見出し画像

型月世界魔術師設定:スラヴの獣性魔術を扱う黒魔術師


スラヴ魔術の獣性魔術、黒魔術を使う魔術師
様々な効果の呪いを使い分け操る呪詛師
魔女の叡智を授かりし者
日本の地方都市の霊脈の管理者セカンドオーナーの一族


《術者のステータス》


魔術回路・質: B+→EX(獣性魔術)
魔術回路・量: B+→EX(獣性魔術)
魔術回路・編成: 正常(変調あり)
魔術属性:【空】 
魔術特性:【浸食】
魔術系統:【スラヴ式の黒魔術ウィッチクラフト

類感呪術と感染呪術を巧みに操る。空属性を用いた魔術干渉は一流、相手の呪詛返しを無視した呪いや相手の防衛魔術を無視したエーテルの幻体による攻撃など、空属性との相性のいい魔術を得意としている。血液で干渉した呪いが相手の魔術回路を汚染し対象の魔術を無効化する黒魔術を使う。生まれ持った珍しい空属性とそれを活かした黒魔術と独自の獣性魔術を扱う。
短期間ではあるが、術者は既に家の魔術基盤の太祖である大魔女バーバ・ヤガーに邂逅して内弟子として師事している。

呪いを含めた黒魔術が他の魔術よりも安定している理由:”黒魔術の特性として、古来より伝わっている術式で魔術師以外の多くの人が黒魔術や呪いを神秘として認知しているが、その原理を知らないことからと黒魔術の魔術基盤はより強固なものとなっている。人狼と呼ばれる獣性魔術が強力なのも一般に神秘として浸透しているからである。
知られていない未知の魔術よりも、誰でも知っているがその方法や過程が知られていなければ、その魔術は他の魔術よりより強力な効果を発揮する。これは魔術世界の基本的な原則によるものである。”


【魔術系統】

魔術系統はスラヴの黒魔術ウィッチクラフト。これの元を辿ればスラヴの大魔女バーバ・ヤガーに起因し、キリスト正教から背教者と呼ばれていたスラヴの魔術師達は、東へと更に森へと隠れ潜みガイアの化身たる本物の魔女バーバ・ヤガーの内弟子になり師事をしていたことから、基本的な術式には血液を使った魔術を使用する。
血液を介して相手や魔術への干渉ハッキングをする。干渉により呪詛は身体や魔術回路、魔術自体の構造に入り込みウイルス増殖するかのように術者の呪詛の色に塗り替える。呪詛は対象の基盤となるものに浸透していき、その機能を混乱・停止させるバグを引き起こす。呪詛を受けた者は、その呪いや傷が軽くても、魔術回路を起動させると神経と肉体に痛みを引き起こし、魔術回路の魔力の流れが不安定デバフになる。これは魔術回路に本来備わっている防衛機能が過剰に働くことで起きる現象であり、呪いの効力によっては相手の魔術を完全に封じることができる。そして戦闘においては、魔術回路を起動しなければ、呪いによる肉体への毒や腐食のような効果が発生するため、不安定な魔術か、弱体化した肉体での戦闘の2択を迫ることができる。

術者の扱う呪いは、端的に言えば、魔術的なハッキングである。身体や魔術回路へのデバフ。干渉し解析をするのではなく、血液を媒介に呪詛というウイルスを送り込み直接的に魔術の術式や魔術回路をバグらせる。

スラヴ黒魔術の魔術系統の大元のバーバ・ヤガーは人間種とは違う精霊の魔女であり神代やそれよりも前から存在する不死なるガイアの化身。現在でもスラヴ圏域を彷徨っている。この家の出身の魔術師はバーバ・ヤガーを探し出し、弟子となり師事することで強大な魔術を伝授してもらうという伝統もあるが、人間とは全く違う種で人食いとも伝えられているこの魔女は気まぐれであり、友好的に何らかの叡智を授かり生存して帰還できるだけで、魔術師としての根源へ近づけるとこの家では伝えられている為、この家はスラヴ圏域の魔術師との繋がりを保ち続け、この大魔女の捜索を続けている。とはいえ、術者の家の直系の者が邂逅したところで不老不死であるバーバー・ヤガーにとって1000年前の内弟子の子孫は孫のようなものであり、師事している間はまさに孫に甘い祖母という関係性になるだろう。”魔術師は身内と弟子に甘い”と言うが、人間種ですらないバーバー・ヤガーも魔術師である為、その例に漏れず、といったところである。しかし、それ以外の魔術師相手には態度は豹変し民話で語られる通りの冷酷な人食い魔女になるのは伝承通りでもある。

