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【MTG】ジュラシック・ワールドコラボ紹介


◆はじめに

こんにちは、Ausgangです。
2023年11月17日発売予定の「イクサラン:失われし洞窟/The Lost Caverns of Ixalan」の情報が明らかになりました。
イクサランと言えば16世紀中南米での現地文明とヨーロッパからの侵略者コンキスタドールとの衝突をモチーフとし、4つの勢力による黄金都市を巡っての争いを描いた次元でした。
今回はそこに地中空洞説を取り入れた地底探検がテーマということで、前回に負けず劣らずの壮大な世界観を楽しんでいきたいです。

お店にイクサラン

もちろんイクサラン本編のカードも気になりますが、個人的には「ジュラシック・ワールド」とのコラボカードの存在にとても心惹かれています。
今回のセット・ブースターからは一定確率で、コレクター・ブースターからは確定でジュラシック・ワールドシリーズの名シーンを描いたカードが排出されることになっています。
コラボカードは全26種類、そのうち20種類が完全新規カードであり、さらにSecret Lairでの追加も予告されていてもうワクワクが止まりません!

エキスパンションシンボルは親の顔より見たティラノサウルスの化石のロゴマーク

作品としては非常に有名なタイトルではあるジュラシック・ワールドシリーズではありますが、1作目は30年も前の作品であって詳しい内容をご存じない方もいらっしゃると思います。
また、「金曜ロードショー等で見た記憶はあるが、細かい内容は覚えていない」という方も多いと思います。
ということで、今回はジュラシック・ワールドシリーズの魅力を皆様にお伝えするため、そして各カードの原作再現度を知ってもらうため、本コラボを見ていく記事を書こうと思い立った次第です。
見切り発車での企画ですが、よろしければどうぞお付き合いください。
でもできればこんな記事を読むよりも本編を見てください。

◆ジュラシック・ワールドシリーズについて

シリーズの始まりとなった1作目『ジュラシック・パーク』は1993年に公開されたパニック映画です。
監督は『ジョーズ』や『インディー・ジョーンズ』シリーズ、『E.T.』を世に送り出したスティーヴン・スピルバーグで、当時の最新技術であるCGや監督がこだわり抜いたアニマトロニクスによる迫力ある映像は話題を呼び、結果として世界歴代興行収入1位を勝ち取りました。
ちなみに、それまでの興行収入1位は『E.T.』です。一人でやってるよ〜

1作目は今年で30周年、MTGと同い年です
おめでとうございます!

この大ヒットを受けて続編制作が決定し、現在に至るまでに最終的に
2作目『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997年)
3作目『ジュラシック・パークIII』(2001年)
4作目『ジュラシック・ワールド』(2015年)
5作目『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018年)
6作目『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022年)
の計6作が公開されました。
基本的なあらすじとしては、いずれも
①何やかんやあって主人公達が恐竜がいる島にやってくる
②恐竜が暴走!人を喰らいまくる!
③苦労の末に何とか脱出!
という流れを踏襲しています。
しかし、入念に作りこまれた恐竜のヴィジュアルや迫力満点な恐竜からの逃走劇により、飽きを感じることなく楽しめるでしょう。
2023年11月1日時点でAmazon PrimeかU-NEXTであれば6作全て視聴できますので、ご覧になっていない方はぜひ一度ご視聴ください(他のVODでも5作目までは見られる模様です)

主要6タイトル
あなたはどれがお好きですか?

ちなみに、1~2作目に関してはSF作家マイケル・クライトンが執筆した原作小説が存在しています。
ですが、ストーリー展開やキャラの描写は大きく異なっており、結末も含めてほぼ違う作品となっています。
原作はKindleでも読めますので、ご興味のある方はぜひそちらもご一読ください。

パニックホラー的な側面が強い映画に比べて、SF作品としての特徴が濃くなっています

◆コラボカード紹介

前置きが長くなりましたが、ここから各カードについてご紹介していきたいと思います。
紹介順は作品公開順に行っていきます。
また、土地カードとトークンは最後にまとめて扱います。

※各作品のネタバレを含みますのでご注意ください。

■《ようこそ……/Welcome to . . .》/《ジュラシック・パーク/Jurassic Park》

出典:『ジュラシック・パーク』

1枚目からもうエモくて涙が出てきました…
変身能力を持つ英雄譚で、表面は1作目の大まかな流れを表現しています。
表面のイラストに描かれているのはそれぞれ
●蚊を閉じ込めた琥珀の杖(中央上)
●木の上で一夜を明かしたグラント博士一行とブラキオサウルス(左上)
●孵化した直後のヴェロキラプトル(右)
●ジュラシック・パークのメインゲート(中央)
●脱走して森の中に隠れ潜むヴェロキラプトル(左中)
●発煙筒でティラノサウルスの注意を惹くグラント博士(中央下)
となります。

各章の能力を見ていくと、
①各対戦相手のクリーチャーでないアーティファクトを1つずつ対象とし、この英雄譚をコントロールしている間0/4の壁・アーティファクト・クリーチャーにする。
対戦相手のアーティファクトを使って、恐竜を囲い込むための壁=高電圧フェンスを建てます。
②緑3/3トランプルの恐竜トークンを生成し速攻を付与。
最先端の科学技術で恐竜を蘇らせます。
物語序盤までは恐竜達が檻の中で適切に管理されている状態であることを、恐竜トークンが壁を突破できないという形で上手く表現していますね。

恐竜の攻撃では壁は破壊できないが…

③全ての壁を破壊し、これを追放して変身させて戻す。
とある人物の工作により、フェンスの電気系統が切られて恐竜達が脱走し始めました。
1作目におけるパーク崩壊が人為的な原因であるという部分を、英雄譚が壁を破壊することで表しているのかと思います。
比較的早くに公開されたこのカードですが、能力による原作再現がとても巧みで本当に素晴らしい1枚と言っていいでしょう。

裏面に変身すると、パークのメインゲートを描いた伝説の土地に。
能力としては恐竜のみをカウントする《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》風のマナ能力に加え、墓地の恐竜を3枚追放の追加コストで脱出できるようにしてくれます。
崩壊したパークの檻の中から恐竜達が「脱出」し、恐竜が増えることで自然の力が増すというよく練り上げられたデザインです。

ツアー用の車がゲートをくぐるシーンは何度見てもワクワクします
Welcome to ようこそジュラシック・パーク!

