あまんきみこさんの世界に浸って。
あまんきみこさんの「車のいろは空のいろ 白いぼうし」には
8つの作品が書かれてある。
戦争を体験したあまんさん。
彼女の作品には戦争の記憶も書かれているが、
私が子供だった頃の昭和の日本を映し出したような作品が多かった。
西本鶏介さんの解説どおり、日本人の心に染み渡る童話集。
動物たちを身近に感じて生きてきた日本人の心がこの本の中に入っている。
8つの作品のうち、4つは動物の話、
1つは魚、そして蝶々の話も登場する。
これらの話は自然と共にあろうとするあまんさんの心が映し出されているが
それはどれも、日本人なら誰もが賛同するような日本人の心の故郷だ。
人間だけが地上に生きているのではない。魚も昆虫も動物も仲間だとする考え方。
自然を受け入れるという感性が日本人には昔からあるのだ。
震災、津波で家族を亡くした日本人だが、自然には勝てないことを知っている。
自然は恐ろしい非情な側面を持つ一方で、大変美しく人の目に映るのも事実。
日本人は四季折々の自然を見て感動し、共にありたいと思ったのだろう。
あまんさんも、そのひとり。タクシーを運転する松井さんの舞台は
とても美しい自然がいっぱいで、それも日本人になじみのある風景ばかり。
自然と共にあろうとする日本人の姿勢をこの童話集に描いておられる。
そして生き物以外では戦争で子供を亡くした母親の話に
シャボン玉で遊ぶ小さな女の子との不思議な体験も載ってあり。
この本はあまんさんの想像力の豊かさが詰まっている。
そう感じる私なのだった。
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