『術者の家系の詳細』

生家の本家は元々室町時代以前より古く、戦国時代には戦国武将を排出までしている郷士豪農の家系で、作物を荒らす害獣を狩る狼や豊作を司る狐である稲荷を信仰しており、当時は『管憑き』『狐憑き』と言われた獣性魔術を扱った家系であった。そも『狐憑き』は限られた場所、神社などの霊地において霊薬を飲むことでトランス状態になり身体に獣の力を宿らせるというもので、魔術的には霊薬と霊地による魔力の活性化による獣の力を使用するというスラヴ獣性魔術と非常に似ているものであった。その家柄ゆえに祭りなどで狐憑きを行う立場の一族であった。莫大な土地と小作人を持っていた為、本家の人間は働く必要すらなく、魔術に関する日本の古い書物や中国の仙術書などを読み漁っていた。そして室町時代~安土桃山時代にかけて南蛮から流れてきた魔術書と貿易商人とともにやってきた魔術師から黒魔術を会得し、それを基として黒魔術と獣性魔術がこの家の魔術基盤となった。そこで魔術回路の継承の必要性や継承法を覚え、江戸時代400年に渡り、独自に魔術としての呪いの研究と研鑽を重ねていった。その後時代は下り明治時代になり、ロシア革命により日本に亡命してきた白系ロシア人の魔術師と混ざることとなる。スラヴの魔術師がもたらした魔術は非常に生家の魔術基盤と似通っており、大きな障害が起こることもなくスラヴの術式の伝授と魔術刻印の継承が行われた。この時期に術者の家系は魔術協会と連絡を取り、次期当主を時計塔に西洋魔術を学びにいかせるなど、時計塔との交流が始まった。
古来は狐憑きのような獣性魔術だけを扱っていたが、室町次代からは南蛮からもたらされた黒魔術を受け継いでいき、ロシア革命時には白系ロシア人の魔術師が亡命し家が交わることで、スラヴに伝わる獣性魔術を含む黒魔術を組み合わせて継承し扱うようになった。
現在は日本のとある地方のにおいて黒魔術と獣性魔術を扱う魔術の名家として魔術協会とも繋がりを持つに至っている。日本のとある地方の霊脈の管理者セカンドオーナー
日本での魔術師としては古い家系であり、黒魔術という”魔女”の魔術を使うが魔女の血は混じっていない。ガイアの化身たるスラヴの魔女の叡智を授かりし者たち。

その地方の古くからの郷士豪農であり、更に、元々の魔術系統が獣性魔術でそれが霊地霊脈に依存するために、良質な霊地を所有している。そのため時計塔には属していないがフリーの魔術師の大家として時計塔との交流を保っている。

しかし、術者の祖父の代で生家は本家と分家と別れた。当時の当主である曽祖父は祖父を後継として育てたものの、突如、別の黒魔術の名家の魔術師を跡継ぎとしていた長男を無視して妹の婿養子として家に迎え入れ跡継ぎと決めた。ただしその婿養子は霊地と魔術刻印を奪い取ろうと画策した時計塔の貴族主義派閥からの刺客であった。そしてこの件に関しては曽祖父が同志と思っていた相手に裏切られ魔術的な洗脳と監禁の奸計にあった為に起きた簒奪事件だった。奸計からなんとか生存した曽祖父は家に伝わる魔術刻印だけは奪わせまいと、即座に自分の持っている残りの魔術刻印を術者の祖父に全て移植させ霊地を持たぬ分家として自分の長男を魔術師として完全な後継者に指名した。しかし、それをきっかけに簒奪した霊地を持つ本家と魔術刻印を持つ分家として祖父の代から対立が勃発し、術者が戦闘に特化した獣性魔術など扱うのもこういった内部対立における最前線の戦闘員としての役割があるためである。

術者の目的は霊地を本家から取り戻し、本家自体を潰し、正当な霊地の管理者セカンドオーナーになること。本家は要塞よりも強固な魔術工房であり簒奪者に従う魔術師や霊地から得る潤沢な資金から雇った魔術使いで人員も、術者陣営に勝っている。
術者側の分家は取り戻した霊地の賃貸しなどを条件に、中立主義派や民主主義派から戦闘用ホムンクルスや物資などのバックアップを受けて本家を潰そうとしている。その為、術者は15歳から渡英しその後時計塔で学んでいた。時計塔で学んでいた時は中立主義の呪詛科ジグマリエに籍を置いていた。ただし、魔術基盤としての魔女の霊薬を扱うために貴族主義派ではあるが植物科 ユミナの聴講生でもあった。



《戦闘で使用する魔術》


【スラヴ獣性魔術】

周囲のマナを集めて魔力の毛皮を纏うスラヴ式獣性魔術。マナが凝縮され魔力濃度が高まる為見た目も人狼に見えるほど。その爪はあらゆる魔術を引き裂くほどに鋭く、その脚は一般人の眼では追えない速度で疾走する。

地面に呪いの照応による術者と疑似的に一体化した短剣を突き刺すことで、短剣を魔力の避雷針として地面の霊脈や周囲のマナを術者の周りに集めて凝集し、エーテルによる毛皮や爪や牙の幻体を纏い人狼を模した獣性魔術を使う。マナを凝縮させた幻体は新エーテルに近しい程の魔力濃度となり、本物の幻想種である人狼に匹敵する。その爪や牙の攻撃は事前に防御魔術を展開していてもそれを切り裂く程に強力である。ただ弱点である距離の問題もあるため、使用するには霊脈の近くでなければならないという制約がある。霊脈に突き刺した短剣から離れるにつれて獣性魔術の効力は減衰していく。一度に使用可能な距離としての目安は300m程である。

一般的なスラヴ獣性魔術の場合は短剣を刺した瞬間にマナを凝縮して集めるだけで獣性魔術としては十数秒ほどしか使えず、集まった魔力はすぐに霧散し、常時マナを霊脈や大気から集積することは不可能である。

類感呪詛を利用した疑似魔術回路の呪術
日本の霊脈を介した獣性魔術とスラヴの黒魔術を組み合わせの家伝独自の魔術。
術者の独自の呪詛で術者と結びついた短剣が疑似魔術回路となる術式。故に魔術回路量EX。
ただのスラヴ獣性魔術と違い、無尽蔵に供給される魔力から生成されるエーテルの幻体は通常の獣性魔術よりも強力な毛皮となり強大な爪となる。この獣性魔術を使うと何層ものエーテルを幻体として身に纏う為に見た目すら人狼に見える程。並外れた攻撃力と防御力を兼ね備えている。術者の場合はこの疑似魔術回路に己の呪詛が混じっている為にエーテルの幻体は青ではなくそれに呪いの血の赤が混ざった紫色を放っている。