■《古生物学者、エリーとアラン/Ellie and Alan, Paleontologists》

出典:『ジュラシック・パーク』

右が1作目の主人公である古生物学者「アラン・グラント博士」(演:サム・ニール)
少々偏屈で子供嫌い、良くも悪くも正直という学者のテンプレというような人物ですが、周囲の人々を守るために肉食恐竜の眼前へ飛び出していき、持ち前の知識で脱出の糸口を見つけるヒーローに相応しいキャラです。
左がそのパートナーにして古植物学者「エリー・サトラー博士」(演:ローラ・ダーン)
グラント博士よりも社交的な性格で、脱走した恐竜がうろつくパーク内を移動する役割に志願する等、極めて勇敢な女性としても描かれています。

イラストは映画冒頭のモンタナ州でヴェロキラプトルの化石発掘を行っているシーン。
発掘調査を行っていた2人ですが、パークの創設者から3年分の調査資金援助を条件に「恐竜をモチーフとしたテーマパークを視察してパーク運営についての推薦状を書いてほしい」ともちかけられたことから物語は始まります。
3作目にも登場しますが、その時の2人は何だかんだで破局、サトラー博士は別の男性と結婚して家庭を持っており、相変わらず化石発掘を行っていたグラント博士だけが出発することとなります。
さらに6作目にも登場、サトラー博士はこの時夫と離縁して現場に復帰しており、2人揃ってアグレッシブな活躍を見せてくれます。

6作目での両博士
公開前に2人の復活が発表された時はとても感動しました

研究者であり(青)、過去の時代の生物を調査対象とし(緑)、自然界の秩序を重要視する価値観の持ち主(白)という要素からのバントカラーというチョイスなのでしょう。
MTGにおける考古学者のトカシアがバントカラーであることも影響しているかもしれません。

ドミナリアの考古学者にしてウルザとミシュラの師匠

能力に関しては、タップと自分の墓地のクリーチャー1体の追放をコストに、新しいキーワード処理「発見X」(Xは追放したクリーチャーのマナ総量)を行います。
発見は続唱のリメイク的な存在で、X以下の土地でないカードがめくれるまで自分のライブラリートップを追放し、めくれたカードをマナコスト無しで唱えるか手札に加えるかを選ぶことができます。
旧来の続唱は打ち消しや適正な対象がいない除去が出てきて悲しい思いをすることが多々ありましたが、発見はそれらを手札に加えることで無駄にしないようにすることができるようになっているというかなり強力な能力です。
古代の生物の化石=墓地のクリーチャーを調査し、新たな事実を発見するというこの能力は、まさに古生物学者の2人にピッタリな能力と言えるでしょう。

■《カオス理論家、イアン・マルコム/Ian Malcolm, Chaotician》

出典:『ジュラシック・パーク』

実は上の2人よりも多くのシリーズ作品に登場しているのが、カオス理論を専門とする数学者「イアン・マルコム博士」(演:ジェフ・ゴールドブラム)です。
全身真っ黒なスーツスタイルとサングラス、そして嫌味と皮肉たっぷりな物言いがとても印象的な登場人物。
性格は明るくお喋りで軟派という感じであり、イラストもツアー中の車内でサトラー博士にノリノリでカオス理論の説明をしているという流れを利用して手を触るセクハラ中の場面となっています。

彼の語るカオス理論とは、「些細な違いが物事の結果に大きな違いを生み出すため、未来の出来事は事実上予測不可能」という考えです。
本人が劇中でも言及しているバタフライ効果は有名な話だと思います。
マルコム博士はこのカオス理論に基づき、恐竜達を完璧に管理しているように見えるパークの欠陥を主張し続けていました。
彼の考えが正しかったか否かについては、もはや語るまでもないでしょう。

1作目では途中で怪我を負って目立たなくなってしまいましたが、2作目では主人公に抜擢されて大立ち回りを演じます。
5、6作目ではパークに関する有識者というポジションで登場、老齢になっても衰えないシニカルな語り口調を見せてくれます。

5作目の締めの語りが最高なんですよ…

カラーとしては研究者としての青に加えて、MTGにおけるカオスを司る赤の2色となっています。
能力もまさにカオスで、
①セカンドドローをしたプレイヤーのライブラリートップを追放する
②ターンプレイヤーは自ターンの間、自分”以外”が追放した呪文を1つプレイできる
というもの。
卓内の全員が衝動的ドローのような恩恵を受けられますが、自分のカードは使えない=中身の分からない相手のライブラリーからのカードのみプレイできるという、カオス理論らしい予測不可能なゲーム展開が起こること間違い無しでしょう。

■《絶対に動くな/Don't Move》

出典:『ジュラシック・パーク』

物語が大きく動き出したティラノサウルスの脱走シーン。
ツアー車から逃げ出したハモンドの孫娘「レックス・マーフィー」(演:アリアナ・リチャーズ)がティラノサウルスを見て叫び声を上げそうになり、グラント博士がその口を塞いでやり過ごそうとしている場面です。
グラント博士は「ティラノサウルスは動くものしか捉えられない」と語り、2人は息を潜めて動きを止めることで捕食を免れます。
結局はこの後別のトラブルへと追い込まれはするのですが…

カードの能力としては、タップ状態のクリーチャーに対する全体除去であり、さらに次の自分のターンまでタップされたクリーチャーを破壊していきます。
タップ状態になった、つまり動いてしまったクリーチャーがティラノサウルスに襲われるというフレーバーでしょうか。
油断してタップされている相手のクリーチャーを流しつつ、自分は攻撃を見送ったり警戒持ちで戦闘したりする等して上手いことティラノサウルスの攻撃を誘導しましょう。

■《権限否認/Permission Denied》

出典:『ジュラシック・パーク』

「アッハッハーン、魔法の呪文を言わなきゃ駄目だよ。アッハッハーン」
1作目を朧げにしか覚えてない方でも、この台詞は記憶に残っているのではないでしょうか?
イラスト右側の人物は「レイ・アーノルド」(演:サミュエル・L・ジャクソン)、パークのチーフエンジニアです。
真面目に仕事をこなしている良い人ですが、登場するほぼ全てのシーンでタバコを吸っているという時代を感じさせるキャラです(実際にはカードイラストのシーンでも咥えタバコをしています)
一方、モニターに映っている顔はシステムエンジニア「デニス・ネドリー」(演:ウェイン・ナイト)のもので、彼がパーク内の電気系統を切断し恐竜達の脱走を引き起こした元凶です。
ネドリーはとある目的のためにパークのセキュリティシステムをダウンさせて逃走、アーノルドがその復旧を試みるも失敗し、仕掛けられていたメッセージでおちょくられている場面がこのカード。

