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【MTG】ジュラシック・ワールドコラボ紹介 Secret Lair編


◆はじめに

こんにちは、Ausgangです。
ジュラシック・ワールドコラボの記事を書き上げて一段落ついたと安心していたら、もうSecret Lairの全カードが公開されてしまいました。
あまりにも早すぎる、WotCは《Rocket-Powered Turbo Slug》か何か?

超スピード!?

というわけで前回記事の最後に予告した通り、今回のSecret Lairの各カードについても詳しく見ていきたいと思います。
今回のカードは全て新規ではなく別名カードとしての収録であり、前回の記事より簡単な内容にはなりますが、よろしければお付き合いください。

※各作品のネタバレを含みますのでご注意ください。

◆コラボカード紹介:Life Breaks Free

まずご紹介するのは「Secret Lair x Jurassic World: Life Breaks Free」収録の5枚。
ジュラシック・ワールドシリーズに登場した恐竜達5種類を、アメコミ風のタッチと独特な色彩で描いています。
商品名は1作目、ウー博士とやり取りをするマルコム博士の台詞から。
…先にお伝えしておくと、こちらの5枚は正直色んな意味で疑問符が付く商品と感じざるを得ませんでした。
その理由に関しては各カードの個別項目で詳しく語らせていただきます。

■《Triceratops》

《むら気な長剣歯/Wayward Swordtooth》の別名カード

1枚目は立派な角が特徴のトリケラトプスです。
足元にいる可愛らしいお子さんを守っているかのような構図に見えますね。
イラスト右下の植物に木の実が生っており、親がそれを食べているところから判断すると、1作目に登場した食中毒状態の個体でしょうか?
イラストが古代遺跡(?)風の装飾で縁取られているのもオシャレですね。

1作目に登場したトリケラトプス
サトラー博士は有毒の西インド・ライラックを食べたせいで体調を崩していると診断していました

このカード、悩ましいポイントが2つありまして…
1つ目は「何故トリケラトプスを選んだのか」という点です。
ジュラシック・ワールドシリーズでのトリケラトプスは出演作品こそ多いものの、いずれも出番としては少なめであり、正直上記の食中毒の個体が一番目立っていたと言えるレベルの不遇ポジションです。
もちろん恐竜全体の中では人気が高い種ですが、シリーズ代表という要素を考えるならブラキオサウルスやプテラノドン等の方が相応しいのではないかと感じてしまいます。

2つ目は「何故そのカードチョイスなのか」という点。
本カードの元となるむら気な長剣歯ですが、誰がどう見ても二足歩行の肉食恐竜なのです。

この見た目でトリケラトプス役は無理でしょ

トリケラトプスを出すのであれば、イクサラン限定でも《突き刺すケラトプス/Goring Ceratops》や《攻角のケラトプス/Siegehorn Ceratops》といった角竜類モチーフの恐竜がいるのだから、そちらを選べば良かったのではと思います。
流石に食性も歩行様式も違う種を選ぶのはちょっとよく分かりませんね…

■《Tyrannosaurus Rex》

《原初の嵐、エターリ/Etali, Primal Storm》の別名カード

本セットの目玉となるティラノサウルスの登場です。
左手前にひっくり返ったジープが写っていることから、1作目でのマルドゥーンが運転するジープを追いかけているシーンでしょう。
カードの外枠は爬虫類等の体表の模様っぽいですね。
パワータフネスの部分に重なっている赤線、最初はジュラシック・パークが位置する「イスラ・ヌブラル島」の輪郭かと思いましたが、確認したら全く違いました。
ここの元ネタが正直全然分からなかったので、ご存じの恐竜男がいたらnoteのコメントかXで教えてください。