獣性干渉呪詛咆哮
空属性である術者が扱える獣性魔術を用いた黒魔術の干渉呪詛咆哮。それは空属性と相まった魔力の周波を使った干渉呪詛。魔術に耐性のない一般人では咆哮を浴びただけで脳が破裂するほどの威力。相手の魔力術式や魔術回路自体に干渉するため、一般的な魔術師程度であれば咆哮を聴かせるだけで戦闘不能になる。一流の魔術師の魔術回路に備わっている優秀な防衛機能がない限り、魔術回路や神経など身体を呪いに汚染され重症を負うことになる。後述する血液を媒介する黒魔獣と違って、エーテルと空属性による魔力の周波干渉であるため血液などの生贄を代償としない黒魔術の呪詛。咆哮が届く範囲であれば術者は呪詛を送り込む対象をある程度絞ることができる。
ただしそれ相応の集中力を必要とする為、連続使用や戦闘中に使うことが困難な魔術。

獣性魔術の弱点
獣性魔術を使う場合、一番の弱点として避雷針代わりの短剣を抜かれたり壊されたりすると纏っていたマナが霧散していく。その対策として短剣には隠蔽魔術や幻術、結界などを使い、術者以外には見えないように秘匿するのが基本。
短剣を刺し、魔術を発動される前に襲われることが急所になるため、短剣を即座に刺し隠す技や、使い魔を大量に使役することで、先手をうたれないことを徹底しなければならない。
この魔術は地面に刺した短剣を起点としている為、距離が離れれば離れるほど効果が減衰していき300m程離れると使用することができくなる。
更に霊脈から離れた位置でこの魔術を使用した場合も100%の効力を発揮することは難しい。
そして短剣の術式起動にかなりの魔力を必要とされるため、事前に戦闘などで体力や魔力を消費していた場合、短剣を起動させることができず、獣性魔術自体が使えないという弱点もある。


【吸血の魔瓶(魔術礼装)】

神代の新エーテルの結晶体。対象から流れ出た血液を即座に瓶の中に吸い込む。術者の血液を入れておくことで短剣や釘の樋に血液を付与する。

魔術基盤の太祖、大魔女バーバ・ヤガーから術者が賜った小瓶。
一時ではあるが内弟子として師事した術者の魔術を見定めた大魔女が与えし神代の魔術礼装。一見ただの洒落たガラスの小瓶に見えるが、これは神代の真エーテルの結晶体。200ml入る量で5つ存在する。
有効範囲は50mほどだが瞬時に対象の血液を集める吸血の魔瓶。傷を負っていたり、傷を負わせたり、本来の身体から流れた血液のみが対象である。真空のような完全に密閉された場所でない限り小瓶に宿った神代の魔術によって、いかなる強固な魔術工房のような場所からでも流れ出た血液を吸収することができる。
小瓶に入った血液は一工程シングルアクションの詠唱で、瞬時にそして自在に取り出し扱うことが可能。これを利用して事前に自分の血液を小瓶に入れて持ち歩き、短剣や釘の樋にその血を流すことで、術者の魔術の核として用いる。
小瓶自体には意思といったモノなく、吸血衝動もなく、更にこの小瓶自体には対象を傷つける魔術は宿っておらず、ただ流れ出た血液を瓶の中へと即座に吸収し自由に取り出せる魔術がかかっているだけであって、聖堂教会による吸血種認定はされていない。対象が一瞬で治癒魔術を用いて傷を治しても、一度体外へでて凝固した血液も吸収することができる。更に服に染み付いた血液や、鎧にこびりついた血液も例外ではない。この小瓶同様の神代の魔術や魔術礼装のみが小瓶による血液の吸収を拒むことができる。


【刺突型の呪具短剣】

術者と短剣を照応させることで永久の呪いと呪詛返しが起こり、その呪いの質量によって術者の周囲にマナを凝縮させる獣性魔術に必要な短剣。

主武装となる短剣の礼装。
杭のような刺突型短剣。ミゼリコルドやスティレットと言われている短剣に形状は似ている。血液や爪、髪の毛、精液など、ホムンクルス製造に近い材料に時代の古い剣などの金属を溶かして混ぜて再鋳造する。短剣の成分や本質が術者本人により近いものであるほど魔術の効果は強まる。
刀身の内側に樋が入っておりそこに、【吸血の魔瓶】を使い使用時に術者の血液を染み込ませる。そして自分と短剣を同化させる照応の呪術を使うことで、つまるところ、己自身の血液を触媒とし短剣と術者自身を繋げるを可能にしている。そして術者と同一化した短剣を地面に刺すことで、
『特別な呪詛で術者と結びついた短剣が擬似的な魔術回路となり、避雷針のような役割を持ち、短剣ではなく照応によって短剣と同一化した術者へ霊脈や大気中のマナを集めて凝縮し術者に魔力を供給する』ことを可能としている。本質的な部分では黒魔術による人形の同化と同じ術式である。
更に自分自身を呪っても、呪詛自体は術者の起源と血液を用いた家伝の独自の呪いであるため、術者本人にはその呪いによる悪影響はない。(通常の呪詛であれば自分を呪っても効果はある。)
”呪い→←呪詛返し”という行為が無限に発生する為、そこに発生する鏡合わせのような呪詛と呪詛返しの魔力的質量によって、この短剣の霊脈や大気のマナを集めるといった術式を自律的に常時維持させ、魔術を解くか短剣を抜かない限り霊脈や大気のマナを”照応によって同一化した術者の身体”へと集める自動魔力集積装置として機能する。