カード名はこのシーンのシステムメッセージから
このシーン以降の制御室には常にネドリーのメッセージが垂れ流されており、とにかく鬱陶しい

カードとしては《否認/Negate》に《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》の起動型能力がくっついた感じ。
非クリーチャー呪文をシステムへのアクセスに見立て、アクセスに失敗すると以降は入力を受け付けなくなるという形での再現になっています。
正直かなり強力な打ち消しだと思いますので、今後EDH等では見る機会も多くなりそうです。
使った後にネドリーのメッセージを言うかどうかは自己責任で。

■《毒吐きディロフォサウルス/Spitting Dilophosaurus》

出典:『ジュラシック・パーク』

そのネドリーにディロフォサウルスが襲いかかっている場面。
独特な鳴き声を上げながら襟巻きを広げて威嚇してくる所は正直かなりホラーです。
フレーバーテキストはこの直前の襲いかかられる前の台詞ですが、イラスト的には全くいい子じゃないですね…

ディロフォサウルスと言えば、威嚇のための大きな襟巻きと口から吐き出す毒入りの唾液が有名です。
…が、これらは全て創作であり、現実のディロフォサウルスで確認されているのは頭頂部の2対の鶏冠くらいしかありません。
しかし、このインパクトがありすぎるヴィジュアルによって襟巻き恐竜のイメージが独り歩きしてしまっており、後年の恐竜を扱う作品でも襟巻きが付いていることがほとんどとなってしまっています。
良い子の皆さんは恐竜図鑑等で本物のディロフォサウルスのイメージ図を見てもガッカリしたりしないように!

MTGにおけるディロフォサウルス
控えめながら襟巻きが付いているのが分かります

カードとしてのディロフォサウルスは、出た時と攻撃した時毒の代わりに-1/-1カウンターを1体に吐きつけます。
毒を目潰し目的で使用しているという部分は、-1/-1カウンターが置かれたクリーチャーをブロックに参加できないようにすることで表現していますね。
《蠍の神/The Scorpion God》や《姿奪い、ヴォルラス/Volrath, the Shapestealer》のような-1/-1カウンターとシナジーのある統率者と組み合わせると戦闘を有利に運べて良いかもしれません。

■《狩りをするヴェロキラプトル/Hunting Velociraptor》

出典:『ジュラシック・パーク』

シリーズ皆勤賞でありジュラシック・ワールドシリーズにおけるスター恐竜、それがヴェロキラプトルです。
シリーズにおけるヴェロキラプトルは極めて知能が高く凶暴な恐竜として扱われており、1作目では人間側も強く警戒して特別な檻に入れられていました。
しかし、ネドリーの工作を止めるためにシステムを停止させた際、フェンスの電流が止まったことを感知して脱走してしまいます。
イラストはその直後、恐竜の飼育担当である「ロバート・マルドゥーン」(演:ボブ・ペック)がヴェロキラプトルを狙撃しようとしているところに対して、囮を使って奇襲する罠にかけようとしている場面でしょう。
こちらもフレーバーテキストでいい子と言っていますが、英語版は「Clever girl」であり、劇中で囮戦術に嵌められたマルドゥーンが最後に呟いた台詞となっております。

数回いじるだけでドアノブの仕組みを理解して扉を開けてくるシーン
絶望感がすごいです

能力を見ると、囮や罠を用いる狡猾さを先制攻撃で表現している感じでしょうか。
加えて赤3マナの「徘徊」付与能力を有しており、恐竜が戦闘ダメージを与えたターンであれば他の恐竜を赤3マナで唱えられるようにしてくれます。
他の仲間を呼び出して集団戦術で獲物を狩るヴェロキラプトルのイメージによく噛み合った能力ではないでしょうか。
《原初の災厄、ザカマ/Zacama, Primal Calamity》のような重い恐竜と組み合わせて悪さをしたい1枚です。

■《貪欲なティラノサウルス/Ravenous Tyrannosaurus》

出典:『ジュラシック・パーク』

ヴェロキラプトルと並ぶ看板恐竜として、ティラノサウルスを外すことはできないでしょう。
暴君竜という名前の意味の通り、1作目では檻から脱走してから人を食べたりジープを追いかけ回したり他の恐竜を襲ったりとやりたい放題。
ラストではグラント博士達とヴェロキラプトルが対峙していたビジターセンターに突撃し、ヴェロキラプトルと戦闘になったことで偶然ながら人間達を助けることとなりました。
カードイラストはヴェロキラプトル2頭を撃破して咆哮を上げるシーン、
「WHEN DINOSAURS RULED THE EARTH」(恐竜が地球を支配していた時代)の垂れ幕がヒラヒラと舞い落ちてくるのが印象的です。

TwitterX等でよく言及されていますが、本コラボの数少ない不満点はこのカードが伝説ではないことです。
1作目のティラノサウルスと4~6作目に出てくる個体は同一であると名言されており、(劇中では出ませんが)「レクシィ」という愛称もあります。
ジュラシック・ワールドシリーズの影の主役と言っても過言ではない存在ですし、この部分に関しては少し残念ではあります。

4作目ラストシーンでのレクシィ
1作目でヴェロキラプトルにつけられた古傷が残っている

カードとしては6/6の優れたスタッツに加えて、出た時追加で任意の数のクリーチャーをサクってその3倍の+1/+1カウンターを乗せる「貪食3」を有しています。
その巨体故に大量の食料を求めていることの表現といった感じでしょうか。
さらに攻撃した時他のクリーチャーにパワー分のダメージを与え、余剰ダメージをコントローラーに飛ばす能力もついています。
こちらは解釈が難しいのですが、レクシィと言えば作中で頻繁に吠えている描写が入ることから、その咆哮をダメージとして扱っている…という感じ?
貪食によってパワーが伸ばしやすく、その分火力を大きくでき、余剰分も本体火力に変えて無駄にしないという最高なカードに仕上がっています。
手に入ったら早速うちの《太陽の化身、ギシャス/Gishath, Sun's Avatar》デッキで活躍してもらう予定です、早く発売日来てくれ~!

