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ロックとソウルの歴史④「メイベリン」

 「ロック・アラウンド・ザ・クロック」が大ヒットした1955年には黒人のリズム&ブルースの中でもロックンロールと呼ばれるヒットが出てきます。シカゴのチェス・レコードから出たチャック・ベリーのデビュー曲「メイベリン」はリズム&ブルース・チャートで11週連続1位の大ヒット、ポピュラー・チャートでも5位のヒットになります。チャック・ベリーはブルースをカバーしたエルヴィスとは逆にカントリーをカバーしました。「メイベリン」はカントリーのボブ・ウィルスの「アイダ・レッド」を改作したと言われています。全く別の曲になっているのですが。

 チェス・レコードのレーベル、チェッカーからはボ・ディドリーもヒットします。1955年のデビュー・シングル「ボ・ディドリー」がリズム&ブルース・チャート1位になります。ポピュラー・チャートにはランクインしなかったのですが、エド・サリバン・ショーにリズム&ブルースのアーティストとしては初めて出演しました。

 ロサンゼルスのスペシャルティ・レコードから1955年に出たリトル・リチャードの「トゥルッティ・フルッティ」はリズム&ブルース・チャート2位のヒット、翌年には「ロング・トール・サリー」がポピュラー・チャート6位のヒットになっています。

 同じくロサンゼルスのインペリアル・レコードから1955年に出たファッツ・ドミノの「エイント・ザット・ア・シェイム」はリズム&ブルース・チャート11週連続1位になり、ポピュラー・チャートでも10位に入るヒットになります。パット・ブーンはこの曲をすぐにカバーして全米2位、1955年の年間9位になる大ヒットです。ロックンロールを嫌う大人からはこちらの軽いバージョンのほうが受け入れられたようですが、若者にはファッツ・ドミノのほうに夢中になりました。

 ファッツ・ドミノはエルヴィスとは逆に白人カントリー・シンガーのように歌える黒人でした。全米1位はないものの70年代までにミリオンセラーを23曲も出しています。これはエルビスやビートルズに次ぐ記録です。

 リズム&ブルースはRCAビクターやコロンビア、デッカなどのメジャー会社のレコードより、シカゴのチェス、メンフィスのサン、ロサンゼルスのインペリアル、スペシャルティ、ニューヨークのアトランティックなどインディーズのレコード会社によって発展していきます。


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