ただし起動にかかなりの魔力を消費するため、獣性魔術を使用する前に体力や魔力を極端に消費していた場合などは、霊脈に差した短剣の起動をすることは不可能である。


短剣自体が強力な呪物であり、魔術礼装の武器としても使用できる。直接的な攻撃は、血液を介して黒魔術の呪いの釘のように相手を絶命、または再起不能になるほどの呪いを相手の魔術回路や神経に与える。
霊脈に接続できない場所など獣性魔術が使えない場合は短剣や釘を用いて戦う。呪詛による干渉が成功すれば短剣が傷つけた部位から呪いが浸透していき魔術回路に不調を与える。たとえかすり傷でさえ何度も傷を与えたり時間をかけることで相手の魔術が発動できない状態になり、その刹那に接近して心臓に短剣を突き刺すことで相手を確実に絶命させる。



【呪いの釘撃ち】

魔弾や強力なガンドのような使い方で術者は釘を指から放つ。銃における火薬のように魔力を釘の後部で圧縮し放つことで釘を飛ばす。

主に使用する攻撃魔術の一つ。獣性魔術を使えない場合や、獣性魔術を使わない場合に使用する魔術。物理と魔術による遠隔攻撃。
魔術によって釘が発射される釘打機のような魔術。
ガンド撃ちのようにただ指先から魔弾を発射するのではなく、魔力を推進剤として、呪詛のかかった小さな釘を連続で射出する。基本は指先などから魔力を使い釘を飛ばす。
基本的に牽制程度にしか使用しないが釘を手のひらサイズの円陣に展開しリボルバーやガトリングのように回転させ逐次発射させることもできる。円陣には螺旋を描くように釘が並ぶ。螺旋とは生命を生み出す渦であり、これもまた魔術的要素を含んでいる。撃ちきったら即座に釘が現出するの螺旋の魔術的効果。螺旋を用いた連射は投影魔術を応用したものであり、投影した釘には【吸血の魔瓶】から即座に血が釘の樋に付与される。数秒で霧散し、強度的にも本物の劣化でしかない投影魔術であるが、この投影された釘自体はただの呪詛血液を物理的に対象へと飛ばすものでしかない。本物の釘を使用する場合は数倍にも威力が増す。
近接信管のように対象に刺さった場合や近づいた時、物理的に強度の高いものや魔術で釘が破壊された場合など、樋に流れている血液は膨張し呪いとなって爆発する。血液自体術者と同質化しているため術者の意思で爆発させるタイミングをずらすことができる。
上記の短剣も同じだが、魔術で単に血液を飛ばすよりも物理法則に則り、釘で刺突したり物理的に接触させ、次に本命の魔術的な呪いを爆発させるといった、釘自体を破壊されても効果が発揮されるような、二段構造になっている。
ガンドや魔弾のような使用感で使う。短剣のように効力は使用される釘の材質やかけられた呪いの重さによって変わる。短剣と同じように内側に樋が入っており、そこに血液が流れ入る仕組みである。


【自動拳銃(魔術礼装)】

Beretta 93 Raffica Custom

元はイタリア製の3点射機構のある自動拳銃。拳銃本体には魔力の伝導力が良くなる付呪を施してある。付呪だけではなく銃本体を改造をしており、銃身を短縮し通常の自動拳銃サイズにしたり、反動を抑えるため銃身自体にガスポートの追加など、大型の拳銃サイズから取り回しの良い拳銃サイズに近代化改修を施している。この銃本体には弾丸の呪術効力を高める魔術を付与し、弾丸の弾頭に上記の短剣や釘と同じような金属を使う特注品。
魔力を消費せずに使用できる殺傷武器として、その上取り回しや連射と発射速度等が短剣や釘より優れている。しかし、”魔術世界の原則として近代のモノは神秘から遠のく”という魔術世界の絶対的なルールがあり、銃というものは近代兵器であるために、単純な攻撃魔術と比べても攻撃手段として能力は劣る。全ての魔術師は魔術回路を持ち、その魔術回路は近代兵器である拳銃レベルならば自動で強化魔術を魔術師に施し防御してしまう。多少の打撃は入る可能性があるが傷をつけることすら難しい。死角からの対物ライフルや至近距離からの大口径のマグナムならばその自動防御を破れる可能性があるが、銃本体と銃弾に対魔術師用の付呪を使用してやっと効果を示す程度である。
術者のこの魔術礼装の場合拳銃による殺傷力よりも銃弾に乗せた呪詛を相手に当てる目的で使っている為、強化による防御で防がれたとしても、対象を弱体化させるという目的は達することができる。本命は別の魔術であるため、あくまで予備の攻撃手段や他の魔術を使うまでもない相手への礼装である。