■《恐竜の遺伝子/Dino DNA》

出典:『ジュラシック・パーク』

恐竜の血を吸った古代の蚊が閉じ込められた琥珀の結晶。
ジュラシック・パークの運営会社である暗黒メガコーポインジェン社はこの蚊から恐竜の血を抜き取って遺伝子情報を入手、欠損箇所を両生類のDNA等で補修することで恐竜を蘇らせることに成功しました。
このため、ジュラシック・パークの恐竜達は厳密には恐竜・カエルとなります。

イラストの老人はインジェン社CEOにしてパークの創設者「ジョン・ハモンド」(演:リチャード・アッテンボロー)で、脱出するヘリの機内にて杖にくっつけられた琥珀の結晶を名残惜しそうに眺めているシーンが描かれています。
「世界中の人々に本物の恐竜を見せて喜ばせたい」という崇高な目的でパークを作り上げた良い人物ではあるのですが、少々独善的で頑固な性格であることは否めず、それがネドリーの裏切りやパーク内での惨事に繋がってしまいました。
2作目ではパークの閉鎖等の都合でCEOを退いていましたが、マルコム博士に恐竜の生態調査を依頼するという形で登場、マルコム博士が島へ向かうきっかけを作りました。

フレーバーテキストの「ミスター・DNA」は作中のアニメ内にて登場する塩基配列をモチーフにしたキャラクター
3秒くらいながら4作目にも登場しています

コラボカード内で唯一のアーティファクトであり、1マナとタップによりソーサリータイミング限定で墓地のクリーチャー1枚を刻印することができます。
そして、6マナ払うと刻印したクリーチャー1体を緑6/6トランプルの恐竜であるコピーとして戦場に出せます。
個人的に結構可能性を感じているカードで、刻印したクリーチャーを溜めておけるので小規模な墓地対策に使えます。
また、コピー生成はタップが必要ないため、マナさえ稼げれば無限トークンに突入できます。
一番手っ取り早いのは宝物が6個以上出せる状態での《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》ですが、トークン2倍系の置物を出しつつ《ギックスの僧侶/Priest of Gix》を出すなんて手段も。
無理に無限を狙わなくても、相手の強いクリーチャーを刻印して出すというような運用ができるだけで十分使い道があるカードだと思うのですがいかがでしょうか?

■《コンプソグナトゥスの大群/Compy Swarm》

出典:『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』

ようやく1作目が終わりました…
次は2作目に登場した小型恐竜コンプソグナトゥス、通称コンピーです。
シリーズに登場している恐竜の中でも極めて小さく、せいぜい鳩か鶏くらいの大きさしかありません。
そのサイズ感も相まってパッと見は愛くるしいのですが、イラストに描かれている通り群れとなって襲いかかってくるとんでもない一面を持っています。
襲われているのは恐竜ハンターの1人である「ディーター・スターク」(演:ピーター・ストーメア)で、最初は手に持っているスタンガンで追い払っていましたが、仲間達とはぐれた上に集まってきたコンピー達の執拗な追跡を受け、最終的にはイラスト通りに群がられてやられる羽目になりました。
フレーバーテキストの「ロバート・バーク」(演:トーマス・F・ダフィ)はハンター達に同行している古生物学者で、ディーターと共にコンピーと初遭遇した際にこの台詞を述べています。
この台詞の後にディーターはスタンガンを使って「これで分かっただろ」と自慢げに語っていましたが、結果はご存知のとおりです。

逃げ回るディーターと追い回すコンピー
これでもれっきとした恐竜、小さいからと言って舐めてはいけません

クリーチャーとしては3マナ2/2と小さめですが、自分のターン中にクリーチャーが死亡していれば終了ステップ時にこれのコピーが出てきます。
コンピーは腐肉食、つまり死体を漁って食べる恐竜だったと説明されていることから、クリーチャーの死体に群がって仲間を増やしていくというわけですね。
ドンドンクリーチャーの死体を作ってコンピーに餌を供給してあげましょう。

■《野蛮な序列/Savage Order》

出典:『ジュラシック・パークIII』

続いて3作目から、メインの恐竜となるスピノサウルス(左)とティラノサウルス(右)の対決シーンを描いたカードです。
本作にて鳴り物入りでデビューしたスピノサウルスが、(若い個体とは言え)ティラノサウルスと戦って勝利してしまうこのシーンはかなり衝撃的でした。
このシーンを筆頭に華々しい活躍を見せたスピノサウルスは一躍人気恐竜として大出世することとなります。
ただし、公開後の研究によって陸ではさほど強くなかったのではという学説も出ています、残念。

とあるシーンではちょっとした笑いも提供してくれる名優

フレーバーテキストはグラント博士の助手「ビリー・ブレナン」(演:アレッサンドロ・ニヴォラ)のもので、島にやってきて巨大恐竜(スピノサウルス)に追われた後、グラント博士とその正体について議論している際の一言。
…なのですが、この一文は吹替とも字幕とも異なっており、しかも前後の会話と若干噛み合わない訳になってしまっているため、確認に少し苦労しました。

カードの印象としては、恐竜用に調整された《自然の秩序/Natural Order》。
コストのクリーチャーに関する指定が色からパワーに変わり、出せるのが恐竜限定ながら次のターンまで破壊不能を付けてくれます。
恐竜デッキであればパワー4以上の用意自体は難しくはないでしょうが、自然の秩序の「マナクリ等の小粒をファッティに変換する」という使い方とは少し異なる運用が求められるでしょう。
カード名やフレーバーテキストの通りにデカブツからより大きなデカブツへ、という使い方も良いでしょうが、飛行・到達持ちやドローできるクリーチャー等のその場その場に適した恐竜を持ってこれるサーチカードとして活用したいです。

■《高揚するモササウルス/Cresting Mosasaurus》

出典:『ジュラシック・ワールド』

ジュラシック・パークシリーズは終わりを迎え、ここからジュラシック・ワールドトリロジーに突入します。
トリロジーの1枚目は、予告でも本編でもインパクト抜群だったモササウルスです。
日本版予告ではイラストに描かれた通り、水中から飛び上がって餌に食らいつくパフォーマンスを見せて観客達(と視聴者)の度肝を抜き、本編ではまさかの大金星を挙げるという活躍を見せる等、ジュラシック・ワールドの影の立役者と言える存在です。
シリーズ唯一の海棲爬虫類ということもあってか割と出番をもらっており、地上で起こっている騒動など意に介さず自由気ままに生きている姿が何度か描かれます。

マナコストの重いファッティですが、異界月で登場したキーワード能力「現出」を持っています。
モササウルスは青1+不特定6マナの現出コストを有しており、唱える際に他のクリーチャーをサクってそのクリーチャーのマナ総量分を不特定マナの方から引くことができます。
例えば、《大食の巨大鮫/Voracious Greatshark》(マナ総量5)をサクれば2マナでキャストすることが可能です。
他のクリーチャー=餌を捕食しながら、水中より強襲を仕掛けてくるというデザインでしょう。

