聞くんは私服の代わりに雑巾やゴミ袋を着ようとするくらいの行き過ぎた根暗野郎ですが、しかしその前提にあるのは「世界中の人を笑顔にしたい」なんていう誰よりもアイドルらしい願いでもあり、そのために素面の自分とは180度異なる俺様キャラを死ぬ気で演じている―――という根っこの善良さも素敵です。そしてそんな自己肯定感が低すぎるアイドルだからこそ全肯定ファンとしてめげずに接してくれるし叱りつけてくれるうたげちゃんに本来あるべき距離感を忘れて素朴な子犬のように"懐いてしまう"のがタチ悪すぎて堪りません。部分的にはアイドル失格だけど根が赤ちゃんなのでどうしても憎めない、うーんこの…!■うたげちゃんが唯一無二の現人神として心酔しているのはあくまでも『F/ACEのセクシー&ワイルド担当・福原多聞』ただ1人なので自室の隅で常時ジメジメと体育座りをしている『ジメ原さん』とは比較的普通のテンションで喋れるしハウスキーパーとして動揺せずにお世話も焼けるし「おれなんて……」と自己嫌悪モードに突入するたびに1人の多聞推しとしてブチ切れて叱りつけることもできる、という按配もやはり楽しい。こういう、"ステージの上のアイドル"という赤紙1枚の有る無しでガラリと2人の関係性が変容するような描写は、やはり二面性アイドルものの漫画の醍醐味だな~~~~と感じます……が……木下うたげちゃんは割とめちゃくちゃな女なのでジメジメしている時の多聞くんにもそれはそれで結構早い段階からキュン…♡ときてしまっているのがイヤすごい女ですねこの人!?それアリなん!??(笑) メインの登場人物はあくまでも2人だけなのに、まるで攻略対象が最初から2人いるかのような錯覚を思わず覚える構成です。アイドルとしては"多聞くん"を推し、人並みの女子高生としては"ジメ原さん"にもうわ可愛いなこの人、、、、とグイグイと惹かれてしまうの、どこを向いても天国であり地獄すぎる。そんな自分の犯罪的すぎる状況を「わたしはヤバいファンとして生きていきます」と自認しているところもまた清々しくて良いですね。良いのかこれ!?次巻以降ではF/ACEの他メンバーとも接触するようで展開が読めませんね……楽しみです。

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