【散弾銃(魔術礼装)】

Winchester Model 1897

拳銃と同じく、銃本体に弾丸の呪術効力を高める魔術を付与してある。使用するものは釘を小型にしたフレシェット弾。長物の為、術者は装備はしないが、術者陣営の戦闘用ホムンクルスなどの基本武装である。ショットシェルの中に釘と血液が入っている為、自動拳銃より1発の威力は高い。事前にショットシェル内に血液を満たしておくことが出来るため、基本的には術者陣営の戦闘員が使用している。使用感は釘を軸とした散弾に呪詛血液の爆発を織り交ぜた魔術的にも威力の高いものとなっており、トリガーを引くだけで発動する一工程シングルアクションのものとしては、他の魔術と比較にならないほど実用性が高い。しかし本質的には魔術を飛ばす近代兵器でしかない為、純粋な魔術師などはこれを侮りがちであり、本家の魔術師達はこの礼装への対策を迫られている。
術者本人は獣性魔術や短剣や釘の投影と【吸血の魔瓶】を使用出来るため、基本は使用しない。同じゲージの散弾銃であるのならば、銃本体が違っても使用出来るため、血液フレシェット弾は汎用性が高い。

【蜃気楼の幻術】


視界が絵画のように不鮮明となり相対距離などの錯覚を起こす幻術。

補助魔術に霊脈に刺した短剣を隠す為の蜃気楼の神秘性から生み出された錯覚魔術がある。幻術の一種。位置や大きさ形上下左右逆などを相手に錯覚させる為の魔術。これを霊脈に刺した短剣を中心に使うことで奇襲や即時戦闘の対応や補助に使用する。
更には射出された釘の相対的な距離を錯覚させ、相手が命中するであろうと思うタイミングをずらしたりすることにも使う。
戦闘ではこれを利用して緊急回避に利用する。相手の視覚情報や魔力感知で当たっていると思わせた自分の位置をずらすことで緊急的な回避ができる。相手の攻撃範囲が広い場合には意味がない点や常にこの魔術を使うと相手が錯覚に慣れるなどの弱点があるため多用することはない。


【人形の呪術】

伝統的な藁人形を使用するが、呪いの照応によって人の形をした物体ならば、この術式の効果は発揮される。

一般的に日本では”丑の刻参り”として知られている黒魔術。日本では芻霊と呼ばれる人形呪法。
呪詛短剣と同様に、対象の血を一定量、人形に浸すことで人形と人体を照応させ、相手の身体そのものを人形と同化させる拘束術式。通常、血液だけでは魔術師相手には防衛魔術や魔術回路そのものが強固な呪詛に対する防衛機構となり防がれる可能性があるが、空属性と合わせた呪詛の侵食は一流の魔術師による呪詛返しや魔術的な防御ができたとしても相手の魔術回路に相当な負担がかかるため相手の動きを鈍らせたりと最低限の効果は発揮する。
【吸血の小瓶】を用いて使用する。

【生家に伝わる大呪術儀式】
『呪術師の戦いは、対峙する前に決着が着く』
前提とした条件をすべて満たして入れば、どれだけ離れていても相手を殺すことも可能な黒魔術。
英霊の妖精騎士トリスタンの宝具である痛幻の哭奏フェッチ・フェイルノートと同じ効果の魔術。(ただし術式などは異なっている)
【人形の呪術】を更に強力にした大儀式。
一般的に黒魔術といわれ思い浮かぶ人形に釘を刺す魔術。十分な生贄と対象の血液や身体の一部を使うことで、どれだけ距離が離れていても行使可能な呪い。生贄も対象を思い浮かべるだけではただの呪詛で一般人であれば一時的な体調不良になる程度。魔術師相手なら自動的な呪詛返しに引っかかる程度である。しかし生贄によって術式の規模も効果も変わる。代表的な髪の毛や爪程度では、対象の体調不良を起こす程度だが、黒魔術における最良の素材である一定量の血液と最良の生贄を使えば対象の心臓、すなわち生命力を止めることができる。生贄として使う生贄の質によって、対象の周りにまで感染するかのように死の連鎖を引き起こす大規模な呪詛となる。しかし、呪詛強くなればなるほど魔力消費の多さや術式も複雑に詠唱も長くなる。ただしこの呪いで殺せないほどの強大な相手の場合は、最低でも数ヶ月や半年などの長期間を時間をこの儀式に費やすことで、内蔵の壊死や眼球の破裂などの呪いをかけることができる(ただしそのレベルの魔術師ならば身代わりなどの十分に対抗策を練っているだろう、冠位やロードなどの魔術師が良い例)。そしてそれの実行に必要なものは、対象を”視ている”ことで、現代技術を使うなら監視カメラなどの映像でもいいが、大量の使い魔を使役することで対象を捉える。行使したい場所によって使い魔を変える魔術こそ、この家系の黒魔術の真髄ともいえる。現地に合わせた小動物から蟻ほどの虫、中型の獣から群れる鳥まで、大小様々な現地の生物を使い魔として使うことでカモフラージュをし、小規模ではあるが一帯の全ての生物を使い魔に変えることである種の魔術結果にも等しい対象を”視る”ためだけの場所を作り上げる。


【魔女の霊薬】

回復薬から戦闘用の猫目の霊薬まで多種多様な霊薬が存在する。西欧式の身体を獣のように変えてまで戦闘力を高める獣性化の霊薬なども存在する。こういった霊薬製造の過程の副産物として表の世界でも有益な薬が完成することがある。

大釜を使った魔女の黒魔術ウィッチクラフト。古代スラブの魔女から伝わる各種霊薬を製造する。独自の呪いの解呪から治癒薬、毒薬、戦闘用の強化薬など、スラヴに伝わる霊薬だけではなく西洋ヨーロッパの魔女の霊薬の製法も取り入れている。基本的な霊薬から、家に伝わる秘伝の霊薬まで、それぞれを使い分け魔術の補助に使用する。

