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Dead By April『The Affliction』(2024)

スウェーデンのヘヴィメタル/メタルコアバンドDead By April

2007年、当時NightrageのVoであったJimmie StrimellCipher System のバンドメンバーであったPontus Hjelmを誘いDead by Aprilを結成する。
初期はアルバム等音源は公には出さなかった事もあり、身内や地元イェーテボリの中だけで知る人ぞ知る的なバンドだった。

VoのPontus Hjelmは2010年にデビューアルバム『Dead By April』をリリースした後
バンドを離脱し、Zandro Santiagoに変わっている。

そして2nd『Incomparable』を出す前にもドラマーが変わり、離脱したPontus Hjelmが謎にゲスト参加してたり(ゲスト参加するならそのままいろよ)
2014年に3rd『Let the World Know』をリリースする際もUnclean VocalがJimmie Strimell からChristoffer Anderssonに変わっているが、そのJimmieも次のアルバムでゲスト参加していたり、メンバーなんだかゲストなんだかハッキリしない編成が続くバンド。

しかし楽曲のクオリティと演奏テクニックはどのアルバム、どの時期でも高レベルで、その意味では安定しているバンド。

2024年リリース『The Affliction』も安定した高クオリティのEDM寄りの重厚メタルコアが聴ける一枚。

The Affliction


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Pontus Hjelm-clean vocal、Guitar、Keyboards
Marcus Wesslén-Bass
Marcus Rosell-Drums
Christopher Kristensen-Screaming、clean vocal
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■Swarm Mode
キラキラ電子音を引き裂くように力強いシャウトで幕を開けるオープニングトラック。
演奏技術には定評があるバンドだが、よりドラムを中心としたリズムサウンドにタイトさが増した印象。
2020年から加入したChristopher Kristensenの音源デビューのボーカルもクオリティ高い。
「ふっふっふっ〜〜♪」がちょっとツボ。


■My Light
シンセサウンドを煌めかせてゆったりと曲に入る刹那、ベースがボトムを支えるモダンヘヴィネスリフが響もす。
途中、吐き捨て型デスラップをザクっと挟み、EDM風のドロップからのビルドアップで盛り上げていく。


■Outcome (feat Smash Into Pieces & Samuel Ericsson)
ニューメタル回帰!
フィーチャリングのSamuel Ericssonのラップが冴え渡り、サウンドはモダンヘヴィ化を果たしているものの、メロディはキャッチーで近未来的なエレクトロニカになっている。ここはSmash Into Piecesの与えたエッセンスがかなり大きいか。



■Hurricane (feat. Lex Press & The Day We Left Earth)
これまたEDM的なノリで幕を開け、やや切なげに呟くヴァースからのコーラスの激情シャウトはノックアウト必至の音塊の嵐。
爽快極まりないEDMメタルコアの最新系。


■Feeding Demons (feat. Self Deception)
シンセキラキラ&デジタル打ち込みサウンドに絡まる芯が太いベースラインでザクザク進行する。
コーラスのエモメロディは流石の叙情性。
同郷のSelf Deceptionとの曲中の絡みも違和感なく、というか息ピッタリであと数曲コラボして欲しいレベル。


■Heartbeat Failing
トランスミュージック系のリフが印象的なクラブメタルコア。
Attack Attack!やEnter Shikariといったエレクトレニカ系のバンドと比べてどこか漢臭いというか、無骨な印象だったDBAだが、この曲はなんとオシャレなサウンドを鳴らしていることか。


■Break My Fall (feat. Samuel Ericsson)
爽やかではあるが、どこか憂いを帯びたPontus Hjelmの声質が際立つチューン。
なんと2回目の登場、Samuel Ericssonのラップが要所に差し込まれる。


■Save the Cheerleader
Vo隊のハードなスクリームと切ないウィスパーandシャウトが同時に楽しめる曲。
前半は完全にモッシュ誘発曲であるのに、後半のクリーンバラードを繊細に聴かせてくるもんだから感情が忙しい。


■Dreamlike
ミドル〜スローテンポで聴かせるメタルコア。
入り組んだ構成はないが、ヘヴィなリフ、デジタルブレイクダウン、切なさ目一杯シンガロングシャウトなど彼らの魅力が詰まった分かりやすいチューン。


■Lonely Song
イントロや中間部に差し込まれるピアノやアコギがノスタルジックなフラッシュバックを想起させる。
テーマが複雑にも関わらず、端正かつ重厚な音像で、しかもキャッチーさも忘れず、非常に満足度の高い曲。


■Wasteland (feat. The Day We Left Earth)
こちらも2回目登場のThe Day We Left Earthが突き抜けるような爽快コーラスをぶちかましてくれるスクリーモ/エモチューン。
日本のスクリーモバンドにも通じる音作りが耳にすっと馴染む。
衝動的なフライスクリーム連発のカオスパートも自然なラジカルさがあって曲のクオリティを高めている。


■Anything at All
独特な浮遊感のあるノイズから激烈突進サウンドを経てクリーンコーラスに傾れ込む流れはもはや王道すぎて驚きはないが、不思議な安心感と没入感がある。
慣れてしまうと同じような曲ばかりでダレを感じるのは贅沢病で、高レベルのメタルコアを続けて何曲も聴ける喜びがこのアルバムに詰まっている。


■Everest
ゴリっとしたリフとタイトなドラムンベース。そしてガチャガチャしたデジタルサウンドに乗って紡がれるラップが耳を惹くラップメタル。
このラップパートはなんとPontus Hjelm自前で歌っているとの事でなかなかクオリティ高し。


■Dreamlike (Mendum Remix)
本作収録の曲『Dreamlike』を半端なメタルコア入れずに、振り切って全てEDMで仕上げてみましたなヤツ。
おそらく賛否。


総合満足度 88点

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