1、4、5作目の舞台となるイスラ・ヌブラル島

こちらに関しても気になる点はあるのですが、別のカードとの兼ね合いによりそちらの方で語らせていただきます。

■《Velociraptor》

《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》の別名カード

お次はヴェロキラプトルのカード。
描かれているのは1作目のビジターセンター内のキッチンで、中に逃げ込んだハモンドの孫達を追いかけてきた場面です。
前回記事の《狩りをするヴェロキラプトル/Hunting Velociraptor》の項目でも軽く触れましたが、このキッチンでの攻防戦から始まる一連の流れはパニックホラーとして素晴らしい名シーンだと思います。
カードの枠やテキストは1作目で度々出てきた高電圧フェンスの警告表示をモチーフにしている感じですね。
個人的にめちゃくちゃ気に入ってます。

至る所で目にする看板
まぁネドリーのせいですぐにダメになるんですが…

元カードとなったのは、MTG史上唯一のスタンダードで禁止解除を受けた暴れ回るフェロキドンです。
本カードに関しては元カードと選出された恐竜とがちゃんとマッチしており、イラストも含めて非常に満足のいく1枚となっています。

■《Spinosaurus》

《レギサウルスの頭目/Regisaur Alpha》の別名カード

コラボカードの方ではイラストのみの登場だったスピノサウルスもカード化されました。
宙を舞う草木の様子から見て、ジャングルの中を走り回っているような感じのイラストでしょうか。
カードテキストの枠はどことなくメタリックな感じですが、これは3作目のロゴやポスターが基本的に金属板っぽい仕上がりなのを意識しているのかもしれません。

3作目のDVDパッケージ
無数のひっかき傷がつけられた金属というデザインになっています

このカードに関してはとにかく「ティラノサウルスと元カード逆だろ」としか言えないです。
このスピノサウルスの元カードであるレギサウルスの頭目ですが、
●regi(王を意味するrexの変化形)+saur(トカゲ)
●巨大な顎と後脚に対して非常に小さい前脚
という要素から、明らかにティラノサウルスをモチーフにした恐竜としてデザインされています。
一方、ティラノサウルスの元カードとなるエターリですが、細長い顎と背中の帆からイクサランにおけるスピノサウルスに当たる帆背びれであるのは明白です。

ティラノサウルス「これってもしかして…」スピノサウルス「私達…」
「「入れ替わってるー!?」」

両方ともカードとしての選出は納得がいくだけに、この組み合わせに関しては全く理解ができません。
ティラノサウルスに伝説恐竜を当てたかったというのであれば、《原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hunger》にすれば良かったという話になると思うので、本当にどういう構想でこれらのカードを設計したのかシンプルに気になります。
WotCさん真面目に本セットのデザインに関する記事出してくれませんかね?

■《Indominus Rex》

《万猛竜/Polyraptor》の別名カード

最後の1枚はワールドトリロジーよりインドミナス・レックスの登場です。
背景に観光施設が立ち並び、右奥に統率の塔イノベーション・センターが写っていることからレクシィとブルーとの最終決戦の場面でしょう。
右端の壊れた柵を見ると、もしかしたら”あの”シーンの直前かもしれません。
カード背景にはピリミジン塩基の六角形、カードタイプを挟んでいるのはDNAの二重螺旋構造という風に、ハイブリッド恐竜らしく遺伝子に関連した物を活用したデザインとなっています。
元カード名やP/Tの表示がデジタル風なのもグッド。

ただ、本カードも少し気になる点はあります。
本カードの元である万猛竜はダメージを受けると自身のコピーを出すという能力を有しています。
これを本カードに適用すると、戦場に大量のインドミナス・レックスのコピートークンが出てくる可能性があるわけで…
同種の存在しない、文字通り唯一無二な存在であるインドミナス・レックスが無数にいるというのは個人的には少し奇妙に感じてしまいます。
インドミナス・レックスを起点としてハイブリッド種が産み落とされていくというフレーバーなのかもしれませんが、映画では結局インドラプトル以外新種が出なかったので、それはそれであまり噛み合っていないかなという感想です。