魔女の霊薬作りは黒魔術ウィッチクラフトの基礎中の基礎であるため、魔術的霊薬の副産物で産み出たモノを現代人に害のない薬として売る製薬会社が現代社会における表向きの実業の一つである。本来管理者セカンドオーナーであるが、本家から取り返して確保できている霊地は半分程度しかない為、資金面の大部分はこの製薬会社の稼ぎによるものである。
魔術師として素質があまりなかった術者の父親と兄妹が霊薬の製造を取り仕切っている。霊薬を作成するだけならば、才能や優秀な魔術回路は必要なく、秘伝のレシピをもとに時間をかけて製造し、更に新たな霊薬を創り出す実験を行うだけなので、魔術刻印は次男であり次期当主の術者に継承されている。
薬としての効果は一級品で日本独自の漢方から最先端のサプリまで扱う程のグローバル規模の製薬会社となっている。
売り上げた資金の半分以上は、物資や礼装の調達、戦闘用ホムンクルスの購入や戦闘要員としての魔術使いへの賞金である。



《呪文詠唱文》

詠唱はロシア語を使用する。

基礎詠唱
Разъедай! Пожирай! Поглощай!(蝕め!喰らい尽くせ!呑み下せ!)


【獣性魔術の詠唱文】

変身詠唱
"Морская глубина, великое море далеко,
На остров Бхуян, на пустырь явись же, в месячном свете.
Белую иву освещает луна, в зеленый лес, 
в ночную долину,
Там идет лохматый волк, устрашая рогатых домашних зверей.
Не охотится волк в лесу, в темной долине не крадется.
О, луна, луна, золотой полумесяц,
Разрежь яблоко, затачивать ножи не позволь,
Посохи грубые разбей, страхом наполни, зверей, людей и насекомых,
Чтоб серого волка не поймать, меха его не сорвать!
Слово моё твердо, как вечный сон,
как доблестного воина слова твёрже!"

”遥かなる海、大海、
ブヤーンの島へ、荒れ地へ、月の光に浮かび上がる。
白い柳は月を照らし、緑の森へ、夜の谷へ、
毛深い狼が歩き、角の生えた家畜を脅かす。
狼は森では狩りをしない、暗い谷では忍び歩かない。
ああ、月よ、月よ、黄金の三日月よ、
リンゴを切れ、ナイフを研がせるな、
粗末な杖を折って、獣や人や虫を恐怖で満たせ、
狼が捕まらないように、毛皮が破れないように!
勇猛な戦士の言葉が堅固であるように、
私の言葉は永遠の夢のように堅固である!"


獣性化中の強化などに使う詠唱文
"Во мраке ночи я стою, словно дух ветра,
Звериный внутри мой дар, жизни пламень внутри меня.
С силой дикой и судьбой в клочьях, я приручаю судьбу,
Зову зверей, волчьей душе я открываю врат.
С шерстью и когтями, и мраком лунной ночи,
Под луной охотника, где волк свой круг танцует снова.
В ликантропическом трансе, душа моя в мгновенье меняется,
Смешиваясь с волком, новую судьбу мы вместе создаем.
Заклинание сильное завершено, перемены начинаются сейчас,
Человеческий облик отбрасываем, звериный дух пронзает нас.
Когда ночь наступает, душа моя воскрешается в этой волшебной игре,
Мои силы растут, волчья природа в этой магии цветет.”

”夜の闇の中、風のように立ちつくす、
内なる獣は我が授かり物、我が生命の導火。
野性の力と運命の爪と共に、
我は魂を飼い慣らし、狼の魂への扉を啓く。
毛皮と爪と月夜の闇の底で、
狩人の月の下、狼は再び輪になって踊る。
獣の化身となった我の肉体は、一瞬にして変化する、
狼と溶け合い、新たな運命を紡ぎ出す。
強力な魔術が奏でられ、変化が幕を開ける、
人間の姿は捨て去られ、獣の精神が我らを襲う。
夜が明けると、我が魂は神秘的な遊戯で蘇る、
我が力は増し、狼の本性が魔術で開花する。”

【黒魔術の詠唱文】

"Во мраке глубоком, заклинанья кружатся словно танцы,
Словно шепот ночи, открывают мудрые рассказы.
Во власти тьмы, судьбы силу мою проводят,
Искаженный порыв, жизни потоки вечные льются.
С знаньями древними и полуночной мглой таинственной,
Мои заклинанья гремят, как гроза в небесах ночных.
Сущности призываю, ужас великий и глубокий,
Пусть они проникают, словно морская волна в бурном плясе.
Остерегайся мрака, который я выпускаю, о, познай страх,
Древние силы пробуждаются, зло наступает на свой путь.
С проклятьями, как цепи, и магией несгибаемой,
Твою судьбу я пронзаю, зло устремляется в бой величественно."

