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Hatesphere『The sickness within』(2005)

2000年にデンマークで結成されたデスラッシュメタルバンド。

ギターのPeter "Pepe" Hansenが中心となり、『Hatesphere』(2001)、『Bloodred Hatred』(2002)、『Ballet of the Brute』(2004) と立て続けにアルバムをリリースし、2005年には大手レーベル、SPVと契約すると、
Kreator、Morbid Angel、Soilwork、Dark Tranquillityといったヨーロッパを代表するスラッシュメタルバンド、メロデスバンドとワールドツアーを敢行、人気を不動のものとする。

本作はそんな休む事なくリリースされた彼らの4thアルバム『The sickness within』。

北欧スラッシャーとしての矜持を感じる硬質で速度のあるギターサウンドはそのままに、歌うようなメロディが少し足されていて、聴きやすくなった一枚。

初期Hatesphereを代表する曲も多数入っていて、まずHatesphereを知りたい人にはおすすめの一枚。

The Sickness Within



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Peter Lyse Hansen -Guitars
Michael Ehlert -Bass
Jesper Moesgaard -Drums
Jacob Bredahl -Vocals
Ziggy -Guitars
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■White Fever
開幕から発火直前のスラッシーなギターと煽り立てるようなドラムが激しく交錯するメタル。
ザクザクとした硬質リフはあくまで靭(つよ)く、聴く者全ての頭を振らせるような誘惑を湛えている。

■Fallen Shall Rise in a River of Blood
スピーディーながら重量感のあるリフとPeter Hansenの噛みつくようなグロウルが強烈なモッシュとサークルピットを誘発する。
ギターソロはワウ多用のエモメロディを滑らかに奏でる典型的北欧メタルのそれである。

■Sickness Within
ただのグロウルだけではなく、高音部で抑揚をつけたシャウトをしてみたりJacob Bredahlのボーカルスキルが光るHatesphere初期の代表曲。
The HauntedやDimension Zeroといったレジェンド達のインスパイアを感じながらも、彼らより音質がソリッドで、よりビートの一発一発が重い北欧スラッシュの名曲とも言える。

■Murderous Intent
スネアの単発ビートから突如2ビート高速スラッシュに激変するチューン。
うねりまくるグルーヴ感を主題に、途中で重々しいブレイクダウンを挟み、展開にバリエーションを持たせているなど、プログレ的な要素も垣間見える。

■The Coming of Chaos
鋼鉄に身を包んだ疾走チューン。
ベースの唸り具合も地を揺るがすばかりに激しく震えており、ギターソロは咲嘩のユニゾンとともに優美な旋律を流麗に奏でる。


■Bleed to Death
Slayerを彷彿とさせる、全て力で薙ぎ倒していくスラッシュチューン。

■Heaven Is Ready to Fall
小刻みに動くギターリフを軸にキレ味鋭いグロウルをかましたと思いきや、コーラスでは伸びやかな「歌」をデスシャウトしてくる。

■Seeds of Shame
ミドルテンポで一撃一撃に込めるビートと激烈リフがガッシリと音像を固める重々しいスラッシュチューン。

■Chamber Master
Peterが猛烈な勢いのグロウルを吐き出すと、それに暴虐なスピードで絡みつくギターリフと大スウィープとタッピングを中心としたギターソロ。
北欧発の本当のアグレッシブがここにはある。
豪速球型のデスラッシュ。

■Marked by Darkness
徹頭徹尾硬質に疾り抜けるスラッシュ。
ズシズシ響く強固で重厚なサウンドは、どこを切っても凶暴極まりない。
音の詰まり具合もさすがの一言で、隙がない一曲。


総合満足度 81点(デスラッシュのお手本のような一枚)

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