■《BRACHIOSAURUS》※追記

《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw》の別名カード

6種類目のボーナスカードとして、ブラキオサウルスが収録されていました。
イラストでは木の枝がブラキオサウルスを囲うように描かれており、テキスト欄は熱帯植物の森のシルエットとなっています。
口からはみ出ている植物を見るに、グラント博士と子供達が樹上でブラキオサウルスの食事に出くわした場面を描いているのでしょう。
カード名の下にフレーバーテキストが書いてありますが、こちらは元カードである巨大な戦慄大口のフレーバーテキスト(イクサラン版)の一部を改変したものになっています。
巨大な戦慄大口:If you hear its below, flee. (鳴き声が聞こえたら、逃げろ)
ブラキオサウルス:If you hear its below, feed it! (鳴き声が聞こえたら、餌をやれ)

こちらに関して語りたいことはトリケラトプスと概ね同じで、「何故肉食恐竜モチーフのカードに草食恐竜を充てがうのか」という部分です。
MTGの恐竜にも竜脚類モチーフのアルティサウルスやブロントドンが存在しており、《頂点のアルティサウルス/Apex Altisaur》や《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》等はフォーマットによっては割と使われていると思うので、そちらを使っても良かったのではないかと感じてしまいます。
戦慄大口はイクサランからジャンプスタート2022の間に6回も収録され、亜種が2つも作られるというウィザーズお気に入りカードなのでSecret Lairに登場するのは全然良いのですが、カードデザインに関してはもう少し納得の行く形に収めてほしかったですね。

間違い探しかな?

◆コラボカード紹介:Dr. Ian Malcolm

ここからは「Secret Lair x Jurassic World: Dr. Ian Malcolm」に収録される5枚の紹介となります。
こちらのセットは1作目におけるマルコム博士に焦点を当てた内容ですね。
マルコム博士はシリーズの中でもかなりの人気キャラであるため納得の人選と言えます。

■《Malcom's Mercurial Mirth》

《ターシャズ・ヒディアス・ラフター/Tasha's Hideous Laughter》の別名カード

LOデッキの切り札として確固たる地位を確立したターシャズ・ヒディアス・ラフターの別名カードです。
翻訳テンプレートに従ってカード名を訳すなら《マルコムの気まぐれな笑い》といったところでしょうか。
カードイラストとフレーバーテキストは序盤の島へ向かうヘリの機内、「君達は恐竜オタクってとこ?」という質問にぶっきらぼうな返答を返したグラント博士を見ながら笑い出したシーンですね。
イラスト右端に移っているのは、グラント博士がいつも持ち歩いているヴェロキラプトルの爪の化石です。
マルコム博士の隣に座っているのはインジェン社の顧問弁護士「ドナルド・ジェナーロ」(演:マーティン・フェレロ)
ファンからは「トイレのおっさん」として愛されているキャラです。

トイレのシーン、人気のあまり(?)今年のコミコンで体験用展示スペースが作られたそうです。

D&Dにおけるターシャズ・ヒディアス・ラフターは相手を1分間笑わせる呪文であり、イラストでは呪文をかけられたビーヒアという怪物が笑い転げています。
自分か相手かという違いはあるものの、笑いを描いたカードの元としては良いチョイスではないでしょうか。

■《Dr. Ian Malcom》/《Egg》

《巣を守る者、アトラ・パラーニ/Atla Palani, Nest Tender》の別名カード

プレビューにて先んじて登場したアトラ・パラ二パラーニの別名カードを改めて紹介します。
生成される卵トークンもまとめて見ていきましょう。
カードの場面としては1作目のウー博士登場のシーン、ヴェロキラプトルの卵が孵化するところですね。
映画では気にしつつも一歩引いた感じを見せていましたが、こちらのイラストでは興味津々というような描かれ方になっている印象を受けました。
マルコム博士のキャラクター性とアトラ・パラーニの設定とではあまり噛み合っていない感もありますが、卵の死亡によってライブラリーから何か分からない生物が飛び出してくるというランダム要素はマルコム博士のカオスらしさに適しているんじゃないかなと思います。

