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「ミせる」大人が子ども達に安心感を与える

○責任感から出る言葉

 「コーチの話を聞きましょう!」
巡回指導・巡回スクール(以下、巡回:※1)を初めて行う保育園で必ず聞こえる言葉です。そわそわしている子ども達を落ち着かせる手段として使っている言葉なのですが、私は息苦しく感じる言葉です。
 [せっかく来てくれてるから早く落ち着かせて、時間内をたくさん愉しんで欲しい]と考えている保育士さんの責任感が現れている事も理解できます。
 私の巡回は「みんな(保育士・子ども達含め)で愉しんでもらう」をテーマにしています。
 なので、保育士さんには「この時間(巡回)は私に任せて、先生達も子ども達と一緒に楽しんでください」と伝えて、子ども達と一緒にメニューを愉しむでもらうように促します。

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○“生真面目“すぎる思い込み

 「子ども達と一緒にメニューを愉しんでください」と促しても以前は、スゥ〜ッとその場から気配を消す保育士さんが多かったのですが、この5〜6年前くらいから子ども達と一緒に愉しむ保育士さんが増えてきました。子ども達と同じメニューでキャッキャッと愉しんでくれて、とても素敵な光景が広がります。
 しかし保育士さん自身が巧くできない、自信のないメニューになると急に気配を消してしまいます・・・

 気配を消してしまう理由「失敗するから」

  気配を消してしまう保育士さんは、本当に真面目で「子ども達に成功を見せないといけない」と思い込んで「失敗したら楽しくない。」「失敗はいけない事」と考えているのです。 
[失敗=ダメな事]の方程式が多くの保育士さんの中にあります。保育士さんの仕事は[子どもの命を預かっている]ので絶対にミスは許されない場面が多いのは理解できます。(私も元保育士でした・・・。)だからこそ巡回の時間は子ども達とのびのびと愉しんで欲しいと考えています。

○巧くできないからこそ「良い」

 保育士の仕事はミスが許されない場面が多いですが、巡回の中ではどうでしょうか、「失敗が許されない」ような大きな事柄はゼロにするのはできませんが起こり難いと思います。
 そんな巡回の時間は、どんどん挑戦をして失敗をし、そして工夫を凝らして再度、挑戦して欲しいのです。
 子ども達は大好きな保育士さんが諦めずに挑戦する姿を観て「挑戦する事」「工夫する事」がどういう事なのかを理解し真似していきます。
 全ての事が完璧に出来るのは理想的ですが、それはとても難しい事です。だからこそ「出来るからカッコいい!」よりも「出来なかったのに諦めずに挑戦して出来るようになった。凄い!」を観せて欲しいのです。

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○遊びの中から自己解決できる力をつける

 保育士さんは子ども達にとって一番身近な他人であり魅力的な憧れの存在です。その保育士さんが「完璧」を目指して頑張る姿を観せると子ども達は「ぼく(わたし)も失敗しても大丈夫なんだ。」と大きな安心感に包まれます。失敗を恐れる事が減り多くの挑戦し経験値を得て成長します。巧くできなくて諦める事がなくなり工夫を凝らして乗り越えられるようになります。それが自己解決する力と判断力に繋がっていくのです。

 だからこそ子ども達に「ミ(観・魅)せる」事が出来る大人を増やす活動を続けていきます。

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(※1)巡回指導・巡回スクール
「巡回指導」は、公益財団法人 日本サッカー協会のキッズプロジェクトで行われている活動です。
「巡回スクール」は、Aussaat Soccer Academyが保育園などと契約を交わして行なっている活動です。
  

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