そしてキャスト経由で戦場に出た時に、恐竜以外の全てのクリーチャーをバウンスします。
踏み倒し等で能力が誘発しないのは少々残念ですが、現出と上手いこと組み合わせて相手の盤面を流してしまいましょう。
ちなみに恐竜として扱われているモササウルスですが、海棲爬虫類は本来恐竜ではありません。

■《君臨するもの、インドミナス・レックス/Indominus Rex, Alpha》

出典:『ジュラシック・ワールド』

4作目の舞台となったジュラシック・ワールドは2005年の開園から10年にかけて運営を続けてきたことで、恐竜のマンネリによる集客減少という問題に直面していました。贅沢すぎる
その問題を解決するため、ワールドを運営する暗黒メガコーポその2マスラニ社は新たな計画を進めていました。
それが「複数の恐竜・現生生物の遺伝子を掛け合わせたハイブリッド種の製造」であり、結果として産み落とされた新種がこの「インドミナス・レックス」です。
人間のエゴによって作られたこの恐竜は極めて残虐で凶暴な性格をしており、脱走を恐れた人々により頑丈なパドックに閉じ込められ続けていました。
しかし、ヴェロキラプトル並みの高度な知能に複数の生物から得た擬態能力を使ってついに脱走を果たし、途中遭遇した恐竜達や捕獲しに来た特殊部隊を虐殺しながらワールド内を暴れ回ります。

ティラノサウルスをベースとして10種類以上の生物のDNAが組み込まれているとのこと
そのスペックの高さはもはや生物兵器の域に達しているが…

人工のハイブリッド種という特異な出自故に、他の恐竜達と異なりミュータントのクリーチャータイプを得ています。
カラーはミュータントにあてがわれることが多い緑青に、残虐な性格を表すための黒が加えられている感じでしょうか。
混成マナシンボルが使われているのは様々な遺伝子を混ぜ合わせた存在であることからかと思います。

能力については、戦場に出る際にクリーチャーカードを手札から捨てることができ、捨てたクリーチャーに記載されたキーワード能力と同じキーワードカウンターを乗せることができます。
そして、出た時にカウンター1つにつき1枚ドローができます。
一例として、《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》を捨てれば呪禁カウンターとトランプルカウンターを乗って2枚ドローとなります。
遺伝子の掛け合わせにより様々な特性を獲得したインドミナス・レックスに相応しい能力ですね。
また、出てくる時には既にカウンターが乗っているという挙動により、呪禁や破壊不能持ちを捨ててドローの誘発に除去を当てられないようにするといった芸当も狙えます。
複数のキーワード能力を持つクリーチャーを捨てて、何人にも支配することのできない最強の怪物を作り上げましょう!

飛行警戒トランプル絆魂接死呪禁先制攻撃速攻威迫破壊不能
究極生命体、インドミナス・レックス!

■《急襲するプテラノドン/Swooping Pteranodon》

出典:『ジュラシック・ワールド』

作品中盤、インドミナス・レックスは討伐のためにやってきたヘリコプターから逃れるため、翼竜達を飼育していたドームへと侵入。
その際外壁が破壊されてしまい、中にいた多数の翼竜達がそこから逃げ出していきます。
こうして脱走を果たし、ワールド内の観光客を襲撃する翼竜の姿を描いたのがこのカードとなります。

この時点でまだ観光客の避難は始まっておらず、甚大な被害が出ることに

MTG内に登場する翼竜は基本的に白か赤白であり、このプテラノドンは速攻を持つため赤白となったのでしょう。
能力は赤いカードに度々登場する対戦相手のクリーチャーのコントロール奪取で、相手に返す直前に土地1つからそのクリーチャーに3点ダメージを飛ばすという変わった処理を行います。
これに関しては、相手を掴んで攫っていった後、高所から叩き落とす描写をMTGの能力として落とし込んでいるのでしょう。
これに気づいた時はよく考えられた能力だと思わされました。
本体だけでなく飛行持ちの恐竜が出れば能力が誘発するので、ドクター・フーコラボで収録された《宇宙船内の恐竜/Dinosaurs on a Spaceship》辺りは高いシナジーを発揮してくれるでしょう。
相手のデカブツを奪って突撃させるも良し、小粒のシステムクリーチャーを奪ってダメージで倒すも良しなナイスカードです。

プテラノドン込みで最大5回パクれます

■《ラプトルの調教師、オーウェン・グレイディ/Owen Grady, Raptor Trainer》&《忠実なラプトル、ブルー/Blue, Loyal Raptor》

出典:『ジュラシック・ワールド』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

ついにワールドトリロジーの主人公「オーウェン・グレイディ」(演:クリス・プラット)の登場です。
オーウェンはヴェロキラプトルの調教師としてジュラシック・ワールドに勤務しており、特別に生み出されたヴェロキラプトル4姉妹を育て上げ、彼女達と高度な信頼関係を構築することに成功しました。
フレーバーテキストで語っている通り、彼は姉妹達を支配しているのではなく、対等な存在として彼女達に接しているのです。
イラストはその4姉妹と共にインドミナス・レックス討伐へ向かうシーン、人間とヴェロキラプトルとの共闘が見れるという作中でもトップクラスに胸熱な場面ですね。

そんなヴェロキラプトル4姉妹の長女にしてオーウェンの相棒が「ブルー」です。
灰色の体に青いラインが特徴で、遺伝子操作の結果高い戦闘能力と知能を持った個体として誕生しました。
育ての親であるオーウェンとは固い絆を結んでおり、オーウェンが出す指示を理解してそれに従うという、今までのヴェロキラプトル達とは一線を画す知性を見せつけてきます。
5作目の終盤、オーウェンを助けるために敵に飛びかかったところがイラストとなっています。

姉妹達を静止させているオーウェン
彼ですら姉妹達を完全にコントロールできているわけではないため、隙を見せると襲われるのです

そんな両者の信頼をカード上で表現するため、互いを指名する共闘能力を引っ提げての参戦となっています。
統率者に指定すれば両者を並べることができ、デッキに入れていれば片方が戦場に出た時に相方をサーチしてくることが可能という、とてもエモいシチュエーションが見られます。
オーウェンは人間キャラの中で唯一青が入っていませんが、他の学者・研究者然とした人物達よりもワイルドな自由人であるという性質を意識して赤緑を割り当てられたのかなと思います。
また、元海軍軍人にして動物行動学者としての顔も持ち合わせていることから、兵士と科学者のタイプを有しています。
ブルーは遺伝子操作された個体という背景のためか、ミュータントこそ無いものの緑青というそれらしい色となっています。
彼女は作中最強のヴェロキラプトルであり、スタッツが狩りをするヴェロキラプトルを討ち取れる5/4になっているのも高評価です。

