その時は彼によろしく。

それは数年前の人生でいちばん調子の波にノりにノっていた20代後半に差しかかろうとしていた時。

当時7年付き合っていて同棲していた彼氏がいたわたしですが、なんせ波にノッていた遊びたい盛りな故、『わたし、女子寮住んでるねん』と言いながら、彼とは違うもう一人の自由人な男の子と遊んでいました。今思えば、突っ込みどころ満載で女子寮ってお前何部やねん。って感じですが、当時わたしはそれを曇りなき眼で本気で言っていました。
そして一方の自由人な彼もそんなどうしようもないわたしを本気で信じていました。

ある日、仕事から帰ってくると同棲中の彼の様子がおかしい。あきらかにおかしい。彼の近くには私の手帳。おいおい女子寮と嘘をつく奴が手帳は正直に予定を書くわけないだろ…いや、書いてましたド正直に。

そして、その一瞬でなんとなく察する光景に震えるわたし。普段優しい彼が『携帯を見せろ』と言って…キターーー!!その瞬間手をあげる仕草!やばい!と思った瞬間、LINEの通知。
相手は自由人な彼[今から会いたいから車で会いにいくね!!]
よりによってこんな時に…!そしてなる電話…恐る恐る携帯を隠すわたし。怒りMAXの彼はわたしの腕を力強く引っ張り携帯を取り上げる。
(やばい、このままだったら殺される...!)
元々お怒りになられるとドメスティックなバイオレンスに少し傾きやすい傾向があった彼。

彼が携帯で話してる隙を見て、部屋から一目散に逃げる。振り返らず走る、走る。

あろうことか携帯を人質に置いていってしまった。でも自由人な彼は今向かっている。連絡手段がない。どうすればいいと走りながら彷徨うわたしに車が止まる!!
(あぁ!あなたは自由人な彼…!!)
あの時はまるで悲劇のヒロインを助けに来たヒーローの救出劇のように見え、今の時代に携帯無しで出会うことがあるのか?!と、この状況にこれでもかと酔う。てかもう泥酔。急いで馬車に乗りこむわたし。(※車です。)

さすがに説明をしないとおかしい状況なので正直にすべてを説明をして。女子寮ちゃうねん、実は…と。しかし、一方では置いてきた携帯が気になる。

(いやー、ロックかけてるしな。大丈夫やろ)

当時アンドロイドを使用していた為、ロックは自分で決めたカタチの点を指でなぞり解くというもの。(※パターンロックといいます。)そこは慎重に誰にも解かれまいとかなり複雑にしてました。この携帯を見られたらすべてが終わり。(なのに手帳に正直に書くマヌケさ)

(分かりっこないやろ〜)

とたかをくくっていたら隣の彼の携帯にLINEが。相手はなんと…わたしから。(…え?わたし携帯持ってないんやけど、え??まさか…解いたん?)

彼から彼へのメッセージはシンプルに【〇〇さん、そこにいますか?】とわたしのLINEから。わたしが隣にいるかの確認。もうすべて悟った…LINEもろもろ内容を拝見されたご様子。

わたしはすぐに自由人な彼の携帯から同棲相手の彼に電話し、一発目に言った一言は

『なんで分かったん!どやって解いたん?!』

全世界がしばきたいレベルでしょう。
彼は半ば呆れ口調で

彼『パターンロックは解けなくて3回ぐらい間違えたら、次は4桁の数字入力に切り替わった。』

わたし『…え』

彼『はぁ…それにしてもこの状況で4649(ヨロシク)はやばいやろ...』

わたし『……!!!!』(頭真っ白)

この一件でのその後はご想像の通りです。

ひとつ想像と違ったのは自由人な彼はその後もそんなわたしを愛してくれました。ただ、嘘から始まった恋。長続きはせず一年で振られました。(そりゃそーだ)
彼らはそれぞれ素敵な女性と結ばれ幸せにやっております。わたしはこの一件を胸に抱きかかえ、絶対誰にも分からないロック番号に変え、あの日から仕事に生きています。
iPhoneに変えたわたしのロック番号は

【4645】

※あ、分かる人が分かるキム〇クのアレです。