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【本との会話】神さまの貨物

ひさびさ読書記録。

「神さまの貨物」
貧しいおかみさんと貨物の神さまから授けられた赤ちゃんのお話。

フランス人の作家の物語を翻訳したもの。ジャンルは一般書だけれど、私は子どもの寝る前の日課で朗読した。

大きな暗い森に貧しい木こりの夫婦が住んでいた。きょうの食べ物にも困るような暮らしだったが、おかみさんは「子どもを授けてください」と祈り続ける。そんなある日、森を走りぬける貨物列車の小窓があき、雪のうえに赤ちゃんが投げられた――。明日の見えない世界で、託された命を守ろうとする大人たち。こんなとき、どうする? この子を守るには、どうする? それぞれが下す人生の決断は読む者の心を激しく揺さぶらずにおかない。モリエール賞作家が書いたこの物語は、人間への信頼を呼び覚ます「小さな本」として、フランスから世界へ広まり、温かな灯をともし続けている。
ポプラ社公式HPの書籍内容紹介ページ(上記リンク)先より引用

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舞台は第二次世界大戦の頃のヨーロッパの話。貧しいおかみさんの生活はさながら中世の世界のように文明の気配を感じさせない。おかみさんは色んな神さまを信じている。空にも太陽にも風にも祈りを捧げている。

この点がキリスト教のヨーロッパというイメージを覆している。まだこの時代でも自然豊かな片田舎ではこういった自然崇拝の世界だったのだろうか。これは日本人が読むとあやうく違和感なく受け入れてしまいそうだから忘れないようにメモ。

あまり詳しく書いてしまうとネタバレになってしまうので、内容的にはこの辺で。

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実はこの本、私がnoteで参加しているポプラ社のサークルで発売を知った。

サークルでは書籍の紹介や感想を言い合ったりするスレッドがある。「神さまの貨物」はサークル参加者限定のZoomで編集者の方の制作秘話を聞けて、その場でコメントできたりと交流させてもらった。

そこで教えてもらったのが、この物語の翻訳者は「星の王子様」の翻訳を手掛けた河野万里子さんと知り、一気に親しみが湧いた。

こちらの新潮社のもの。うちにもたまたまあって感激。

(色んな翻訳・出版社で出ているので念のため)

この読書会は新しい読書体験でとても楽しかった。

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そして、この物語は子どもの読み聞かせもできるけれど、決して幼稚ではなく、決して忘れてはならない悲惨な事、そんな世界でも優しい・愛しい瞬間は必ずあることを同時に感じさせてくれる内容と思った。成長とともに感じることが変わっていくような普遍性を持っていて、編集者の方がこの本のサイズにこだわった理由が少しわかった気がする。

「すっと鞄の中やポケットに入るサイズ感」ならどこにでも持っていけるもんな。と思うのだった。

一緒に成長できる。そんな本だった。出会えてよかったと思った。noteのサークルをやっていなかったらもしかしたら、一生出会えなかったかもしれないと考えると、こういう機会があったことも良かったと思えた出来事だ。

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さて、これを書いている今日は晦日。きっと明日もnoteは書くと思うけれどお先に、良いお年をお迎えください。

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