”深い闇の中で、呪文はまるで舞踏のように舞う、
夜の囁きの中で、賢人の物語が明かされる。
闇の中で、運命が我が力を握っている、
歪んだ風、生命の永遠の流れ。
太古の知恵と夜闇の神秘と共に、
我が呪文が夜空に雷鳴のように鳴り響く。
我は大いなる恐怖と深遠なる力を呼び覚ます、
荒れ狂う海の波のように、彼らを呼び寄せる。
我が放つ闇に用心せよ、おお、恐れを知れ、
太古の力が目覚め、厄災が向かっている。
鎖のような呪いと曲げられない魔術で、
災いが戦いへと向かっていく。”



《魔術系統の元になるもの、元ネタなど》

『類感呪術と感染呪術の違い 』

  1. 類感呪術 (Sympathetic Magic):

    • 類感呪術は、物事の間に類似性や関連性があることに基づいている。この呪術は、物理的な類似性が魔法的な効果を持つと信じる原理に基づいている。具体的には、二つの主要な形態がある。

    • 類似性呪術 (法則): これは「象徴的な類似性」を利用する呪術で、ある対象が他の対象に似ている場合、前者の対象に影響を与えることができると信じられている。例えば、人形を使って特定の人に傷害を加えるようにすることができるようなもの。

    • 接触呪術 (法則): これは「接触による類似性」を利用する呪術で、物理的に対象が接触することで相互に影響を及ぼすとされている。例えば、敵対者の髪の一房を取って、それに呪文をかけることでその対敵者に害を及ぼすことができる。

  2. 感染呪術 (Contagious Magic):

    • 感染呪術は、一度物事が接触した場合、その影響が永遠に残り呪術により物事間の接触により呪いの効果の拡散をする。

    • この種の呪術は、幸運や不幸を招き入れたり、病気を治癒したりするために使用されることもある。たとえば、魔法のアミュレットやお守りは、その効力を身に着ける人に感染させることができると信じられている。

類感呪術と感染呪術の違いは、類感呪術が対象間の類似性に焦点を当て、感染呪術が物事間の拡散に焦点を当てている点にある。これらの呪術は、異なる文化や宗教においてさまざまな形態で表現され、信じられてきた。


『既存の獣性魔術との比較』

スラヴの獣性魔術とロード・エルメロイII世の事件簿等に登場するスヴィン・グラシュエートの獣性魔術の効果は同じように見えるが、術式も全く違い、スヴィンに現れている肉体の変化はスラヴの獣性魔術では現れない。

獣性魔術でも違いがあり、

  • 西欧式の獣性魔術: 肉体そのものを改造して獣に近づけるというライカンスロープといった病などのようなタイプ。

  • スラヴ式の獣性魔術: スラヴの魔術師が行う狼へのシェイプシフティング。本来の肉体を弄らずに獣に近づけるのではなく姿を魔術で変身させるといったタイプ。

これは非常に重要な違いで、前者のタイプは肉体的に、例えば嗅覚や味覚なども通常時(人間体)において獣のように敏感になるなど変化する。上記の通り肉体そのものを獣へと近づける獣性魔術。
しかし、スラヴの獣性魔術は肉体を改造するのではなく、一時的に姿を変える。述べたようにシェイプシフティングであるために、マナを、つまりエーテルを纏うことで人狼的な獣性魔術の姿と力を手にする。
前者に比べて、どこでも常に発動できないというデメリットがあるが、肉体が変質しないというメリットもある。Fate/Samurai Remnantにおける逸れサーヴァントに近い。つまり霊地や霊脈を楔としてマナを利用する為に、霊脈そのものから程遠い場所などでは効果は薄くなり、使用することができなくなる。

『スラヴ魔術の簡単な解説』

一般的に、スラヴにおける人狼は、魔女や背教者(魔術師)である。
ロシアの人狼はシェイプシフターという扱い。彼らは自在に人外の獣の姿に変わることができる。その中でも強力な姿が狼や人狼と言われている。
彼らシェイプシフターは Оборотень オーバラテニと呼ばれている。その中でも特に狼に特化したものは Волколак ヴォルカラークと呼ばれていて、魔女や魔術師が変身して狼の力を持って人に危害を加えるとされていた。
西洋のライカンスロープと違って満月で変身するものではなく、スラヴの魔術師は切り株に短剣を突き刺してそれを飛び越えることで狼の姿に変身していたとされている。そしてその弱点もまた変身している最中に切り株の短剣を抜くと狼の姿から人に戻れなくなるというものだった。

ではなぜ魔術師が短剣を使うのか、それを辿るとギリシア神話に行き着く。ギリシア神話における冥府と魔術の女神ヘカテー、そしてそれを信仰する魔術師のキルケー、メディアは短剣を使うことで有名であり、古代ギリシャにおいては魔術師の象徴としてその得物は杖でもなく短剣であった。
スラヴ地域ではキエフ大公国が当時のビザンツ帝国(住民の大部分がギリシア人である)との交流が深く、ギリシア神話が南スラヴや西スラヴに伝わっていき、古代スラヴの民話へと融合する形で伝えられてきた。そのため、魔術師=短剣という図式がギリシア神話からスラヴ民話へと形を変えずに変遷していき結びついていった。

『この設定におけるバーバー・ヤガーについて。精霊とはなにか、妖精との同義、そして亜鈴であるということ』

スラヴの大魔女バーバ・ヤガーは、ロシア民話において2つの側面がある。
1つはグリム童話などにでてくるような人食い魔女としての悪の側面。
2つ目は冒険にでた勇者や王子にその叡智による助言や魔術を授ける冒険譚における老魔術師としての善の側面。
型月世界に於いて、魔女は”人類種”とは違うガイアの化身たる”精霊”のため、人の尺度で善悪や倫理観を測ってはいけない。精霊とは気まぐれなガイアの化身である。そのため人食い魔女と善なる老魔術師の2つの側面が同時に存在する。
この設定におけるバーバー・ヤガーは”精霊”と表記しているが、『FGO魔法使いの夜コラボイベント』における魔女ユミナの考察設定を用いている。ユミナ=魔女は単一生殖であり、人と交わることができるが、人間種とは全くの別の種族である。この特性を持つのが、FGO2部6章で登場する”妖精”の存在である。彼ら妖精も死んだらまた妖精として生まれ変わる単一生殖に似た生態を持っている為、個体として不老不死に近い特性を持っている。
更にバーバー・ヤガーの精霊としての設定として『鋼の大地』亜麗百種の第一位:六人姉妹も参考にしている。2部6章の妖精國ブリテンにおける亜麗の設定を基準に精霊と位置づけている。

