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NEKOMATA『…And Then, The Abusement Park Left Town』(2023)

イタリア・ミラノ出身のメロスピ/メタルコア・バンドNEKOMATA
バンド名は日本の怪談『百怪図巻』などに描かれている猫の妖怪「猫又」から取られている。

パワーメタルバンドSKELETOONの元ギタリストであったANDREA CAPPELLARIと、同じくイタリアのメロディックスピードメタルバンドであるFROZEN CROWNの元ベーシスト、Filippo Zavattariが中心となり、前身バンドの「Kasha(火車)」を結成。
あまり音源をリリースしていないのでなんとも言えないが、目立った活動はしていなかったんだと思う。
そこにオペラティックな歌唱を基調としながらもグロウルもできるAndrea OlivieriがVoとして加入、続いてFilippo と同じFROZEN CROWN のドラムだったAlberto Mezzanotteがジョインし「NEKOMATA」として活動を再開する。

そんな彼らが、昨年2023年に満を持してリリースした渾身のファースト・アルバム『…And Then, The Abusement Park Left Town』が本作。

…And Then, The Abusement Park Left Town

パワー・メタルやメロスピからの影響を感じさせつつも、メタルコアサウンドを核とした多弦ギターをゴリゴリに鳴らしてくるスタイルは、ありそうでなかった新鮮な響き。

さらにそこにオペラティックでやや線の細いテノールと吐き出し系グロウルを組み合わせたバリエーション豊かなヴォーカル、ブラストからワルツまで変幻自在なビートを鳴らすドラムを被せる事で劇的な空間を作り出している。

1stという事でやや粗削りな面もあるが、十分に将来を感じさせるデビューアルバム。

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Andrea Olivieri - Guitar
Andrea Cappellari - Vocal
Filippo Zavattari - Bass
Alberto Mezzanotte - Drum
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■5000 MegaPascal
未来的な電子音にうなりをあげるギターが被さるオープニングインストチューン。

■The Spark
リフやバッキングギターはDjent直球系のモダンなメタルコアサウンドなのに、コーラスは両手を広げて大仰にシンガロングしてくるパワーメタルを展開する新感覚メタルチューン。
メタルコアmeetsパワーメタルという意味がすぐに分かりました。

■Call To Arms
リフからヴァースまでは打弦ギターを駆使したゴリゴリのモダンメタルコアなのに、コーラスは2ビート前のめりのRhapsody風のパワーメタルを聞かせてくれる二度美味しいメタル。
ギターソロはメロスピの風を運んで来るし、ラストのアカペラコーラスはイタリアのバンドっぽさを出してきて三度四度楽しめるやつ。


■Sic Semper Tyrannis
アンドレア・オリヴィエリの咆哮とクリーンな歌唱が縦横無尽に炸裂するパワーメタル寄りの曲。
この曲での大気を震わすその驚異の歌声はTherionのThomas Vikströmにも似ている。
プログレクサメタル要素たっぷりのギターソロもどうしても耳を惹いてしまう。


■Algorithmically Imperfect
壮大過ぎるギターイントロをキリッと決めて、グルーヴィでメロディアスなバイブスを放つコーラスに綺麗に繋げるメロスピチューン。
ビブラートがすぎるウィスパーをかますアンドレアの線の細いVoは賛否。

■Red Queen's Portrait
ギタージェネレイティッドでバウンスリズムに重きを置いたメロスピチューン。
3:27あたりから混沌デスコアが展開されるメロスピと混ざりながらエンディングに向かっていくところは趣深い。

■Digital Deicide
バリバリと大地を噛み破るようなベースサウンドと、質量のある音塊を荒っぽくザク切りにしたギターリフが気持ちいいのだが、ここぞ!と言う所でファルセットに頼っちゃうアンドレアのクリーンコーラスに若干の不安を覚えてしまったり。


■Golden Vow
出だしからギターがピロつくメロスピ。
完全にDragonforceやHibriaあたりのテクニカルバンドの入りと同じです。
コーラスはシンガロングできる様子だが、ギターが想像以上に出しゃばっており、よく聞こえない。


■Last Days of Summer
暁の夢うつつの様な和風のイントロが早秋の風を運んでくる物悲しげな曲。
揺蕩う旋律に、小刻みに震える線の細いアンドレアの歌声がよく合う。

■Abusement Park pt.1
激音ギターにグロウルが絡みつき、制御不能の様相を呈したかと思うと、突如としてアグレッシブかつ優雅なワルツを刻み、また混沌が支配する音の嵐の中に戻っていく。
プログレチックなメロディックスピードメタル。


■Abusement Park pt.2
壮大なオペラメタル二部作の後編。
前半から前のめりなツービートで飛ばし、その勢いのまま疾走パートを雪崩込み、ヒロイックなシンガロングを聴かせて、デスシャウトで落とす。
後半も耽美なテノールヴォイスでオペラティックに歌いあげるし、ブラストビートに乗せた激烈パートもありのNEKOMATA全部乗せセット。


■赤の女王の肖像
日本語で頑張って歌ってくれてるボーナストラック。
初期のX Japanやガルネリウスっぽい疾走メロスピ。


総合満足度 83点

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