生まれてすぐの時のブルーとオーウェン
このシーンのブルーはかなり萌えます

オーウェンの能力は、タップすることで対象の恐竜1体に威迫、トランプル、到達、速攻のいずれかのカウンターを与えることができます。
育て上げたヴェロキラプトルの姉妹達に指示を与えるという、オーウェンの調教師としての要素を上手く表現した能力ですね。
一方、ブルーは自身より後に恐竜が戦場に出る際、自身が持っているカウンターと同じ物を持った状態で出るようにするという常在型能力を保有しています。
オーウェンからの指示をブルーが受け、長女である彼女が姉妹達を先導するというフレーバーとなっており、素晴らしい完成度だとしか言えません。
ぜひ皆様もこの最高のコンビでEDHデッキを組んでみてください。

■《インジェン社の遺伝子学者、ヘンリー・ウー/Henry Wu, InGen Geneticist》

出典:『ジュラシック・ワールド』

4~5作目の元凶と言うべきマッドサイエンティスト、それが「ヘンリー・ウー博士」(演:B・D・ウォン)です。
実は1作目から登場しており、ヴェロキラプトルが孵化するシーンでグラント博士達と話していた研究員がかつてのウー博士。
1作目ではこの後アメリカ本土へ帰る船に乗ったため出番は終了、そのためほとんどモブのような存在でした。
パークの崩壊後も彼はインジェン社にて遺伝子研究に邁進し、その成果に注目したマスラニ社がインジェン社を買収した結果、ジュラシック・ワールドの主任研究員を務めることとなります。
そこで彼は数々の新種を復活させる研究に取り組み、最終的には究極のハイブリッド種たるインドミナス・レックス製作に至ったのです。
イラストの場所はワールドの研究室に密かに作ったラボで、そこにはインドミナス・レックスを始め様々な恐竜の研究データや遺伝子操作で生み出された生物達が保管されていました。

1作目でのウー博士
この頃は純朴そうな見た目の一研究者でした

新種製作にあたって、ウー博士はオーナーより「大きく恐ろしい恐竜」というオーダーを受けていましたが、インドミナス・レックスが獲得した能力は展示用の存在としては明らかにオーバースペックでした。
この点に関しては4作目終盤でとある目的のためであると明かされますが、同時にウー博士の飽くなき研究欲の産物であることも否定はできないでしょう。
最終的にワールドは重大事故の結果閉鎖となり、ウー博士はその地位も名声も失うこととなりましたが、新たなパトロンを得ながらしぶとく研究を続け、5~6作目でもハイブリッド種を生み出さんと暗躍しています。
そんな研究の行く末が気になる方は、ぜひジュラシック・ワールドトリロジーをご覧になってください。

6作目でのウー博士
着ている服の雰囲気も相まって一気に年寄り感が出ています

カード化されたウー博士は遺伝子研究者をイメージさせる緑青に、ハイブリッド種研究という倫理観を無視した行いを加味して黒を加えたスゥルタイカラーとなっており、奇しくもインドミナス・レックスと同じカラーになっています。
能力に関しては、自身と他の人間に出た時クリーチャー1体をサクることができる「濫用」を持たせます。
そして人間以外のクリーチャーを濫用すると1ドロー、そのクリーチャーのがパワー3以上なら宝物トークンを生成します。
自分が生み出した生物を利用することでさらに研究を推し進め(=ドロー)、優れた成果を上げて富と名声を得る(=宝物トークン)という、ワールドトリロジーにおけるウー博士の所業を上手く反映させていると思います。
少々テクニカルな運用が求められるカードですが、その分上手い活用方法を研究する価値がある1枚ではないでしょうか。

■《究極のハイブリッド恐竜、インドラプトル/Indoraptor, the Perfect Hybrid》

出典:『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

5作目の始まりは死して朽ち果てたインドミナス・レックスの遺骨を捜索をしている場面。
ここで回収された遺骨のDNAを基礎として、ヴェロキラプトルの遺伝子を強く反映させた結果誕生したのがこのインドミナス・ラプトル、通称「インドラプトル」です。
製作を行ったのはもちろんウー博士。
劇中に登場した個体は博士曰く「試作品」であり、その凶暴さ故に檻の中で監禁されていました(研究員達は近づかないようにしており、檻の中の照明が切れているのに放置されている)
しかし、紆余曲折を経て檻から脱走、周囲の人々を虐殺した後にオーウェンとブルーのコンビと死闘を繰り広げます。
イラストはそんな暴走を繰り広げる最中、獲物を追跡して建物の屋上に上ったシーンで、満月と壮大なBGMを背に咆哮する姿は格好良くも恐ろしいです。

インドラプトルによる追跡劇は初代のヴェロキラプトルの行動をオマージュしつつ徹底的にホラーとして描かれており、めちゃくちゃ怖いです

「究極」という壮大な肩書を与えられていますが、本編を見ればそれが決して大袈裟ではないと分かるでしょう。
インドラプトルの知性とパワーはシリーズ中でもトップクラスの水準であり、1作目のヴェロキラプトルがやったドアノブいじりに加えて
●麻酔銃で撃たれて寝た振りをする=麻酔の効能を理解し学習している
●高所から落下しそうになるも、前脚と鉤爪を上手く使って足場に復帰する
等、とんでもないスペックの高さを見せつけてきます。
また、麻酔銃を撃って眠らせたと判断したハンターに対して尻尾を使っておちょくってから襲い掛かったり、獲物を前にしてすぐに攻撃せず反応を観察しているような素振りを見せる等、残虐性もインドミナス・レックスと同等以上となっています。
カラーはそのような残忍さを表した黒赤にハイブリッド種=ミュータント要素の緑を追加したジャンドというところですかね。

能力は3つと多めで、
①威迫
②ターン中に対戦相手が失ったライフ分+1/+1カウンターが乗って出てくる「狂喜」
③ダメージを受けると誘発する「激昂」で、ランダムな対戦相手にトークンでないクリーチャー1体のサクりかインドラプトルのパワー分のダメージかを選ばせる
という構成になっています。
相手を痛め付けることで狂喜の効果が大きくなり、より力を得た状態で姿を表すというのはインドラプトルの残虐な性質を上手くイメージした能力設定と言えるでしょう。
激昂能力に関しても、小粒のトークンを並べて回避という動きを許すことなく、かと言ってダメージを選べば再キャストからのさらなるサイズアップという可能性が出てくるため、受ける側から見ればかなり厄介な能力になると感じます。
《黒死病/Pestilence》や《紅蓮炎血/Pyrohemia》等のダメージ源となるカードを上手く組み合わせて、激昂を何度も使って盤面やライフを攻めて相手に恐怖を味合わせてやりましょう!

