マンションズ&ダンジョンズ

ショートストーリーのあらすじ?

新米自衛隊員の楠木誠一(くすのきせいいち)は学生時代にゲームばかりして過ごしたため成績もパッとせず、しかたなく自衛隊に入隊したという名前のわりにだらしない男だった。

それでも一応、彼女のような恋人がいた。もちろん女性だった。彼女の名前は咲谷真子(さきたにまこ)と言って、エジプトのピラミッドを研究している考古学者だった。誠一がPKOでエジプトに派遣されたとき、流砂に飲み込まれそうになったのを助けたのがきっかけで交際を始めたのだった。助けたと言っても、誠一が助けられた側ではあったが。

そのまま特に進展のないまま誠一の誕生日が近づいていた。別に誕生日で浮かれるほど子どもではないが、それを口実に真子を部屋に呼べるのがうれしかったのだ。

そして迎えた当日の夜、誠一と真子はささやかな誕生日パーティーを楽しんだ。そして酔いも回った誠一はハートのときめきと股間のうずきに耐えきれず、真子に強引に迫ろうとするが真子はかたくなに拒むのだった。

そう、真子は過去にレイプされそうになったことがあり、そのことが傷となって男を怖がるようになっていたのだった。そのことは誠一も了解したうえでの交際だったのだが、湧き上がる性欲にはどうしてもあがらえなかったのだった。

そのとき誠一が急に転んで倒れてしまう。床に落ちていたシャンパンの瓶に足を取られてしまったのだ。そしてそのまま、眠りこけてしまうのだった。

目が覚めると朝だった。

とっさに周りを見回すが真子はいない。怒って帰ってしまったのかと思い誠一は肩を落とす。そのとき、玄関ドアの外から真子の悲鳴が聞こえる。急いで飛び出すと、真子が何かに怯えていた。

見るとそれは大きな男、ではなく巨大なナタを持った怪物だった。とっさに真子をかばう誠一だが、対峙した瞬間とてもかなう相手ではないことを悟ると真子を連れて部屋に戻ろうとする。

しかし何故かドアに鍵がかかっていて開かなかった。焦る誠一はともかく真子の手を取ってエレベーターへと向かう。しかしエレベーターも動かない。怪物はナタを引きずりながらゆっくりと迫ってくる。しかたないので階段で下まで降りるも、マンションの玄関は不思議な空間で封鎖されていた。

半分パニックに陥りながらも、ほかの住人に助けを求めようとドアを開けるとなんと中は壁になっていて、そこに大きな数字が一つ書かれているだけだった。ためしに他のドアを開けてもすべて同じだった。数字はきれいに部屋番号と対応していた。

絶望しながらも適当にドアを開け閉めしていると、マンションの内部から歯車が動くような音が聞こえる。開いているドアの数字を並べると、3、5だった。

特に気にもしない誠一だったが、考古学者の真子が何か閃く。そして周囲を注意深く見まわすと、通路の隅に3年5組の名札が落ちているのを見つける。おそらくこれは各階ごとにヒントが隠されていてその数字のドアを開けると歯車が動く仕掛けなのだ。それに気づいた二人は怪物を避けながらドアを開けてゆく。

しかし誠一の部屋がある7階だけは何もヒントがなかった。707号室も鍵がかかったままだった。おそらくこれがゴールの扉に違いない。そこで真子がもしかしたら他のすべてのドアを開けるのが正解かもしれないと思いつく。開かないドアがヒントにもなっていたのだ。

そのとき怪物がやってくる。ひとまず逃げようとするとどこからともなく大きな鐘の音が鳴り渡る。それと同時にゴールのドアが消えかかってゆく。どうやらもう時間がないようだ。もう逃げることはできない。そう感づいた誠一は怪物に飛びかかり懸命に動きを止める。そして真子に合図を送ると、真子は急いですべてのドアを開けてゆく。

すると大きな音を立てて鍵がガチャリと開いた。二人が同時に飛び込むと、誠一は目を覚ますのだった。

どうやら誠一は気を失い、心配した真子が手当てしていたのだった。誠一は真子に誠心誠意謝ると、真子の傷が癒えるまで待ち続けると固く誓う。そしてほっぺにキスをしてもらい、二人の距離も縮まったのだった。

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