亜麗とは:星の内海に生まれた妖精

  • 地球の魂の分霊のようなもので星の使命を受けて顕現する場合がある。

    • 自然神のような存在だが人に法を敷かない。

純正の妖精とは、人間の文明とは関係なく
惑星の内側、星の内海に発生するもの。
この、星の内海に生まれた妖精を
魔術世界では『大父』あるいは『大母』と呼ぶ。
地球の魂……のようなもの……の分霊とでも
思ってくれればいい。

FGO2部6章『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻』
  • 自然神に近いが人の上位者ではない

    • 人や法の支配者ではない。

    • そもそも地上には存在せず、何かのきっかけで星の地表に現出したもの。

自然を擬人化した神と同じくらいの規模だけど、
神とちがって人間に『法』は布かない。
『大父』、『大母』は純粋な超存在だ。
この階位の妖精が何かの間違い、
あるいは星からの使命を受けて地表に出たものを、
この異聞帯では『亜鈴』と言う。

FGO2部6章『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻』

上記の設定を参考にバーバー・ヤガーという存在を人間社会の中で妖精ではなく、精霊と私は表記している。ただそれは表記の違いであり、妖精と同義である。その妖精の中でもとりわけガイアの化身として地上に出た存在の亜鈴としてバーバー・ヤガーを描いている。第一魔法の使い手たる魔女ユミナ、そしてその純血であるマインスターの魔女久遠寺有珠、どちらも亜鈴のような存在で人間種とはまた違ったものだと考察しておく。



あとがき?:この設定のフィクションとノンフィクション

現実のものを型月世界に当てはめようとしている妄想設定です。
私の家系は本当に室町時代以上にまで遡れるほど古い郷士豪農で姉川の戦いで弓で活躍した人物まで出しています。そして豪農なので作物を荒らす害獣を狩る狼や稲荷を信仰してたのも事実です。地主なのも事実です。
本家と分家の争いも事実です。
時計塔の留学も私自身、英国文化圏の国15歳で留学して海外にいたのも事実に当て嵌めています。

ただし亡命ロシア人との関係だけはフィクションです。
これに関しては私が大学で”ロシア”を学んだ故の妄想になります。


ロシアの魔術については私が”ロシアの大学”で”ロシア人の専門の教授”から”ロシア民俗学”の授業や講義で学んだことと、大学や大学後の独自研究による知識の成果です。日本語でのこれらのソースはほぼ出てこないと思うので、研究職ではない一般人としてスラヴ魔術知識を持っている日本人は指で数える程しかいないかなと私は思っています(超マイナーだからね涙)。ですが実際に型月世界の魔術設定で使えるような、しっかりとした攻撃性のあるような魔術がスラヴ魔術にあるかというとほとんどなく、スラヴ独特というか、西欧と全く違うものを挙げられるのはこの獣性魔術くらいになります。独特なモノは確かに他にも存在しますが、それは死者蘇生や祈祷的なアミニズムなものになり型月世界の妄想設定に組み込めるかといったら不可能なんですよね。ただ黒魔術などは比較的西欧の黒魔術と同じようなもの、というかほぼ同じだったりするので、スラヴの魔女バーバ・ヤガーを活かす為に黒魔術を採用しました。ただバーバ・ヤガーは箒ではなく臼に乗って空を飛んだり、鶏の脚の生えた小屋に住んでいたり、家の周りに飾ってある骸骨から火炎放射したり、ちょっとぶっ飛んでるので、まあここらへんは魔術として採用せずというか、それこそ魔女であるため人間の常識などが通じない部分があると思って、精霊である魔女としてバーバ・ヤガーを設定に採用しました。基礎的な魔術(呪術)に関して言えば、やはりキリスト教圏の文化がスラヴ地域に浸透しているので、魔法や呪いといったものは西欧のものと同一視していいのではないかと思っています。例えば西のキリスト教の聖人のゲオルギウスがモスクワの守護聖人の聖ゲオルギーとして銅像も建てられちゃんとドラゴンスレイヤーとして祀られている位なので、やはり宗教が文化を伝染させるのは凄いなと痛感させられます。前述してありますがスラヴの独自の魔術としてシェイプシフトがあり、それはキリスト教がくる以前の民話として成り立ったものなので、やはりこれだけは外せないなと思い、設定を考えるにあたりまず真っ先に獣性魔術を思いついて書きました。切り株に短剣を刺して変身するのを、独自解釈して大気や大地のマナをエーテルとして身体に纏うので人狼に見える姿を変える、そういった独自解釈なので、これは間違いだ!と言われても反論もできませんが、まあ妄想ということで。ここまで書いてから知ったのですがFate/Apocryphaのセレニケの一族も中世の魔女狩りで欧州からシベリアに逃げたという設定があるので、黒魔術とスラヴの組み合わせは意識せずとも型月世界では相性がいいのかもしれません。

ただの妄想設定ですが、できるだけノンフィクションを心がけて、型月世界に当てはめるように努力してちまちま書いてます。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?