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ジオメトリックサイズの暗算方法


はじめに

NLHEの戦略上極めて重要なベットサイズであるジオメトリックサイズですが、皆さんどうやって実戦中に計算していますか?よくあるスポットでのサイズを暗記したり、ベットコール後のポットサイズを計算して試行錯誤で求めたりしている人が多いのではないでしょうか?ジオメトリックサイズの厳密な値の計算には根号が入ってきて、うっかり暗記したサイズを忘れてしまったときなどにすごく大変ですよね。そういった方々のために、気合で近似する方法を1つ紹介したいと思います。

Padé近似

関数の近似方法というとTaylor展開が有名ですが、実際にやったことがある人はご存知かと思いますが累乗根の場合は次数を上げても展開の中心からある程度離れるとあまり近似精度が良くなくなります。このような場合、Padé近似と呼ばれる手法を用いるとなんか良くなったりします。これを用いると$${x=1}$$の周りで

$$
\sqrt[]{x} \approx \frac{3x+1}{x+3} \\
\sqrt[3]{x} \approx \frac{2x+1}{x+2}
$$

と展開されます。

ジオメトリックサイズの近似式

この近似式を使ってジオメトリックの近似式を求めてみましょう。sを現在のSPRとして、2eサイズは$${\frac{\sqrt[]{1+2s}-1}{2}}$$により計算できます。$${s=12}$$が中心となるよう$${x=\frac{1+2s}{25}}$$を上式に代入すると$${\frac{28s+65}{4s+152}}$$という近似式が得られます。65=16×4+1なので、65を64に置き換えれば

$$
\text{bet size} \approx \frac{7s+16}{s+38}
$$

という近似式が得られます。
近似精度はどれくらいでしょうか?以下に厳密な値(赤色)、Pade近似による近似(緑色)、Taylor展開による近似(青色)を比較したグラフを示します。

赤:ジオメトリックサイズ、緑:Pade近似、青:Taylor近似

Eff. Stack 200BB, SRP, フロップチェックアラウンド後のターン(SPR36.4)まで想定して0から35までの結果を示しました。グラフから明らかなように、Pade近似の方が1つの式で近似できる範囲が広いです。また、副次的なメリットとして$${s=12}$$のとき分母がちょうど50になり、分子も$${7s+16=7(s+2)+2}$$と計算できるため、典型的には2桁の割り算の計算にはなるものの、慣れればポットオッズと同じくらいの感覚で計算できるようになります。

もちろん典型的SPRごとにベットサイズを丸暗記してしまうのが最も楽で早いですが、こういった計算方法も習得しておくとうっかり忘れてしまってどれくらいのサイズかも思い出せないときなどに役立つことがあるかも知れません。

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