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Detonation『Portals to Uphobia』(2005)

オランダはユトレヒトにて、Koen Romeijn(vocals/guitar)、Mike Ferguson(guitar)、 Thomas Kalksma(drums)というラインナップで結成されたスラッシュデス/メロディックデスメタルバンド。

3人の出会いは1998年で、元々はInfernal Dreamというバンドで活動していたが、ベースのOtto Schimmelpenninck van der Oijeの加入を機に、Detonationという名前に変更。
Crushed Skull Compilation Volume 1 』というコンピアルバムに参加し、Skull Crusher Recordsからデビューを果たす。

同郷のOrphanageのサポート等を経てライブ経験を積んでいき、2001年にセルフリリースで『An Epic Defiance』というフルレングスアルバムを発表すると、ダートラが在籍していたフランスのレーベルOsmose Productions がこれに興味を示し、無事に3枚のアルバムの契約をゲット。

本作『Portals to Uphobia』は、そのOsmose Productionsから、ドラマーの交代や様々な問題がある中で、度重なるリリース延期を経てようやく発表された彼らの2枚目のアルバム。

Portals To Uphobia

ギターのメロが強く、かつ適度なアグレッシブさも保ちつつ、グロウルも割と聴きやすいスウェディッシュメタル好きには是非強くおすすめしていきたいアルバムになっている。

メロも美しく、しっかりと構築された良質メロデスが詰まっているのだが、やはり似たような曲調になってしまうのはこのテのジャンルには避けられないところ。

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* Koen Romeijn − Vocals, Guitar
* Mike Ferguson − Guitar
* Thomas Kalksma − Drums
* Otto Schimmelpenninck − Bass guitar
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■Into Sulphur I Descend
メタラー達の拳と感涙の誘引力に溢れる勇壮なツインリードで始まり、前のめりなドラムがメタラー達の微笑みを生む力強いメロデス。
中間部でややテンポを落とす瞬間も安易なシンフォニックアレンジに逃げずに、徹頭徹尾ギターで作り出す叙情メタルの世界観を貫いていて笑みが止まらない一曲。


■Portals to Uphobia
ギターリフのフック具合が秀逸なメタル。
時に緊張感を生むスキッピングゲージ多様のリフに、時にトレモロリフに、常にギターが先頭を走って先導し、Koenの荒ぶるグロウルが乱れ飛ぶ。
ブラストを混ぜ込む疾走ドラムもいい感じ。
終盤で転調し、最後の魅せ場を作る。


■Structural Deceit
ギターが叙情メロディを奏でながらダスダス疾走するスラッシーなメロデス。
途中の静かなインストパートは、音数を詰めすぎず、適度な緊張を保つ重要な役ありを果たしている。
ラスト13秒のアウトロの火を吹くようなギターソロも聴きどころ。


■Chaos Banished
イエーテボリスタイル直系のユニゾン叙情ギターがうなりをあげるミドルテンポチューン。
BPMの早いバスドラ連打を打ち鳴らしながら、ダークな香りをまといつつ剛毅に進む様は、宛ら初期のダートラやScar Symmetryを思い起こさせる。


■End of Sight, End of Fears
In FlamesとEdge of Sanity、Sentencedを混ぜて、イントロだけマイケルアモット兄貴に弾いてもらったような曲。
北欧成分多めの王道疾走メロデス。

■Lost Euphoria Part III
冒頭のフラメンコギターにつられて怪しくもどこか切なげな旋律が流れるインスト曲。

■The Loss of Motion Control
カオティックなイントロから様々な展開を見せるプログレッシブメタル。
基本ツービートでスタスタ進むが、途中大スウィープを軸にした流麗なギターソロや美しいメロディは、メロデスの真骨頂である「混迷の中にある一筋の規律」を見事に体現している。


■Solitude Reflected
エッジの効いたギターリフと生涯ブラストビートを宣言するかのようなドラムの潔さが垣間見れるメロデス。
最後の瞬間に線香花火のように切なげに奏でるクラシックギターのアウトロにもハッとさせられる。


■Beyond the Margin
メロディックなギターリフとメロディと構成で魅せる曲だが、いかんせん同じようなテイストの曲が多く、イマイチ印象に残らないのが惜しい。。


■The Source to Delve
勇壮なツインギターと扇情的なメロディは最後まで出力が落ちず、アルバムをしっかりと締めくくる。
途中、若干のダレを感じるも、やっぱりメロデスはいいなと思える一曲。

総合満足度 84点

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