■《残忍なギガノトサウルス/Grim Giganotosaurus》

出典:『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』

シリーズの集大成となる6作目のヴィラン恐竜として抜擢されたのが、長らく登場を期待されていたギガノトサウルスです。
各種ゲーム作品では超巨大な肉食恐竜として人気を博しており、本作でもティラノサウルスを超える頂点捕食者としてその存在感を示しています。
カード化されたのは物語終盤、恐竜達の保護施設バイオシン・サンクチュアリでのティラノサウルスとの決戦のシーン。
両者の手に汗握る激しい戦いは6作目の名シーンの一つでしょう。
そして巻き込まれながらもバッチリアシストを決めるテリジノサウルス。

最大の恐竜として描かれているだけのことはあり、マナ総量はコラボカード内ではモササウルスに次いで2番目に大きく、スタッツは10/10と文句無しに最強。
色はデカブツ特有の緑と、残忍という名前に合わせた黒の2色の組み合わせになっています
残忍と名付けられてはいますが、実は作中では人間を1人も捕食していません。

能力は黒緑12マナで怪物化10(怪物的でない場合に使える起動能力で、+1/+1カウンターを10個置いて怪物的となる)というど派手なものとなっています。
ただし、対戦相手の場のパワー4以上のクリーチャー1体につき起動コストを1マナ減らしてくれます。
そして、怪物的になると自身以外のクリーチャーとアーティファクトを全て破壊する全体除去を放ちます。
起動まで漕ぎ着ければ更地に20/20が立っている状態となるため、圧倒的なサイズでもってそのまま殴り勝つことも夢じゃないかもしれません。
総合してロマン寄りなカードかとは思いますが、ファッティで盤面を制圧したいティミーな方にオススメな1枚です。

■《生命は必ず道を見つける/Life Finds a Way》

出典:『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』

新規カードのトリを飾るのは、ジュラシック・ワールドシリーズを貫くテーマそのもの!
カード名とフレーバーテキストは1作目、ウー博士が登場したヴェロキラプトルの孵化の場面にて、「パークで生まれた恐竜は全て雌であり、個体数は完璧に管理されている」というウー博士の主張に対してマルコム博士が反論した時の台詞から。
このやりとりを聞いていたグラント博士は後にパーク内で恐竜の卵を発見し、恐竜達の一部が両生類の遺伝子の力をもって自力で性転換して繁殖に至ったと推測しています。

ハモンドの孫達に推論を語るグラント博士
嬉しそうな笑みを浮かべながら「生命は道を探し出す」(Life found a way)と述べています

一方イラストは6作目のラストシーン、アフリカゾウと並んでサバンナを移動するシノケラトプスを描いています。
シリーズ内での様々な危機を乗り越えた果てに、野に放たれた恐竜達は人類や原生動物との共存という道へと辿り着きました。
イラストのシーンは人間達の支配を打ち破った恐竜達が進んでいく新たな道の象徴と言えるでしょう。

カードとしては、パワー4以上のトークンでないクリーチャーが出た時に、自分の場のトークン1体のコピーを出す「居住」を行うというエンチャントとなります。
種の生存の道を見出した劇中の恐竜達のごとく、親となる恐竜が出ることで次の世代がトークンという形によって生じていきます。恐竜でなくても反応はしますが…
居住というキーワードも、現代の地球に自分達の居場所を見つけることができた彼らを表現しているようで、この名言に相応しいカードに仕上がっていると思います。

■土地カード

今回ジュラシック・ワールドコラボで登場する各土地はリバーシブル仕様となっており、同じ場所ながらも時間の経過によって全く異なる風景になっている様を描いています。

●《平地/Plains》

出典:『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』

左側は1作目序盤、グラント博士らビジターが初めて恐竜と遭遇したシーンから。
ハモンドの「ようこそ、我がジュラシック・パークへ」の台詞の後、テーマ曲が最高の盛り上がりとなったタイミングで映し出されるこの風景は、まさに恐竜達の楽園と呼ぶに相応しいものです。

右側は4作目より、オーウェンとヒロインの「クレア・ディアリング」(演:ブライス・ダラス・ハワード)がインドミナス・レックスを追跡する最中の一幕。
ワールド内を放浪するインドミナス・レックスは自身の力を試さんとして、遭遇した恐竜達を捕食することなくただひたすら虐殺していきます。
その結果がこの大量に作られたアパトサウルスの死体です。
ワールドの管理者であるクレアはここまで恐竜を商業的な道具としてしか認識していませんでしたが、この時に死にゆくアパトサウルスを看取ったことでその考えを大きく改めることとなりました。

●《島/Island》

出典:『ジュラシック・ワールド』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

島は2枚ともモササウルスを描いた物となっています。
左側は本人(本竜?)のカードイラストの場面の直後で、餌として与えられたサメがバラバラになって漂っています。
モササウルスのイラスト上部に少し映っていた観客席は上下移動する仕組みとなっており、この島のイラストのようにガラス越しに水中のモササウルスの様子も楽しめるアトラクションとなっています。

右側は5作目冒頭、ウー博士の研究のためにインドミナス・レックスの遺骨を回収しに来た傭兵の潜水艇を、モササウルスが背後から狙っているところです。
この後遺骨はバルーンによって無事回収されましたが、傭兵達がどうなったかは…お察しください。

●《沼/Swamp》

出典:『ジュラシック・パークIII』

沼はどちらも3作目から。
左側は島からの脱出を図るグラント博士の一行が、船を使って川下りをしている場面。
しかし、船の背後には恐ろしい追跡者の姿が…

右側は一行を追跡していたスピノサウルスとの対決シーン。
スピノサウルスの攻撃により船は破壊されて絶体絶命に陥りますが、沈みゆく船から脱出したグラント博士が信号弾を放ちます。
イラストは船から漏れ出た燃料に信号弾が引火し、炎が激しく燃え上がっているところ。
この対決の結末はぜひ皆様の目でお確かめください。