卵トークンの方はまさに孵化した直後、ヴェロキラプトルの幼体が顔を覗かせています。
既に殻が割れてしまっているのは卵のイラストとして大丈夫なのかという気もしますが、この卵トークンは割れるのが役目なのでまあ良いんじゃないですかね。

■《Chaotic Chaotician》

《研究室の偏執狂/Laboratory Maniac》の別名カード

続いてはセルフLO勝利カードの元祖、研究室の偏執狂の別名カードです。
カード名は「カオスなカオス理論家」、洒落た名前ですね。
イラストはツアーの最中、恐竜が全く姿を見せないことに対して車内カメラ(越しに一行を見ているハモンド)にフレーバーテキストの台詞を投げかけておちょくっている場面となっています。
こんなに舌出してたような気はしないですが…

カオスを愛する変人であるマルコム博士に対して、MTGの中でもカオスなカードである研究室の偏執狂はベストマッチな組み合わせ…だと感じます。
これが《タッサの神託者/Thassa's Oracle》だったらcEDHでマルコム博士が飛び交っていたかも…

■《Ian, Convalescent Charmer》

《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》の別名カード

トリを飾るのは、タルキール次元はスゥルタイ群のカンにして今なお愛される名キャラクター、バナナタシグルシルムガルのネックレスの別名カードとなります。
カード名を訳すなら「病み上がりの色男、マルコム」といった具合でしょうか。
イラストはティラノサウルスに吹き飛ばされた後、サトラー博士達に回収されて以降の姿です。
ティラノサウルスの攻撃で大怪我を負っているため、骨折した左脚には包帯を巻かれており、全身血と傷だらけの状態になっています。
手当のために丸見えになっている上半身がセクシー。

フレーバーテキストはティラノサウルス脱走の直前、ツアー車の中でグラント博士と家族に関する雑談をしているところから。
「今は将来の元マルコム夫人を探している」=また結婚しても最終的に別れるだろうというマルコム博士の恋愛観というか諦観が垣間見えますね。

元カードの選出については、能力やキャラクター性よりもカードイラスト一点張りと言っていいでしょう。
両者を並べて見てみると、想像以上にポージングが似ていて思わず笑ってしまいます。

イラストは似てますが、性格等は真逆な2人

■《Chaos Theory》※追記

《混沌のねじれ/Chaos Warp》の別名カード

マルコム博士のSecret Lairにもボーナスカードが来ておりました。
元カードはEDHの赤いデッキにはお馴染みの除去である混沌のねじれであり、英語名のカオス繋がりでの選出でしょう。
こちらのカード名は日本語だと「カオス理論」、まさに直球のネーミングですね。

フレーバーテキストはサトラー博士にバタフライ効果を説明している場面のものです。
「北京で蝶が羽ばたくとセントラルパークに雨が降る」、単純明快で非常に分かりやすい説明ですね。
イラストはそんなバタフライ効果からイメージしたのであろう、蝶に囲まれるマルコム博士となっています。
本編にはこのようなシーンはもちろんございませんので、マルコム博士の心象風景と捉えるべきなのでしょう。
手前の方の蝶は火を纏いながら羽ばたいており、少し不安さを感じさせるイラストでもあります。

◆おわりに

Secret Lair2種の紹介をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
Life Breaks Freeの方は元カードの選出等に不満を覚える内容だったのが少し残念でしたが、イラストやカード枠のデザインはすごく良かったです。
一方、Dr. Ian Malcolmの方はどのカードも面白いと感じられ、個人的にはかなり良い内容だと思いました。
公式サイト及び楽天ブックスで12月27日まで予約可能なので、ご興味を持たれた方はぜひ購入してジュラシック・ワールドシリーズの雰囲気を堪能しましょう!
それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

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媚をウルザ


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