●《山/Mountain》

出典:『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

左側は1作目より、グラント博士達が遭遇した爆走するガリミムスの群れです。
グラント博士達はこの群れに巻き込まれてイラスト手前の倒木の陰まで逃走し、その直後に姿を表したティラノサウルスが1頭を捕食してしまいました。

子供達がグロい食事シーンにビビる一方、ウキウキで自説を語るグラント博士がちょっと面白い

右側は5作目、作中での問題となっていた島の火山の噴火が始まった辺り。
火砕流や噴石が島の恐竜達に襲いかかる中、レクシィが姿を見せて倒木…ではなく実際にはカルノタウルスを踏みつけながらお決まりの咆哮を見せています。
ポスターにも採用されている印象強いシーンですね。
イラスト左に転がっているのは、ワールドで使われていた乗り物「ジャイロスフィア」です。
全面ガラス張りの球体で、客を乗せて恐竜達の生息地を自走するというアトラクションとして活用されていました。
劇中の説明では「50口径の弾丸に耐えられる」と紹介されていましたが、アンキロサウルスの尻尾やインドミナス・レックスの爪で容易く破損しており、かなり強度に疑問が残る代物です。

●《森/Forest》

出典:『ジュラシック・パーク』

森も1作目から2枚出ています。
左側はまだ機能していた頃のヴェロキラプトルの檻。
グレーの作業着にオレンジのヘルメットをつけた作業員達が平和そうに仕事をしています。

作業員達の最大の見せ場と言えば、冒頭のヴェロキラプトル移送の場面
正直今見返すとめちゃくちゃ現場猫案件っぽいですねここ…

右側はフェンスの電流が切れたタイミングを見計らい、ヴェロキラプトル達が脱走していくシーン。
イラストは月明かりの出ている夜になっていますが、劇中では日中の出来事だったと思います。
イラストとしての見栄え優先といった感じでしょうか?

●《統率の塔/Command Tower》

出典:『ジュラシック・ワールド』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

最後はEDH御用達の土地。
左側は4作目、ジュラシック・ワールドの目玉施設「イノベーション・センター」を描いています。
施設内では恐竜達のホログラム展示やハモンドの銅像等が見られる他、恐竜達を生み出しているラボも所在しています。

化石展示がメインだったパークのビジターセンターと比べると非常に近未来的

右側は5作目で荒廃した状態で出てきたセンターです。
前作での事件以降完全に打ち捨てられており、外壁は剥がれ植物は育ち放題、施設周辺を恐竜が闊歩するという状態に陥っています。
フレーバーテキストはハイブリッド恐竜を巡るクレアとオーウェンの主張となっています。
集客のためのハイブリッド恐竜によってもたらされた結果をイラストで目の当たりにすると、何とも皮肉なものだと思わざるを得ないですね。

■トークン

コラボ内でのトークンカードはようこそ……から出る《恐竜/Dinosaur》と、インジェン社の遺伝子学者、ヘンリー・ウーから出る《宝物/Treasure》の2種類です。

●《恐竜/Dinosaur》

出典:『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』

イラストは森の中を移動するステゴサウルスの群れ、そしてそれを撮影する「サラ・ハーディング」(演:ジュリアン・ムーア)の様子です。
サラは2作目のヒロインにして古生物学者であり、フレーバーテキストが示すように、ハモンドからの生態調査の依頼で島へやってきました。
彼女はマルコム博士の元恋人でもあり、彼女を追ってマルコム博士も島にやってくるという流れとなっています。
ちなみに彼女、作中におけるかなりのトラブルメーカーで、この場面でもステゴサウルスの子供に不用意に近づいてシャッターを切ったことで親を怒らせてしまいました。
もちろんこの後も色々やらかしてくれるのですが、その辺りは本編を見てご確認ください。

●《宝物/Treasure》

出典:『ジュラシック・パーク』

イラストに描かれているのは、シェービングクリームの缶に偽装された特殊な装置です。
装置は缶の底を回すと現れ、イラストのように恐竜の胚が入った容器を差し込めるようになっています(実際のこの場面では容器はまだ入っていませんが)
装置はインジェン社のライバル企業である暗黒メガコーポその3バイオシン社の「ルイス・ドジスン」(演:キャメロン・ソア/キャンベル・スコット)がネドリーに手渡した物です。
ドジスンはネドリーを企業スパイとして総額150万ドルもの大金で買収しており、この装置でもって恐竜の胚を持ち出して恐竜製造の技術を盗もうと画策していました。
その目論見はネドリーが島から脱出できなかったためご破産となってしまいましたが…

このドジスンと缶ですが、後の作品でまさかの再登場を果たしています。
ドジスンに関しては演者が諸事情により交代してしまっていますが、缶の方は出てきた時何だかんだ感慨深い気分になりましたね。

Netflixで公開中のCGアニメ『ジュラシック・ワールド/サバイバル・キャンプ』では、ネドリーの手を離れた缶がどのようにして回収されたかが描かれています

また、偽装用のシェービングクリームは「バーバソル」という実在するブランドの物です。この装置のお陰でバーバソルは相当有名なブランドとなり、何度か映画とのタイアップ等を実施している模様です。
商標の都合か、カードイラストの方ではロゴは隠されていますが…

劇中ではバッチリ映っています
シェービングクリームの販売員みたいになってるドジスン

◆おわりに

今回のジュラシック・ワールドコラボに関しては、若干の不満点こそありますが、個人的には概ね大満足な内容でした。
色の割り振りや能力が原作での描写を上手く反映していると感じさせられるカードが多く、記事を書きながら各カードの再現度の高さに改めて感動させられました。
いずれのカードも面白そうで興味深いですし、土地のリバーシブル仕様も気になるポイントです。
皆様もイクサラン:失われし洞窟が発売されたらぜひ恐竜達の暴れっぷりを堪能しましょう!

取り敢えず私はインドラプトル君でEDHデッキを組む予定です

また、はじめにで触れた通り、本コラボはSecret Lair2種でのカード追加が予告されており、現時点で1枚だけ公開されています。

《巣を守る者、アトラ・パラーニ/Atla Palani, Nest Tender》の別名カード版マルコム博士

こちらも収録カードが公開されればまた記事を書きたいと思いますので、もし良ければそちらもお付き合いいただけますと幸いです。
それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。


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